聖域への加速
昼食の時間、二人は予定通り11時半に、金沢市郊外にある評判の寿司屋へと立ち寄った。
カウンターではなく、人目の少ないテーブル席を選び、地物の新鮮な寿司を堪能した。
一口食べるたびに、その美味しさに顔を見合わせ、喜びを分かち合う。
美優: 「うまいな、彩花。このノドグロの脂の乗り方……。本当に来てよかった。」
彩花: 「このガスエビも絶品です! 美優と二人で、こんなに美味しいものをゆっくり味わえるなんて、最高に贅沢です。」
仕事の話や秘密の心配を忘れ、ただ美味しいものを楽しむその時間は、二人の心身を深くリフレッシュさせた。
・・・
昼食を終え、時刻は12時半。14時の宿のチェックインまで、残された時間は2時間弱となった。
二人は、金沢市内を車で周りながらも、最終目的地である湯涌温泉へと向かっていった。
車内は、再び二人だけのプライベートな空間となる。
美優: 「そろそろ金沢の市街地を離れる。ここからは、温泉郷の空気に変わっていくぞ。」
彩花: 「いよいよ、ですね。美優。露天風呂付きの離れ……夢のようです。」
助手席の彩花は、カーナビで道順を確認しながら、美優がハンドルを握る手の甲に、そっと指先で触れた。
彩花: 「美優、あと1時間半で、『上村巡査部長と橋本巡査長』の殻を脱ぎ捨てられますよ。今日は思い切り、美優と彩花に戻りましょう。」
美優は、その触れ合いと、彩花の言葉に力強く頷いた。
美優: 「ああ、もちろんだ。昇進祝いだ、すべての規律を解除する。さあ、私たちの聖域へと急ごう。」
二人のレンタカーは、金沢の街並みを抜け、山あいの静かな温泉郷へと、期待を乗せて走り続けていった。




