もう1人の同居人 3
「ふう、口ほどにもなかったぜ!!」
あれからおよそ2時間、ものの見事に欠片を繋ぎ合わせエモい茶碗を作り上げていた。
「かなさんやっぱすげえや、何でもできちゃうじゃん!!」
「まあ昔色々と習わされていましたからねぇ~手先がそれだけ器用になったんでしょう」
ガララララ!!バン!!
突然ベランダのドアが勢いよく開き、冷たい強風が部屋中に入り込んでいく。
「やばい!逆鱗にふれちまった!こ、殺されるーー!!!!!!」
「……」
「か、かなさん!何ボーっと突っ立ってるんだよ!今すぐ神社だのtempleだのなんちゃら宮とかでお祓いに_____」
「調子乗ってんじゃねえぞゴラア!!」
かなさんはベランダに向かって叫んだ。
「大体なあ、ここまでやさしくやさし〜く接してあげたのにさ?まだわがままするわけ?ねえなんか何かごめんなさいとか言ったらどうかなあ!!それに、ベランダこじ開けるくらいなら洗濯物取り込んでたたんで箱のなかにでも入れとけやぁぁぁあ!!!!」
風は更に勢いを増した。
「かなさん!!吹っ飛ばされるよーーー!!」
「あーやくん、こいつとは話が通じない!!“あれ”をするしかない!!」
「ま、まさか中学のときの……あ、あれはだめだぁぁ!!」
遡ること幾年か前。
「ぎゃあああああああああ!!」
「あーやくん!見たよね?見たよね??見たよね???」
鍵を閉め誰もいないはずの放課後の教室に白いワンピースを着た髪の長い女性が居て、丁度帰ろうとしていた僕とかなさんはその女性を廊下越しに目撃した。
恐怖で震えあがっていた僕を尻目にかなさんは毅然としていた……が、
「やべ、宿題忘れちった。あーやくん付いてきて」
「いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ」
「しょうがないなあ、じゃあ私オリジナルの最強の除霊法をお見せしよう」
「ふぇ??何それ??」
パチン!!
かなさんは白目をむいて急に僕にビンタをかましてきた。
「痛っ!!き、急に何するんだよ!!」
「……ひぇ、ひぇひぇひぇ……ぐうぇっへっへっへ!!」
白目のまま腕の力を抜いてぶらぶらとさせ、不気味な笑みを浮かべながら後ろへ退く僕のもとへゆっくり近づいてくる。
「うまそお……おいしそう……」
「かなさん、僕は美味しくないよ……僕はシャウエッセンでも黒毛和牛でもないよ?」
「いただきまぁぁぁぁぁっす!!!」
そう言って僕へ飛びかかり、あらゆるところを噛んできた。
「痛い痛い痛い!!い、いやあああああ!!」
30秒ほど経ってさっきまで何事もなかったかのようにかなさんは元通りの姿になった。
「憑依させてみたの!どうだった?」
「どうだったじゃねえよ!!僕本当に食われるものかと思ったしそれに(以下略)」
その後教室の中に居た女性は姿を消し、無事宿題を取って家路に就いたのだった。
「……ということで、あーやくん!!」
「いやだああああqceuseiaibso!!!」
部屋に入ってくるおぞましい風をものともせず、かなさんはゆっくりとベランダの方へ進んだ。
そして……
「お前の*****を***して******ってやるーー!!!!!!!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
そこから先のことは全く覚えていない。
気がつくと目の前には丁寧に折り畳まれた洗濯物が積み重なっていた。
首筋に一瞬冷たい感覚が走り、耳元でボソッと呟くような声が聞こえた。
「すんませんでした……」
辺りを見回したが、かなさんの姿は見当たらない。ということは……
(あぁ、なんか反省したんだろうな……)
以来、我が家では食器が割れることなどはなくなり、逆に使った食器がピカピカに洗われていたり、勝手に洗濯物が干されていたりするようになったのでした。




