激熱200W 3
お互いに目を見合った、そして…
「おらあ!7、8、9、10、11のストレートだ!これはさすがに_____」
「フルハウス」
「え?…」
「ほら見て、クイーンのペアと、7のスリーカード、2つ合わせてフルハウス」
え、えええええええええええええ!?!?!?
勝利の女神が微笑んだとかじゃない。勝利の女神にドーピングでもしてもらったかのような強さだ。一発目でフルハウスなんて引けるはずがない。
「へへ、一本目は私が取っちゃったねぇ〜」
「まあまあ、次だよ次!」
今度は僕がカードをシャッフルした。一発目でフルハウスなんか出ないようにすごい入念に混ぜた。
「よし、私もあーやくんもカードを5枚引いたね」
「マジで頼むからあんなの出すなよ…」
「分かってるて〜」
「ではいざ尋常に…」
「デュエル!」
「デュエル!」
ゲームが変わってると言われるかもしれないが、気にしないでおいてほしい。
2ターン目
さて、僕の手札は……
「私全部カード変えるわ」
「へ?」
おいおいどういうことだ、後2回番が回るとはいえ普通そんなことはしない。どんなに手札が悪くても少なくとも2枚は残しておかないと強い役を作れない。
「ほら、あーやくんの番だよ」
そうだ忘れていた!手札手札……なるほど。スペードの4、ハートの1と10と13と、ん?これは…
「じゃあ僕1枚だけ交換するよ」
「そう…じゃあ次は私だね」
僕が交換したカードはスペードの4。そしてやってきたのはハートの8。
「流石にもう全部捨てるなんてのはしないかな」
「僕もう交換いいや、かなさん後2回交換しなよ」
「あれ、さっきそれ言って負けたのに。また負けたくなったの?」
(くそ、舐めた真似しやがって…)
「まあいいや、私交換するのこれで」
かなさんは手札を2枚残して3枚のカードを交換したが、
「ん〜もう1回!」
そのまま続けてカードをもう1枚交換した。
「さあさあ、もう交換できないからさっさとお互い手札を見せようじゃ無いか」
「あーやくん私手札事故ったわ……」
かなさんは浮かない表情でカードを見せた。
「はい、私の手札はブタです。ぶーぶー」
そんなかなさんとは対照的に、僕は自信満々で手札を見せた。
「ほい、ハートのフラッシュ!僕の勝ちだねって、あれ?」
かなさんの手札をよく見てみると、絶対にあるはずがないハートの8が入っていた。
「よーし!次は負けないぞあーやくん!」
「待て待て待て、お嬢ちゃんこれは一体何の冗談だ……」
「わーっはっはっは!きっと疲れているんだよ君は」
「いやいや、だって僕の手札にハートの8があるのになんで……」
「細かいことは〜気にしない!ワカチコワカチコ〜」
何を言っても話が遮られてしまう。しかもしれっと手札を戻して山札シャッフルしてるし。
こうなってしまった以上、僕の切り札を使うしかない。
「かなさん、正直に言わないとかなさんのキャッシュカード盗んであれこれしちゃうよ」
「え?でも私の口座の暗証番号だなんてわかるはずが……」
「1222」
「ふぇ?」
「1222、でしょ?口座の暗証番号」
そう、かなさんが僕のクレカの暗証番号を知っているように、僕は僕でかなさんの口座の暗証番号を知っていたのだ。ちなみに、なぜこの番号なのがわかったかというと、ショッピングセンターなどのATMコーナーに行った際に、ジャ◯ネットたかたのあの歌を口ずさんでいたからだ。まさか暗証番号を「お電話番号は、0120ー………」のあれなんじゃないかと思って試してみたら……というわけだったのだ。てか、セキュリティがガバガバ過ぎる。
「さあどうしようか?このまま試合を続けて口座乗っ取られるか、正直に白状するか、言ってごらん?」
我ながら、少々鬼畜なことをしてしまったと思った。
「すみませんでした……同じ種類のトランプを予め買って、服の袖を萌え袖っぽくしてそこに何枚かカードを隠してました、私の負けです……」
2ターン目にしてまさかのジャッジキルという形で勝負は終わった。もしこれがドラマのワンシーンだったらブチギレてテレビのリモコンをベランダにぶん投げていたと思う。
ポーカーに勝ち、500Wで温めた待望の晩御飯がやってきた。
「いっただきまーす!!」
「あーやくんお待たせ!まだまだあるからじゃんじゃん食べてね!」
目の前にはテーブル一面の湯気をモクモクと立て香ばしい匂いの餃子が出迎えてくれた。よくやった!ここまで本当にがんばった!ぶっちゃけ同じイカサマはしてたけど別にバレてない!そんな声が聞こえてきた気がした。
口に入れた瞬間パリッ!という食感とジュワッと広がる肉汁の旨さが頭のてっぺんを突き抜けていく。1噛みするごとにモチモチな生地とアンが飲み込まずにそのまま噛んでくれとばかりに僕を離してくれない。ああ、幸せ…幸せだ……
「かなさん、これすっげえうめえよぉ……」
「あーやくんが喜んでるならそれで何よりだね。そろそろ私も食べよっかな……って…あーやくんどうしたの?大丈夫?」
突然手足の末端が痺れ始めた。サーっと血が抜けていくような感覚が痺れている手足からジワジワと全身に広がっていく。やがて、その感覚が頭の方までやってきた。
(ダメだ、どこにも力が……入らない……)
バタン!
「ねえあーやくん!起きれる!?ちょっと、あーやくん!!」
僕はその場に倒れ、真っ白の視界の中を彷徨いながら意識を失った。




