市民病院大脱出
非常口のランプが星空のようにポツポツと輝いている。深夜独特の冷たい空気と病院の消毒液の匂いが混じった不思議な風が頬を撫でる。
「こりゃまるで廃墟だな」
「人も居なくて電気もついてないだけでこんなに印象変わるもんなんだね〜」
「なんか夜中に目を覚まして家をウロチョロしてるような気分だよ。冷蔵庫とか行ってとりあえず食うもん探したり、見つからないようにこっそりゲームしたり」
「私のじいちゃんち日没過ぎたらこんな感じだよ。まあ豪邸だしね」
「それは今住んでいる家もそうだと思うが…」
他愛もない会話をしながら5分くらい歩くと外の駐車場へ繋がる出口に辿り着いた。
「あ、出口!」
ギーガガガ、と荒々しい音を立ててドアが開いた。ピカピカの内装とは不釣合なドアである。
「へへぇっ!お前立て付け悪すぎい!」
「こら、ドアのセンサーと監視カメラに喧嘩売らないの」
それにしても、何もないたら何もない。駐車場もただの空き地にしか見えない。
「ねえあーやくん、こっからどうやって帰ったらいいのかな」
「え」
「ん?」
「ヱ?」
「うん?」
「……ゑ?」
時計の針は午前1時15分を差していた。近くに地下鉄の駅はあるものの、急の出来事であったために財布を持ち出す余裕などなく…
「ワタシクルマノメンキョモッテナイヨォ」
お互い無免許で車でレンタカーも借りられない上に、実家も遠いため両親に頼るということもできず…
「まさに、GameOver…」
「帰る手段、無いっす……」
かなさんはそうボソッと呟きその場にしゃがみこんてしまった。
いやまだだ!諦めてはいけない。きっとまだ帰る手段はあるはず。
「あーやくん、徒歩で帰るっていたらぶち◯すぞゴミカス」
いつぞやに先述したように、かなさんは機嫌が悪くなると語尾にゴミカスと付けるようになる。
「まあまあ、さすがに僕も長い道のりを歩くだけの余裕はないから、そこは安心して。だからここは始発電車に乗って…」
「そんな元気もお金もないんだよゴミカス」
こうなったらもう、"あれ"しかないか…
「かなさん、じゃあ"あれ"を使ってみるのはどうかな?」
「あれってどれ?ゴミカス」
「てってれーー、バーコード決済ー」
かなさんは首を傾げた
「バーコード決済って言ったって、残高ないんじゃないの?ゴミカス」
「突然だけどかなさん、錬金術って知ってるかな?」




