青い光と、久々の幸せ
水族館のメインとなる巨大な水槽の前。青い光と、ゆったりと漂う魚たちの影が、美優と彩花を優しく照らしていた。平日のため、鑑賞客はまばらで、二人は水槽の隅の、暗がりに隠れるように寄り添っていた。
美優は、そっと彩花の肩に自分の頭を傾けた。彩花は、その重みを優しく受け止める。二人の視線は水槽の魚を追っているが、意識は完全に隣の相手にあった。
美優: (静かに、囁くように)「……これが、幸せ、だな、彩花。」
彩花: (美優の肩に頬を寄せ、深く息を吸い込みながら)「はい、美優。この水槽の青い光が、まるであの露天風呂の湯気みたいです。この一週間、ずっと制服と規律の中で生きてきたけど、この一瞬で、全部許された気がする。」
美優: 「そうだ。私たちは、派手な贅沢よりも、この静けさと、互いの存在の確信に、一番の価値を見出す。誰も知らない、この小さな空間で、君とただこうしている。この**『小さな普通』**が、私にとっては、何よりも尊い。」
彩花は、美優の手をそっと取り、指を絡めた。手のひらから伝わる確かな温もりに、感動にも似た気持ちが湧き上がる。
彩花: 「美優の手、硬くて冷たい。でも、すごく安心する。この手が、またあの厳しい世界で戦っているんだと思うと、胸が苦しいけど……。私たちが、こうしてまた会えているという事実が、本当に嬉しい。この小さな幸せのために、また頑張ろうって、心から思えます。」
美優: 「ああ。この瞬間の記憶を、私はまた一週間、制服の下に秘めておく。彩花。ありがとう。君がいるから、私は『上村巡査長』として、再び強く立てる。」
青い光の中、二人は誰にも聞かれない場所で、「真面目な愛」を静かに確かめ合った。その一瞬の寄り添いが、二人の過酷な日常を照らす、かけがえのない光であった。




