敏腕刑事にして、良き恩師
(涙を拭い、抱擁を終えた美優と彩花は、壁の卒業写真に写る加藤警部補の微笑みを見つめていた。)
ふと、美優は警察学校時代を振り返った。加藤教官は、他の教官のように感情的になったり、生徒に怒鳴り散らしたりしない教官だったことを思い出す。
彩花: 「そういえば、加藤教官って、一度も私たちに大声で怒鳴ったりしませんでしたよね。いつも冷静で……。」
美優: 「ああ。勿論、規律を破るとか、道を外すことについては、誰よりも厳しい教官だった。だが、ただ感情で怒るのではなく、理路整然と生徒を説き伏せ、なぜその規律が必要なのかを理解させることに長けていた。」
それは、教師としての資質だけでなく、相手の心理を読み解く、プロの技術でもあったのだろう。
美優は、この出来事があってから、こっそりと署内の資料で加藤警部補のことを改めて調べてみた。その結果を彩花に話す。
美優: 「彩花。加藤警部補のこと、少し調べたんだが……。彼が教官になる前、刑事時代に残した功績は、私たちが知っている以上に凄かった。少し調べただけでも、数々の難事件を解決させた敏腕刑事として、警察内部では名を馳せていたらしい。まさに伝説的な存在だ。」
彩花: 「ええっ……! 私たち、あの優しい教官が、そんなすごい人だったなんて……知っていたつもりだったけど、全然理解していなかったのね。」
二人は、加藤警部補という人物を、単に「厳しくも優しい教官」として知っていたつもりだったが、今回の出来事と、元刑事としての経歴を知ることで、彼の真の「人間力」に改めて畏敬の念を抱いた。
美優: 「そうだな。私たちは知っていたつもりだったが、彼はそれ以上の、良き教官、良き警部補だったのだ。彼のあの洞察力と優しさは、長年の現場経験で培われた、人を愛し、理解する力なのだろう。」
二人は、自分たちの秘密の関係を理解し、肯定してくれた恩師の偉大さを噛みしめ、この特別な一夜の出来事を、胸に深く刻み込んだ。




