恩師の慰め
加藤警部補の温かい肯定を受け、美優と彩花は、階級の壁を忘れ、安堵と感謝の涙を流していた。
加藤警部補は、そんな想像以上に泣きじゃくる娘たち――上村巡査長と橋本巡査の姿を見て、ニコニコと微笑んだ。さすが、元刑事で警官で恩師である。
彼は、立ち上がり、談話室の隅にあるティッシュペーパーを手に取り、そっと二人に差し出した。
加藤警部補: 「はい、はい。二人とも鼻をかめ。本当に辛かったんだな。よく耐えた。でも、大丈夫、大丈夫。」
加藤警部補は、父親のような優しさで、二人の肩をポンポンと軽く叩いた。
加藤警部補: 「お前たち、警察学校時代から真面目過ぎるんだよ。すべてを規律で縛りつけようとする。だが、人間には息抜きと愛が必要だ。別に、仕事場や公共の場でイチャイチャしているわけでもないし、職務に影響が出ているわけでもない。」
美優と彩花は、ティッシュで涙と鼻水を拭いながら、恩師の温かい言葉を必死で胸に刻んだ。長年、自分たちを縛りつけてきた「真面目さ」が、ここで初めて解放されたのだ。
美優: 「……教官。」
彩花: 「……教官。」
二人は思わず、警察学校時代の加藤警部補の昔の呼び方を発していた。それは、「巡査長」「巡査」という堅苦しい階級の皮を脱ぎ捨て、ただの「学生」に戻り、「人」として許しを請う本能的な叫びだった。
加藤警部補は、その呼びかけに再び優しく頷き、二人の肩を強く押した。
加藤警部補: 「よし。制服を着る時と、二人の時間とを、きちんと分けられている。それは、立派なプロだ。胸を張って、この先も励め。私は、お前たち二人の、秘密のサポーターだ。」
その言葉は、美優と彩花にとって、何よりも強力な「公認」となり、これからの厳しい日常を生き抜くための、新たな大きな支えとなった。




