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葛藤の上に花は咲く  作者: 優月


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16/89

目標を定めて

《加藤教官:「・・・私も昔は若かったからな。でも、二人とも、本当に素直で真面目だった。だからこそ、こうして立派に警察官として、そして指導者として活躍できているんだ・・・」》


・・・


上村美優: 「……思い出したよ。加藤警部補の言葉だ。

『素直で真面目だったからこそ、立派にやっていける』って。私たち、真面目なことは、恥じることじゃないんだ。この真面目さで、公私ともに、この関係を守り、大切に育んでいけばいいんだ。」


橋本彩花: 「うん。そうだよ、美優。これからも、ずっと真面目に、そして正直に、お互いを愛していこうね…

…さあ、巡査長。そろそろ、温泉旅館の話を再開しませんか? 真面目な旅行計画を立てないと。」


(二人は笑顔を交わし、再び時刻表と向き合う。胸の奥には、確かな愛と、それを守り抜くという、真面目な決意が満ちていた。

・・・美優はテーブルに広げた時刻表と地図を前に、少し赤くなった目を誤魔化すように咳払いをした。

彩花もハンカチでそっと目元を拭い、笑顔を作っている・・・)


上村美優: 「えーと、っと。……さて、計画を立てるぞ、彩花。さっきのは、『感極まった一瞬の業務外行為』ということで、すぐに忘れて……。

……では、伊豆への旅程だが、彩花が予約してくれた旅館の名前は?」


橋本彩花: 「(少し照れながら)ふふっ、もちろんです、巡査長。その『業務外行為』に免じて、私も忘れましょう。旅館は、伊豆高原にある『海音あまねの里』です。露天風呂付きの離れがあるんです。」


上村美優: 「離れ! さすが彩花。完璧だ。じゃあ、まず移動手段からだ。往復の電車は、特急を利用して……指定席は確保するけど、座席はどうする?」


橋本彩花: 「そこです。座席はプライベート性の高いコンパートメントを確保しました!

始発駅からの乗車なので、移動中も誰の目も気にせず、駅弁を二人でゆっくり楽しめますよ。

あの、女子寮の部屋より、ずっとプライベートな空間です。」


上村美優: 「(小さくガッツポーズをしながら)よし! それでこそ、非番の旅だ。コンパートメントなら、誰にも聞かれずに、日頃の愚痴から愛の言葉まで、何でも話せるね。」


橋本彩花: 「ええ。そして、到着後の観光地周りですが……正直、ほとんど計画していません。」


上村美優: 「ん? それはいいの?」


橋本彩花: 「はい。せっかくの旅行ですが、テーマは『宿で心身を解放し、二人の関係をより深く、強くする』ことにしました。だから、観光地は、旅館までの通り道にある有名な灯台に立ち寄って、ちょっと景色を見るくらいで十分です。」


上村美優: 「そうだね。それがいい。毎日、署内で気を張っているんだ。旅館でゆっくり過ごすのが一番の贅沢だからね。」


橋本彩花: 「離れの部屋は、源泉掛け流しの露天風呂がついています。誰にも邪魔されず、朝まで二人きりで、何度も温まり、語り合う。それが一番の目的です。もちろん、夕食は地元の海産物を使った個室料亭でのんびりと。」


上村美優: (満足げに頷く)「素晴らしい計画だ、彩花。私たちにとって、その『非日常の個室』は、精神的な安息所であり、真面目に付き合っている私たちの関係を、さらに一歩深めるための儀式…のようなものかもしれない。」


橋本彩花: 「その通りです。だから、旅行先で余計な体力は使わず、部屋と露天風呂と、美優の隣で過ごすことに集中します。この旅で、私たちは…女性警察官ではない、素の『美優と彩花』に完全に戻りましょう。」


上村美優: 「うん。そうしよう。……ああ、もう楽しみで仕方ないよ。この楽しみのために、来月まで、また真面目に、誠実に職務を全うするぞ。」


橋本彩花: 「はい! 私もです!」


(二人は微笑み合い、計画の詰まったノートをそっと閉じた。そのノートには、公務の厳しさとは無縁の、恋人たちの純粋な愛と期待が詰まっていた。)

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