制服の上の密やかな愛
上村巡査長と橋本巡査は、二週に一度、警察署のミニパトお下がりの業務車両に乗って、警察学校へ出向する勤務が増えた・・・制服姿ではあるが、二人にとっては移動の際の車内は限られたプライベートな空間となった。
後部座席は誰も乗っておらず、フロントガラスの向こうの一般車両は、まさかこの中に秘密の恋人同士がいるなど思いもしないだろう。
美優が運転席に座り、彩花が助手席に座る。
美優: 「よし、橋本巡査。時間厳守だ。ルートの再確認を頼む。」
彩花: 「了解です、上村巡査長。渋滞はありません。」
公的な会話を交わしながら、二人の視線は時折、短く、しかし熱を帯びて交錯する。
もちろん、これは勤務時間中であり、誰に見られているか分からない。抱き合うことや、キスを交わすことは、勿論御法度だ。その規律は、真面目な二人にとって、何よりも守るべき壁だった。
しかし、二人は、この密室を最大限に活用した、密やかな交流をしていた。
走行中、美優の右手が、業務車両のシフトレバーの上に置かれる。すると、彩花は、美優の目を盗み、そっと自分の手を伸ばし、その美優の手の上に、自分の手を重ねた。
それは、ほんの数秒間、交わされるか否かという、短い接触だった。
美優の手のひらの温もり、そして、彩花の手の柔らかさが、制服の上の皮膚を通じて、互いの心を強く繋ぎ止める。
美優: (ハンドルを握る左手に力を込め、微かに唇を動かし)
「……この感触で、今週も頑張れるよ、彩花。」
彩花: (微笑みだけを返し、そっと手を離す)
この「走行中の手重ね」が、二人の愛の最前線だった。
週一回の「夜の勉強会」という愛の聖域を持つ二人にとっても、このほんの僅かな職務上の時間に、制服を着たまま触れ合えるという事実さえ、大きな意味を持っていた。
それは、「私たちは今、公的な任務を共に遂行しながら、同時に愛し合っている」という、二人の真実に満ちた関係を、強く肯定する瞬間だったからだ。
その小さな接触さえも、二人の愛にとっては十分すぎるほどの満足を与えていた。




