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明日も笑おう  作者: 葉加多錬一朗


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7/12

即入院、即退院

 「あ、あーやくん!あーやくん!」

 目が覚めたらそこは病院だった。さっきのは結局なんだったんだろう、ちょいと申し訳ないことをしたような気もするけど…

「あーやくん私めちゃくちゃ心配したんだよ!?急に倒れて、吐いたりして呼びかけにも応じなくて…」

「かなさん、僕ってどれくらいの期間気を失ってたの?」

「3時間」

「へえ、3時間…って、え?3時間?たったの?」

これじゃあまるでダイナミックなお昼である。

「うん。救急車呼んだのが確か夜の10時くらいで、今1時だから丁度3時間だね」

「なるほど?てかここ、病室のベッドじゃないでしょ」

硬くてゴツゴツとした感触と所々に見えるタイルの目、そうかベッドじゃなくてこれ…

「かなさん、寝ていた私を横にさせてくれたのは大変ありがたいんだけどさ…」

「いやあ、ちょっとあの、他の患者さんに迷惑かもな〜って思って」

「床じゃなくてせめて椅子とか並べてそこに寝かせて欲しかったなあ…」

絶対に床で寝かせる方が迷惑だったと思うが幸い周囲には誰も居なかった。本当によかった誰も居なくて。

 そういえば、かなさんの話を聞く限り気を失って倒れて病院に搬送されたのだからきっと何日間か入院するんじゃないかと思ったんだが……


「ああ、この方の付き添いの方ですか?」

「あ、はい」

「おそらく胃腸炎だね。ひとまず点滴で胃薬と鎮痛剤を投与して、あと飲み薬も出しておきますから」

(よかった…なんとかなりそうだな。また病院に来てお見舞いに果物でも持ってきて___)

「点滴終わったら帰りましょうか!」

「え?あ、あ、はい!」

(点滴終わったら帰りましょうか???え?入院しないの?え?え?)

「という訳で、救急搬送されて即入院になったのに、即退院することになったってわけ」

「な、なるほど…」


 広い病院のロビーに僕とかなさんの会話が延々と虚しく、どこまでも響く。その場にいるのは僕とかなさんただ2人。公立の大きな病院であるのに医者の姿1つ見当たらない。

「あーやくん、夜の病院なんてそうそう来れるとこじゃないからちょっと探索してみようよ!」

 全く、今さっき目を覚ましたばっかで結構しんどいというのに。多少病人の気持ちにもなってほしいところではるが

「おっけー。迷惑にならないようなるべく静かに大人しく動こうな…」

「それでこそのあーやくんだよお。不審な人だと思われないようにこのロビーを一周するくらいにしよっか」

 救急車呼んでくれたし、処置中でもずっと付き添ってくれたのだし、1人で真っ暗の病院歩いて外出たり動き回るのも怖いし…色々考えながら僕はこの誘いに乗ることにした。

 起き上がって30m程進むと灯りが完全に途切れ真っ暗になった。そして後ろを振り返るとさっきまで寝転がっていた救急科の待合室にポツンと灯りが点いている。真っ暗な病院の中でただ一点に光る救急科の待合所はまるで十五夜の満月のように明るく優しく灯っていた。

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