表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空架ケル虹の彼方 -Unlimited Longing-  作者: 山並萌緩
イェソド大陸-研究都市ノーティア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/85

#70「1対1の戦い」

「お願いします!」


演習場の真ん中から距離をとったところで、ヒーナちゃんと見合い挨拶をする。


「こっちこそお願いします!本気で来ていいからね、アンリちゃん...!」

「うん...!」


今から始まるのは、ヒーナちゃんと1対1の戦い。

要するに組み手と同じことだと思う。

シオンちゃんが言うには、どちらかが降参するかシオンちゃんのストップがかかるまで続けていいそうだ。


「二人とも準備はいいな?」

「「もちろん!」」

シオンちゃんの確認にわたしたちは同時に答える。


「フ...よし、」

シオンちゃんが腕を掲げ――


「はじめ――」


ズンッ


――振り下ろされると同時に地を蹴った...!


「―――!」

「ハァァッ!!」


一直線にヒーナちゃんへと向かっていき、拳の力を"増強"して――突き出す!!


ドスッ――

わたしの拳は、ヒーナちゃんのお腹に突き刺さった――

「!?」

「っ...!やるね――」

――のに、()()()()()()()()()()()...!!


「――今度はこっちの――」

――!

「――番ッ!!!」

拳を受け止められてガラ空きになったわたしの下から、ヒーナちゃんの拳が飛んできた...!!


「ぐッ...――!」

お腹を拳に抉られたわたしの体は、後方へ浮き上がり――

「っ!?」

――勢いが()()した――!?


ドゴォォォォォン!!


――背中に強い衝撃が走る......!


「アンリ!!」


わたし...壁に...!?


ヒーナちゃんの拳は、わたしを少し浮き上がらせる程度には強いものであったけど......殴られた地点から壁までの5()m()()()()()()()()()()()()()()じゃないはずだ......。


「......。」

壁に打ち付けられた体を引き剥がし、体勢を整える。


「アンリ、大丈夫!?」

「うん...!スズネちゃん、わたしまだやれるよ...!」

スズネちゃんの心配する声に、ヒーナちゃんへの視線を外さないまま答えた。


「ふふっ、アンリちゃん今のすっごい早かったね!私、ビックリしたよ!」

「うん...!わたしもビックリした...!」


渾身の一撃に手応えが無かったこと、そして空中で急加速したわたしの体...!


「今のどうやったの...!?」

「うふふ〜気になる〜?私に勝ったら教えてあげる!!」

「!...がんばる!!」


ズンッ


また、地を蹴った――


「――やっぱはやっ――」


――でも、今度は――


「――ぉ!?――」


――勢いを使って後ろへ回り込む!!


「――ぅおりゃっ!!」

回り込んだヒーナちゃんの背中へ、拳を打ち込み――


「ぅわっ――」


ドゴッ

――体を吹き飛ばす...!


「――ッ...!」


ドゴォォォォォン!!


――え...?


ヒーナちゃんの体が、壁に激突した。


「あたたた......」

...たしかにさっきよりは手応えがあったけど、なんであんなに......?


「あはは......失敗失敗...。」


それに、ヒーナちゃんの体......わたしの拳が届くより()()()()、吹き飛び始めていたような......。


「――アンリちゃんっ――」


――っ!


「――油断しちゃダメだよっ!」


思考に気を取られて、こちらに接近するヒーナちゃんに反応が遅れる――


――はやい――


――拳が迫って――


―――けど――!


ズンッ


「え――」


―――見切れる...!!


地を蹴って、振り上げられた右腕と逆の方へ跳んだ。


――そしてそのまま......!


ズンッ


着地した先で再度地を蹴り――逆方向へ...!


「――っ!!」


こちらに反応したヒーナちゃんの体が、わたしの拳を正面に捉える。


今度こそっ...!


ドスッ


拳は届いた――でもやっぱり手応えがあまり無い......!


そして――


「―――」


――またわたしの隙を狙うように拳が――


――でも、また――


ズンッ


――避ける!!


「っ――!?」



そしてまた逆方向へ――!!



当たっても手応えが無いなら――


――何度でも、当てに行く!!






―――。


「はぁ......はぁ......」


あの後もひたすらにわたしは避け、拳を振るい続けた。

だけど避けられないことが増えてきて、今もヒーナちゃんの()()()によって壁の方へ吹き飛ばされたところだ。


......なのに、わたしの拳は一向に手応えを得られない......。


いや正確には、()()()()()()()だけは手応えがある。

だからずっとそのチャンスを狙っているけど......。

ヒーナちゃんも、それが分かっているのか中々隙を突けない...。


でも、やるしか――



「――そこまでだ。」



「え...?」

もう一度踏み込もうとした矢先、シオンちゃんの声が響く。


「えー!?なんで止めちゃうのシオン先生ー!」

「シオンちゃん!わたしもまだやりたいよ...!」


ヒーナちゃんと共にシオンちゃんへ抗議の声を上げた。


「いや、君たち放っておいたら終わりそうにないだろう......。今回はあくまで戦い方を見たいのであって、限界を見るつもりはないよ。」


......あ、そういえばそういう話だったっけ。


「えー」

ヒーナちゃんはまだ不満げだ。


「ふふふ、ヒーナ。この場において、私は先生だぞ。」

「うっ...。そうだね...分かりましたぁ...。」

「アンリもいいかい?」

「うん」

...正直に言えば、わたしもまだ続けたいけど......。


「うん。それなら次は君たちだ。準備はいいかい?スズネ。エイリ。」

「ああ。」

「う、うん。」


そっか、次はスズネちゃんの番だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ