妄想
そして、伊豆旅行から3ヶ月が経過していた。
この間、美優と彩花は、多忙な業務スケジュールを縫って、週一回の「夜の勉強会」を定期的に開催し続けた。彩花の部屋で行われるこの秘密の集いは、もはや二人の愛の営みのルーティンであり、階級と制服の重圧から解放される唯一の息抜きの瞬間となっていた。
また、非番のタイミングが合えば、ドライブを兼ねた日帰り旅行や、水族館、映画といった半日デートも重ね、二人の真面目でお互いを思いやる良好な関係は、揺るぎなく続いていた。
しかし、唯一、1泊2日の伊豆旅行のような宿泊を伴った非番行動は、職務上の様々な制限と、寮生活という特殊な環境から、どうしても叶えられずにいた。
彩花: 「また今週も、夜通しの『勉強会』はできませんね……。寂しいです、美優。」
美優: 「仕方ないさ、彩花。こればかりは私たちの『真面目な職務』が壁になっている。だが、『職務上仕方ない』と理解しているからこそ、私たちはこの愛を守れるんだ。」
そう互いを慰め合いながらも、二人の中には小さな不満が燻っていた。
そこで二人は、次の非番を調整する努力を続ける傍ら、「もし次、連休が取れたら」という設定で、秘密の「妄想旅行計画」を立てて楽しむようになっていた。
「次は北陸で、伝統工芸を見学しながら温泉に入りたい」
「いや、九州で屋台料理と焼酎をこっそり楽しみたい」
――そうした他愛のない会話が、二人の愛のエネルギー源となっていた。




