教え子が先生になり、私より老け
不老不死の先生(♀)×元教え子で今新米先生(♀)
ギャグで百合。
「じゃ、自己紹介してもらおうか。
高校生になったばかりだしな。
もしかしたら他の授業でしたかもしれないが、先生はよく知らないんでね」
そして、はじまる自己紹介。
名前だけ言う人もいるし、特技や趣味を言う人もいる。一発ギャグをする人はいないらしい、まあ、滅多にそんな勇者はいないが。
『春だなあ』
なんとなく、私は思う。
季節は廻り、またはじめから。
先生の私も、はじめから教えないといけない。
この子たちも、すぐに私よりも老け。
「よし、終わったな。
じゃ、授業はじめるぞ」
『勉強は何の役に立つか?』
と、生徒たちは思っているだろうんだろうな。
昔から聞く文句、だし。
授業をしながら思う。
学校で教わること。数学や現代文や日本史など。
『役に立つのか?』
そう思いながら、なんとなく授業を受ける。いい大学に入りたいから、いい人生にしたいから。何の役に立つかはわからないが、とにかく頑張る。中には、役に立たないからと勉強を頑張らない人もいる。
だが、考えてほしい。
先生である私の苦痛を。
『生徒にこんなことを教えて何の意味があるのか』
そんなことを思いながら、教えないといけない。
私の場合は、永遠に。
冬が終わり『やっと終わったか』と思っていると、春になり、またイチからやり直し。その繰り返し。それを永遠と。
何だ? 罰なのか?
「はい、じゃあ、問題を解こう。気楽にしよう、気楽に、間違えても大丈夫、間違えたら解き方を理解すれば大丈夫だから。そしたら次からは間違えなくなるから。
時間は5分。開始」
まあ、私が先生である以上、頑張って教えないといけないのだが。
「さて、あの生徒たちはどんな人生になるか」
息を吐く。
廊下、私は職員室へ向かいながら歩く。
ああ、生徒たちの視線がうるさい。
「せんせーい!」
突然、後ろから抱きつかれる。
「本物の先生だ、変わらず可愛らしいままで。ああ、可愛い可愛い」
「頭を撫でるな」
「態度もあの頃のまま。可愛い可愛い」
まったく、とため息を吐く。
「お前も先生だからな? 生徒のいる所でこんなことするな」
「ちぇっ。じゃ、職員室でします」
「それもやめろ」
元教え子、かつ、生徒だったとき自己紹介で一発ギャグをした、勇者。
私より背が高く、老けている、元少女で今女性。
老けている、と言っても、20代前半の新米教師だが。私は18歳で止まっているから、老けていることは間違っていない。
不老不死で先生の私と、元教え子で今先生のコレ。
「先生! 今日も弁当作ってきましたよ!」
「いらん」
「じゃあ、何食べるんですか? 包丁持ったら危ない人なのに」
「コンビニ弁当」
「私の方が強いですね、先生に対する愛が」
「知らん」
「さ。私とお揃いの弁当食べましょ」
「お揃いと聞いて余計食べたくなくなった。
私は、お前の弁当よりもコンビニ弁当の方が愛が強い」
「…泣きますよ?」
「先生だよな?」
「はい、貴女に一目惚れした、元教え子で、今先生です」
「…何で先生になったんだ?」
「先生になりたかったのでなりました。貴女のおかげですよ。まあ、色々考える所がありまして」
「そうか。
なら…」
「まあ、一番は先生の近くにいたかったので。結婚しましょ? 弁当作ってる時点で恋人」
「転勤しろ」
今年は、いつもよりも疲れそうだ。
だが、私の教えが無駄ではないのなら。
しかし。
イチからか、やれやれ。
ありがとうございました。




