レンタカーの密室
金沢駅に到着した二人は、他の乗客に紛れて早足で駅を出た。
新幹線で感じた緊張感は、この地の空気に触れたことで、一気に解き放たれていく。
二人はスムーズに駅近くの営業所でレンタカーを借り、まず最初の目的地である伝統工芸の見学へと向かうことにした。
美優が慣れた手つきで運転席に座り、彩花が助手席に座る。
美優: (エンジンをかけながら、喜びを隠せない声で)
「ああ、彩花。ここに来てようやく、私服のまま、誰にも監視されていない車に乗れた。この車内は、あの業務車両とは比べ物にならない、完璧なプライベート空間だ。」
彩花: (シートベルトを締めながら、美優の顔を見つめ)
「はい、美優。あのミニパトのお下がりでは、せいぜい手を重ねるだけでしたけど……ここでは、それ以上の何でもできる環境です。」
美優は、彩花が発進を待っている間に、助手席の彩花の手を強く握りしめた。
「昇進祝いだ、彩花。君と私の努力の賜物。遠慮なく、この旅を堪能しよう。」
「もちろんです、美優!」
二人の手は、業務車両のシフトレバーの上で交わした「秘密の誓い」とは比べ物にならないほど、公然と、そして強く、絡み合った。美優は片手でハンドルを握り、もう一方の手で彩花の手を包み込んだまま、車を滑り出させた。
静かな車内には、地元のラジオの音と、二人の密やかな会話だけが流れている。美優の熱い視線と、彩花の甘い笑みが交錯し、車内はすでに「愛の聖域」と化していた。
しかし、長居は禁物。14時のチェックインという最大の目的のために、二人は計画通り、まずは金沢らしい伝統工芸の工房へと向かい始めた。その道中も、二人の手は、離れることはなかった。




