限られた時間の始まり
約束の平日の午後。美優と彩花は、署から少し離れた郊外の駅前ロータリーで待ち合わせをした。
短い時間とはいえ、二人きりで過ごせる貴重な「非番」だ。
美優: (美優の愛車に乗り込む彩花を見て、笑顔で)
「彩花、お待たせ。今日は本当にいい天気だ。この午後の光を、君と共有できるだけで幸せだよ。」
彩花: (シートベルトを締めながら、嬉しそうに)
「美優! ありがとうございます。このドライブのために、昨日も頑張れました! さあ、『動くコン
パートメント』で、今日は何を話しましょうか?」
美優: 「話したいことは山ほどあるが……まずは、水族館へ向かおう。あの静かな空間で、二人並んで水槽を眺めるのが、前からしてみたかったんだ。」
(水族館へ・・・)
二人が選んだ水族館は、平日ということもあり、静かで人が少なかった。
美優と彩花は、手を繋ぎながら、ゆっくりと薄暗い展示スペースを歩いた。大きな水槽の前で立ち止まり、青い光の中を漂う魚たちを、言葉少なげに見つめる。
彩花: (繋いだ手に少し力を込めながら)
「この静けさ、なんだか私たちの露天風呂の聖域に似ていますね。誰にも邪魔されない。」
美優: 「ああ。この青い光の中で、隣に君がいるだけで、心が洗われるようだ。彩花。私たちは、真面目に静かに愛し合うのが、一番性に合っているのかもしれないな。」
二人は、周囲の目を気にせず、そっとお互いの顔を見合わせ、微笑んだ。
大きな水槽の隅に隠れるように寄り添い、制服では絶対にできない、短いキスを交わす。
派手なアトラクションや人混みでの賑やかさはなくても、愛し合っている二人にとっては、この静寂と、隣の温もりが、何よりも贅沢な時間だった…。
(ファミレスへ・・・)
水族館を出た後、二人は駅前のファミレスへと向かった。夕食には少し早い時間で、店は空いている。
彩花: 「お昼の海鮮丼以来のファミレスですね! 私は、いつもの『業務後の定番パフェ』を頼みます!」
美優: 「私はコーヒーとケーキで十分だ。……このファミレスの喧騒も、かえって私たちの会話を誰にも聞かせない『遮音壁』になってくれる。さあ、彩花。あの旅館から一週間で溜まった、私への愚痴を、ここで聞かせなさい。」
彩花: 「愚痴なんてありませんよ! ただ……(少し顔を赤らめて)『一週間も美優と抱き合えなかったのが辛かった』という、愛の不満だけです!」
美優: 「(笑いながら)よし、その不満は、私が責任をもって解消しよう。また週末に、君の部屋へ『秘密の訪問』をするから。今日は、君のその真面目な努力を労う時間だ。」
水族館での静かな愛の確認と、ファミレスでの日常的な会話。なかなかできることは少ないけれど、それでも二人の心は、深く満たされていた。愛し合っている二人にとって、この限られた時間と空間こそが、何よりも代えがたい、特別なデートであった。




