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空架ケル虹の彼方 -Unlimited Longing-  作者: 山並萌緩
イェソド大陸-研究都市ノーティア

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81/85

#81「分かったこと」

「じゃあ、いくよー!」


丸太の前に立つアンリが大きく腕を振りかぶった。


――その瞬間、私は"知覚"の意識を集中させる――


超小型の(マイクロ)―――」


アンリの体の中心から、腕、手の先へと、微量な赤い<壮烈>のオーラが流れていき――


――拳の先の一点へ―――


「―――大・爆・発(エクスプロージョン)!!!」


――オーラを乗せた拳は、丸太に直撃し、


ズゴォォォォン!!


その力を"解放"して、爆発を引き起こした......!



パラパラ......



直撃を受け"破壊"された丸太は、爆風の中で塵のように粉々になっていく。


――問題はここからだ。


攻撃を放った直後のアンリの体は、筋肉が過剰な緊張状態となり、確かに硬直を引き起こしていた。


...だが、これは体そのものの異常というよりは......


「............ぅーーごけたっ!!」


硬直が始まり数秒......約7秒から8秒といった時間の後、アンリの硬直が解け体の自由を取り戻す。


「どうじゃ、シオン。」

「ああ、あの感じは肉体そのものの反動というより、()()()なものと見るべきだろうね......。」

「やはりそうか......。」


......この結論は、もとより想定していたものの中でも一番可能性が高いと思っていたものだ。

<壮烈>のオーラを扱ったアンリが気絶や体の硬直を発生させることはあっても、それに付随する後遺症や体の異変などは無いと聞いていた。

そのため、体そのものよりも()()()()()()()()()()()だという仮定へ行き着くことになる。


実際、今見たアンリの体は、その仮定を裏付けるような動きをした。

だが、そうなると.........


「おじいちゃん!シオンちゃん!どうだった?」

「アンリのこと...何か分かったの......?」

こちらへ駆け寄るアンリと不安そうな様子のスズネに問いかけられる。


「先生、話しても構わないかい?」

「そうじゃな...。話してやりなさい。」

先生の承諾に頷きで返事を返し、アンリとスズネに話し始める。


「...まず第一に、今アンリが<壮烈>のオーラを扱った時に起きた硬直は、体へ大きな悪影響をもたらすものではないはずだ。」

「!...本当!?」

真っ先にスズネが反応した。


「ああ。アンリの身体に起こった硬直は、『強い力を扱った反動』...の様なものではなく、力を扱ったことに起因する『()()()()()()()()』によるものだった。」

「停止命令......?」

「これは、脳からの指令により筋肉が過剰な緊張状態へと変化し、一時的な硬直状態を与える...というものだ。つまり、アンリの身体で起きていたことは脳からの指示の結果であり、後遺症などの悪影響が発生する可能性は極めて低いと考えられる。だから、ひとまず安心してもらって大丈夫だ。」

「そっか......。良かった.........。」

スズネが安心した様子で胸を撫で下ろす。


「......えっと...わたし、<壮烈>のオーラを使っても大丈夫ってこと...?」

そう問うアンリの様子は、まだよく分かっていないという感じだ。

話の流れは分かったが、詳細の理解が追いつかなかった、といったところか。


「そうだね、扱うことに問題はない。......ただ、今回見れていない気絶するほどのオーラの使用や、今回と同量であっても短期間での過度な使用によっては、悪影響が出ることがあるかもしれない。だから使用に細心の注意を払った方がいい、ということは肝に銘じておいてくれ。」

「...うん、わかった......!」

アンリが大きく頷く。


――ここまでは、今観測出来た()()だ。

そして――


「......ねえ、シオン。アンリのこの症状は治せるの...?」


――当然発生する疑問に対する答えは、未だ()()の域を出ない。


スズネへの返答の代わりに、先生へと視線を送る。


「――すまんのぉ、二人とも...。ワシもシオンも今の段階ではハッキリとしたことは言えんのじゃ。」

「.........そう、なんだ......。」

先生の返答にスズネが落胆の様子を見せた。


......実際のところは、アンリの症状へ対処する当てはある。

だが、今の段階で()()()が安易に触れることは出来ない。


「おじいちゃん大丈夫!わたしは平気だよ!」

少し暗くなった空気を変えるように、アンリが明るい口調で言う。


「...ありがとうの、アンリ。じゃが、心配するな。」

「え......?」

「この件をなんとかする当てはある!じゃから、安心してワシに任せておくんじゃ!」


先生が胸を張って宣言する。


「おじいちゃん...!」

「おぉ...!おじいちゃん、かっこいい!」


「そうじゃろ、そうじゃろ...!......孫たちの羨望の眼差し、たまらんのぉ......。」


......この件に関して私たちに出来ることはもう無いのだから、先生が胸を張るようなことはないのだが...。

しかし、また先生の緩んだ顔を見るハメになったな...。

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