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明日も笑おう  作者: 葉加多錬一朗


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2/11

ぶっちゃけ僕が怒りたい

 どうしよう…どうしようか……

家に帰ってきたらまずやることとはなんだろうか。

 鍵を開けて、玄関で靴を脱いで、靴に消臭スプレーぶっかけて、靴を揃えて、靴を靴箱に入れて、

(てかなんか靴ばっかりで嫌だな……)

そして、そして………

「部屋の電気を付けるーー!!!!!」

「うわあぁぁぁビックリしたぁぁぁぁ!!」

 彼女が突然そう言いながら背後からが肩をつかんできた。

「あ、あ、あ、あの、いつから家に…ご臨席あそばられていたのでしょうか??」

余談だが、僕は驚かされたりパニくったりすると言葉遣いがおかしくなる。

「私がちょうど帰ってきたタイミングであーやくんが帰ってきたからさ。こんなチャンスもう二度とないだろうし、ビックリさせよ♪って思って」

 僕が帰ってくる前に帰ってくることなんていくらでもあるでしょうに、このお嬢様は何を言ってるのだろうか。

「ていうか、あーやくん今部屋の電気付けようとしたでしょ!お母さん怒らないから正直に言いなさい!」

 実は、この家を借りる前にこんなやり取りをしていた。

「あーやくん、この家借りようよ!」

「えぇ、う~ん……」

「駅チカでぇ、マンションでぇ、マンションでぇ、それにぃ…でへへへ!」

 大学入学前、大学が違うとはいえ、生活賃も浮くし病気になったときに助け合えるという理由で、中学から知り合いの彼女と同棲することになった。

 不動産屋さんで資料を1つ1つ見ながら悩んでいる僕とは対照的に、彼女はこれがいい!これがいい!とずっと同じ物件を指差している。

「あのぉ、こちらの資料はお持ち帰りいただいても大丈夫ですから……」

 不動産屋の人がそう言った瞬間、

「決めました!家賃月10万なんか気にしない!この物件にします!印鑑砲ドッカーン!!」

そのまま彼女が印鑑をとりあえずありとあらゆるところに印鑑を押し始め、止めようがなくなったため彼女が激推しした物件に住むこととなった。

 10万円という重たい家賃とは裏腹に、彼女の心は軽い。

「電子レンジとエアコン以外電気を使わなければ余裕でしょ!」

という考えのもと暮らしているので、夜は家が真っ暗になるし、スマホの充電はフードコートのコンセントなどからしないといけない。

 もちろん、このルールを破れば語尾が「ゴミカス」になる。


  「ほらあーやくん!お母さん怒らないから正直にいいなさい!」

「お母さん既にお怒りの様子ですが大丈夫でしょうか?」

 どうも、マンションというなの洞窟暮らしのあーやくんです。

 



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