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空架ケル虹の彼方 -Unlimited Longing-  作者: 山並萌緩
イェソド大陸-研究都市ノーティア

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#64「知識と力」

「<夢想>のオーラの能力についてだが、この"創造"というのは、『オーラの生成装置』とも言えるものなんだ。」

「せいせいそーち?」

「ああ、生物の生命と精神、それらがオーラの力の源ではある。だが、それがオーラとして出力されること自体は<夢想>のオーラによる"創造"の力を利用していてね。」

「うーん...?」

「なるほど...?」

この辺りの話は、感覚的にオーラの扱いを習得した者にはピンとこないことも多いからな...二人のこの反応も想定していたものではあった。


「...そうだな、オーラの力というものは木のような形をしていると思ってくれ。」

黒板に簡単に木の絵を描いていく。

「木は根を通して地中から水分や栄養を吸収する。この地中というのを私たちの身体、吸収されるものを生命と精神のエネルギーであるとする。」


「そして、この根から吸収されたエネルギーがオーラへと変換されるんだが、その力が最初に通るのが幹の部分、<夢想>のオーラの出力部分だ。」

描いた木の根の少し上の部分を、紫のチョークで描いた丸で囲う。


「あくまでイメージではあるが、オーラの力というものはこの幹と、そこから伸びる枝...これらから出力されることで、君たちも扱っているであろう力を発揮する。」


「この幹の根本、<夢想>のオーラとして出力されたオーラは、上に行くにつれて()のようにグラデーションしていき...」

紫の丸に乗せるように、幹に沿って他の6色で丸を描く。

「...それぞれの色の部分から生えた枝...ここから出力されるのが他の6つのオーラだ。」


さて、ひとまず簡単な説明としてはこんなところだろうか。


「ここまでのイメージは問題ないかな?」

「うぅーーん......」

「...えっと、そうなると、私たちが使っているオーラは、元々は<夢想>のオーラ...ということ?」

「あ...!それだ!...オーラがオーラになってるっていうのが、よく分かんなかったかも...!」


ふむ、やはりそこが引っ掛かるか。


「そう、それが<夢想>のオーラの特異な点でね。」


「<夢想>のオーラの能力......"創造"は、オーラの力を()()()()()()()()()()()()する力を持つ。」


「この"創造"の力によって生命と精神のエネルギーという曖昧なものを、能力を発揮できる状態として出力しているんだ。...それが、私たちが普段オーラと呼んで扱っているもの、という訳なんだが...これを『実体オーラ』と呼び......"創造"を介する前の曖昧なエネルギー...これを『根源オーラ』と呼ぶ。」


「...つまり、『根源オーラ』が<夢想>のオーラの力を持ち、"創造"の力を働かせて『実体オーラ』として出力されたものが、一般的に呼ばれる『オーラ』...と、いうことだ。」


「――以上がオーラの基礎的な仕組みになるんだが、理解してもらえただろうか。」


「うん...大体はイメージ出来たかも......」

「...わたしも...なんとなくは、わかったような...?」


「ああ、今はそんなところで充分だろう。...実際のところ、今すぐ理解することが絶対に必要という訳ではない。」


「え?」


「君たちのように、既に感覚としてオーラを扱うことが出来る者にとっては、直接力をつけることに繋がるというわけじゃないからな。」


「じゃあ、なんで......?」


「......『知識』というものは、それそのものが力を持つ訳じゃない。......だが、理屈を知り、仕組みを知れば、そこには応用力が生まれる。それが体系化されると技術となっていくんだ。」


「...技術は効率よく力を引き出すが、その根底にあるのは、いつだって小さな知識の集まり......ならば、新しい技術の可能性を秘めるものこそ、知識であるという訳になる。」


「いいかい?人は新しい力を求める時、最初は一つの知識から始めるんだ。それが発展していくからこその技術...力なんだ。」


「だから、君たちが力を求めるというのなら――」



「――得た知識は決して無駄にならない。」



「「―――。」」



「だからこそ、人は学ぶことをやめないし、研究都市なんていうこんな街が生まれるというわけさ。......まあ、この話は先生の受け売りなんだけどね。」


「シオンちゃん!」


「お...?」


「わたし、勉強頑張るよ!もっといっぱい知って、知識、つけるよ!!」


「...!...そうか、やる気を出してくれたようで何よりだ。」


「私も......もっと知りたい...。力をつけるために...!」


...どうやら、二人のやる気に火をつけてしまったようだ。

こうなってくれるのは、私としてもありがたい。


――二人の成長は、()()()のためになる......かもしれないからな。


「ねえ、シオン。さっき話してた実験の話、もう一度聞かせて?......さっきの説明だと"創造"の力は、()()()()()()()()()()()()んでしょ?」


「ああ、ご明察だよ。」

――さすが先生の孫、というところかな。聞きかじっただけの話でも、自分の知識と比べて違和感を見つけたようだ。


「それじゃあ、<夢想>のオーラの"創造"...その力を能力としてどう行使出来るかについて話していこうか――」

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