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明日も笑おう  作者: 葉加多錬一朗


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3/11

激熱200W

 「お母さんこと、かなさん。正直に言います、私は今……」

「電気を点けて冷蔵庫のおかずを貪り、床で大の字になって寝転んだまま君が代を熱唱しようとしていました、ですか…」

「かなさん、僕が喋ってる途中で被せてくるのやめてもらっていいっすか?あと、そんな変な姿勢で君が代を歌うと右寄りの方達に怒られます。」

「分かった!やめる!」

素直すぎるかよ。

 「でも、家の電気点けないでよね……」

「……うん…」

説明しよう!前に話した通り、彼女…いや、かなさんは、電子レンジと冷蔵庫以外電気を使わなければ生きていけるというアタオカ…特徴的な思考をお持ちなので、日が落ちてしまうと家中真っ暗になってしまうのだ!

 ただ本当に真っ暗だと何もできなくなってしまうので、リビングの机に一本だけ停電用のローソクを置いてその灯りを頼りに夜を過ごす。

 ライターの火をローソクの先端に近づける。ついでに蚊取り線香にも火をつけて、ベランダに置きに行く。

「すごいね!まるで毎日誕生日ケーキを食べてるみたい!」

と、かなさんが言ってた気がする。

 

 そういえば思い出した、晩御飯!今日の晩御飯のことを全く考えていなかった。いつもはかなさんが居ない間に適当に近くのスーパーで値引きになったお惣菜を買って、肉や野菜もろもろをササっとフライパンでヒョイっとするのだが…

「かなさん、お腹空いてない?せっかくいつもより早い時間に揃ったんだし、どっか食べに行く?」

「お腹空いてない?って言われると思ったから、帰ってるときスーパー寄り道して色々買ってきたよん」

おお、助かる助かる。ぶっちゃけ寄り道するくらいなら早く帰ってきてほしかったなと言いたいところだがここは何も言わないで黙っておこう。

「玄関の前に置いてるエコバッグの中に入ってるから、冷蔵庫入れといてねー」

「オッケー!さてさて、何を買ってきたのか………え?」

 バッグに入っていたもの、それは、何パックもの冷凍餃子ただ一つ。一個一個取り出して数えてみるとその数なんと7パック。ちなみに増量キャンペーンで2個増量の1パック12個入り。

 別に冷凍餃子があること何か問題でも?と思われるかもしれない。食べ盛りの大学生なんてこんな量大したことないだろう。それに冷凍なので何日か冷蔵庫で置いといても問題はない。だが、

「かなさん、これ全部レンチンタイプだよね?」

「うん!ただのレンチンじゃないよ!激うまレンチン簡単餃子3Vだからただのレンチンではないよ!」

出た、もはや1とか2とかの存在が忘れ去られている商品。

「あの、ちなみに何Wで解凍なさる予定で?…」

悩む間もなくかなさんは即答した。

「200Wに決まってんじゃん、当たり前でしょ?」

「あの、十分に温まらないと思うんですが、その時はどうしたら…」

「そりゃあもう、あーやくんの保険金でディ◯ニー行く以外ないでしょ」

なるほど、もう死ぬか入院する前提であるというわけですか。

 これは困った、200Wの超ザコ火力で冷凍餃子を解凍して食うには無理がありすぎる。1個2個ならまだしも、7パックともなると大ごとになりかねない。

 伝え忘れていたが、我が家では電子レンジと冷蔵庫は使えるが、電子レンジは必ず200Wモードだけしか使えないというルールがある。さらにうちはガスがない(契約してない)のでコンロも使えない。

 それを分かっていながら、500Wで1分50秒温めてからお召し上がりくださいと書かれた冷凍食品を買ったか本当に不可解である。まあかなさんだし仕方ないと思っておこう。だがやっぱり、

「あ、あの…かなさん?今一瞬だけ!どうしても今このときだけでいいからさ、500Wでレンチンしちゃだめ?」

「う〜ん……あ、そうだ!」

かなさんが僕と目を合わせながらゆっくり近づいてくる。

「私とポーカーで勝負して、もし勝ったら1週間500Wでレンジを使ってもいいよ!」

「ええっ!本当!?」

 わざわざじゃんけんなどのシンプルなものでなく、トランプや麻雀で勝負を仕掛けるのがかなさんスタイルだ。

「でも、ただじゃあぁないよん」

「ほう?」

「クレジットカードって、持ってる?持ってるよねえ?」

「まさか、いやいやいや、持ってたとして一体何が…」

「7962」

「ふぇ?」

 話してるときに被せないでくださいと突っ込もうと思ったが、急なことすぎて僕は固まってしまった。

「7、9、6、2、だよね?カードの番号。もし私が勝ったら、1週間それ貸してちょーだい」

(待て、待て待て待て、何で僕のカード番号知ってんの?え、でもこれ勝たないとめんどくさいし…)

 話のレベルがとんでもなさすぎてフリーズしてる間でも、彼女はジリジリ距離を詰めてくる。そして、僕の耳元で静かにささやいた。

「治療費とクレカの料金、どっちが安いかな〜」

 僕は思った。逃げられないそして負けられない戦いを仕掛けられたのだな、と。

「よし乗ったあ!どこからでもかかってこい!」

 電子レンジとクレカを賭けた戦いが今始める!


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