神様、おれ様、何様
僕が目を覚ますと、そこはどこまでも暗闇が続く空間だった。
(あれ、確かさっきまでかなさんとポーカーで対決していて、それで…そうだ餃子!ああ、美味しい餃子だったたなあ。噛んだ瞬間に広がる肉汁とその旨み、それを追いかけるようにしてやってくる柑橘のような酸っぱさ!ん?待て、冷凍の餃子が酸っぱい?あれ、まさか…)
「大原綾人さん、おおばらあやとさん…この声が聞こえますか?」
どこから話しかけてきているのだろうか。すごい透き通った声だ、それはまるで女神のような……
「あれ?さっきまでおいしく餃子を食べていたのに…そんな、まさか僕はもうあっちの世界へ行っちゃったってことですか?」
僕は声を掛けてきている誰かに呼びかけた。少し間を置き、その声は返してきた。
「若くして残念でございました、さぞ無念も多かったでしょうに…」
「え、ええ……こ、ここはどこにおわし候うですか?」
真っ暗な空間の中で僕は彷徨った。
(てか周りマジで何も見えねえな…)
「迷える魂よ、さあこちらへおいでなさい。あなたを聖なる世界へ導いてさしあげましょう」
この女神のような声はすごく透き通った声をしている。聞いているだけでも居心地がよい。だが、なぜだか見下されているような感覚もある。そもそも、真っ暗な空間でどうその声の主の元へ辿り着けばいいのか全くわからないというのにこっちへ来いと、ああなんか腹たってきたな……
「来れば都ですよ、何も怖がることは___」
「あのさあ、おたくの態度どうなってんのよ?」
今まで神やあの世に対して変に期待し過ぎていたのかもしれない。もっと明るい空間で翼を生やして飛び回れるものかと思っていたのに羽根の一個貰えないのも腹が立つ。僕はあらゆる方向に指を差しながら全力で抗議した。
「迷える魂よ、今更血迷う必要などありません。私にもとへ___」
「神様か天使かわっかんないけどさ、迷える魂とかじゃなくって僕という1人の“お客様”に、どこに何があるか一切見えない空間で私を探してね?そんな無理難題押し付けていいんでしょうかねえ!!」
「お気を乱される気持ちも分かります。ですが___」
声の主はあかるさまに動揺しているが、僕はそんなこと一切気にすることなく間髪入れずに返した。
「あなたもだけど”お客様“も、神様なんじゃないのお〜??ねえ!」
「…お、お客様、ご無礼いたしました……」
あの世にハラスメントもくそもない。現世だったら大炎上だろうけど。
「とりあえずさあ、目の前真っ暗なのにどうやっておたくがいるとこに行けばいいの?まさか自分がいる場所も教えることができない訳?」
「あ、あのそれは……」
「何?それはさっき説明しましたとか言いたいの?ああもうそれはどうぞ勝手に言ってもらえばいいからさ」
「ええい!もう相手にするのめんどくさいから現世に戻りなさーい!!」
真っ暗だった視界がだんだん白く、明るくなっていく。
(ふっ、勝ったな)
そう思いながら僕はゆっくり目を開けた。




