認定された?
「よっわ…」
結果。『毒蜘蛛』はこのあたりでちまちまやってるだけの弱小盗賊団だったらしい。
「な、何者だ…てめぇ…!」
「えー…何者、って言われても困るけどなぁ…俺は俺だし?」
「嘘をつけ! 俺たちは…俺は! このあたりじゃ一番強いんだよ! なのになんでこんなあっさり…!」
「あー、お前…さぁ」
自分の力を誇るのは確かに大切なことだぞ、うん。でも…やりすぎは禁物だろ。
「『井の中の蛙、大海を知らず』って言葉知ってる? 『夜郎自大』でもいいけど」
「は…? 何のこと、だ?」
「あー、うん。知らないならいい。俺が何者か、だっけ? 知りたいなら教えてやるよ…どうせお前じゃ俺を倒せねぇし?」
「なんだと…っ!」
「まぁ、黙ってろよ。俺の名前はレクス・レイリー…ギルドレベルB―――あ、もうすぐAかな――――の冒険者だよ」
俺の名を聞いて男の眼が丸くなる。
………俺の名前も売れたもんだなぁ…
「まさか…あの、最年少で二つ名を得た……『光刃』のレクス・レイリー……!?」
「お、なんだ、俺のこと知ってたの?」
二つ名については…アレだ、突っ込むな!
俺だってハズいんだよ? わかる? 暇つぶしと八つ当たりでリオンと一緒にそこらの盗賊団ボコにしまくってたらいつの間にか言われだしちゃって…
因みに、『光刃』の由来は俺の戦闘方法によるものだと思います。
俺自身、もう十五だけど体格に恵まれてるわけじゃない。
……いや、俺だってムキムキに憧れるたよ? がんばって筋トレとかしたんだよ? 一年ぐらい。……でも、どうにも筋肉ってのがつきにくい体質らしくてさ…
まぁ、それなりにはあるからヒョロヒョロとかガリガリではないんだけどね?
んなもんだから、戦う相手戦う相手みんな俺よりガタイがいいか背が高いかのどっちか。
まともにやりあったって勝てるわけねーじゃん?
ってことで俺が考え付いたのがどんなヤツよりも「先」を取るって方法。
「先の先」ってヤツ? まっ、時と場合によっちゃあ「後の先」に回ることもあったけど、それを意識しながらやってみたら……アラ不思議。今じゃもう数人同時でも一気に…下手すると一撃で倒せる。
――――――『光』のように早い『刃』…
だから「光刃」ってワケ。
「まぁ…なんだ。町に戻るつもりはないから衛兵に突き出したりはしない。
――――――面倒だし、バレたら困るし」
そう、俺は現在逃亡中の身だ。(…悪いことなんてしてないのに理不尽だ)
んなはした金欲しさに戻って捕まるとか…バカじゃん?
そんなことした暁にはリオンに散々コケにされるわ!
「それに俺…お前らが束になってかかってきても倒せる自信あるし」
敵を残した場合、一番怖いのは報復…仲間の敵討ち、ってヤツだ。
でもま、この辺じゃ俺には関係ないけどね、全部まとめて一緒くたに倒せそうだし。
「……まぁ、もっと強くなったら『遊んで』やってもいいぜ? 面倒だから忘れてるかもしれないけど」
俺はその場から足を踏み出しながらそいつに振り返ることなく言い残した。
「……っ、くそぉおおおおおっ!」
彼の悔しそうな声を背景にしながら。
ん? なんか俺、微妙に悪役(?)っぽいポジション認定された?
RPGとかの最初でありそうな主人公をメタメタにやっつけてくそぉおおお! ってさせるポジです。
敵か見方かわからないキャラ、大好きです