代え難い、ひととき
(労いと愛の言葉を投げかけ合った後、美優と彩花は、そのままの体勢で、そっと布団の中へと潜り込んだ。
一組の布団に身を寄せ合い、美優が彩花を、彩花が美優を、互いに強く抱きしめる。)
湯上がりの温もりと、浴衣の柔らかな肌触り。そのすべてが、二人の親密さを高めていた。
喜び、
慈しみ、
愛、
感動、
安堵、
そして
解放。
・・・
この瞬間、二人の心と体を満たしている感情は、あまりにも複雑で、あまりにも純粋で、いったいどういう言葉で表現すればこのひとときが他の誰かに判るのであろうか?
――いや、判らなくても良い。
公務の規律も、階級の隔たりも、世間の目も、すべてがこの布団の外の世界にある。この、二人だけの小さな空間で、お互いの存在を深く感じ合っているこの今の瞬間さえ、美優と彩花が心から満足させていれば、それで十分だった。
抱きしめ合う腕の温もり、耳元で聞こえる愛する人の静かな寝息、そして、胸と胸が触れ合う確かな鼓動。
連日の激務を乗り越え、真面目に愛し、真摯に待ち望んだ末に叶えられたこの瞬間は、二人の愛の歴史において、何よりも代え難い、至高の安息のひとときであった。
二人は、その瞬間の重さと幸福感を噛みしめながら、深く、そして穏やかに、夜の闇に身を委ねていった。




