・・・もう、好きっ
(裏返されていた旅行の写真を美優が表に返した瞬間、彩花の部屋に、二人の愛の記憶が満ち溢れた。)
美優: (写真に写る自分たちの屈託のない笑顔を見つめ、再び彩花を強く抱きしめ)「もう……好き。こんなに大切にしてくれていたなんて。本当にありがとう、彩花。」
その言葉は、旅行の記憶への感謝であり、この一週間分の募る思いであり、そして何よりも彩花への深い愛だった。
彩花の温かい抱擁に包まれながら、美優はそっと手を伸ばし、壁に掲げられた警察学校卒業式の集合写真を指さした。
美優: 「そうだ、この写真。あの頃、私たちは『トップの生徒』と『ビリの生徒』としてしか話せなかった…。加藤警部補の訓練、本当に厳しかったし。
特にあの、夜間の山道での集団走……覚えているか? 私、途中で足がつりそうになって、情けない声を出したんだ。」
彩花: 「覚えてますよ! でも、美優はすぐに持ち直して、みんなを引っ張っていきました。あの時、『この人は、本当に強い』って、改めて尊敬したんです。」
美優: 「まさか君に、そんな風に思われていたとはな。その裏で、私は『君が途中で脱落しないか』ばかり心配していたんだぞ。」
警察学校の思い出話が尽きると、話題は必然的に溜まっていた「真実」へと移っていった。
彩花: 「美優、あの事件の報告書、結局深夜まで残って書き上げていたでしょう? 私、外から美優のデスクの灯りが見えていて、すごく心配でした。」
美優: 「ああ、君が夜食に置いてくれたインスタントコーヒーのおかげで何とか乗り切ったよ。君は君で、市民からの理不尽なクレームに、いつも笑顔で対応していたと聞いた。私が巡回に行ったとき、君の対応の丁寧さに、改めて惚れ直した。」
彩花: 「美優にそう言われると、報われます! あと、プライベートで! この間、同期の女性たちが婚活パーティーの話で盛り上がっていたんです。私、『私の相手は、制服で戦っている女性警察官だから』って、心の中で優越感に浸ってました!」
美優: 「ふふっ。私も、寮の自室で君が選んでくれたアロマキャンドルを焚きながら、『私の恋人は、あの真面目な橋本巡査なんだ』って、密かに幸福を噛みしめていたよ。」
二人は、階級も制服も関係ない「美優と彩花」として、抑圧されていた仕事の苦悩と愛の喜び、そして日常の小さな出来事を、次々と吐き出し合った。その会話こそが、二人がこの過酷な日常を耐え抜くための、最も重要な「訓練」であり、愛の再充電であった。




