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空架ケル虹の彼方 -Unlimited Longing-  作者: 山並萌緩
イェソド大陸-研究都市ノーティア

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63/85

#63「ここに来た理由」

「さて、互いの身の上話はこの辺りでいいんじゃないか?」

先生に視線を送る。

「そうじゃの。...そろそろ、本題に移ってもいいかもしれんが......」


「本題?」

「......もしかして、私たちが()()()()()()()、の...こと...?」

「ああ、その話をしなければならんが、二人とも長旅で疲れとるじゃろ。...ここまで長話もさせてしまったことじゃし、一度休んでもいいが...。どうする?」


...そう、彼女たちは何も、ただ祖父を訪ねてやってきた訳ではない。

本題となる彼女たちがここへ来た理由......それは、私も関わることであり、個人的には先ほどの話も含め早くその話で移ってもらいたいものなのだが...。

...先生の言う通り、彼女たちは疲労が溜まっているはずだ。これからのことを考えれば、無理をさせずに休ませるべきだろう。


「ここに来た理由......わたしたち、強くなるために......。――!おじいちゃん!わたし、早く強くなりたい...!休まなくても平気だよ...!」

「じゃが...」

「...私たち、ここに来る直前までは鉄道でゆっくり過ごせたので、そんなに疲労が残ってる訳じゃない...から、私からもお願い、おじいちゃん。」


そう訴える二人の瞳には、真剣さが宿っていた。

...彼女たちの「強くなりたい」という想い......それは、今日会ったばかりの私にすら真っ直ぐに突き刺さるような強さを持っていた。


「そこまで言うならいいじゃろう...。じゃが、どちらにしろ体を動かすようなことは、後回しにしてもらうがの。」

「...え?」

「じゃあ、なにを......?」

「座学じゃ。」


「「座学...?」」


―――。

「さあ、二人ともそこに座ってくれ。」

スズネとアンリを引き連れた私は、三階にある自分の部屋へやって来た。

ここには元々黒板があり、二人が来るということで用意した椅子と机がそこに向かい合っている状態となることで、簡易的な教室を形成している。


...本来なら先生もここに来て、共に彼女たちに授業をすると思っていたが、野暮用を思い出したとかで出掛けて行ってしまった。

彼女たちの訪問は分かっていたことではあるが、タイミングは分からなかった。実際、今日来たことも唐突ではあったからな、そういうこともあるだろう。

まあ、今から彼女たちに聞いてもらう話は、()()()()()()...彼女たちも無知では無いはずだし、おさらいとしての面の方が強くなるだろうものだ。

この内容なら先生がおらずとも、私だけで充分だろう。


「では、授業を始めよう。」

「お、お願いします...!」

「お願いしますっ!」


―――。

「では、まずこれを見てくれ。」


──────────

<壮烈>のオーラ

色:赤

能力:破壊

形質変化:解放


<強靭>のオーラ

色:橙

能力:増強

形質変化:圧縮


<叡智>のオーラ

色:黄

能力:知覚

形質変化:造形


<命脈>のオーラ

色:緑

能力:再生

形質変化:持続


<静謐>のオーラ

色:青

能力:減衰

形質変化:吸着


<蠱惑>のオーラ

色:藍

能力:歪曲

形質変化:拡散


<夢想>のオーラ

色:紫

能力:創造

形質変化:操作


──────────


黒板には、今しがた書き終えた文字たちが並んでいる。


「君たちはこの『オーラの基本』、どれくらい理解しているだろうか?」


「えっと、だいたいは知ってることかな...。...でも、<夢想>のオーラのことだけは詳しく知らなくて...。」

「...わたしも同じです...!」

「うん、充分だ。では、まずは<夢想>のオーラについて説明するよ。」


「はい!」

「はい...!」

...返事が良いな。


「...オホン。......この<夢想>のオーラなんだが、オーラの力の中でも特異なものでね。能力をしっかり扱うことが出来た事例が極端に少なく、近年に至るまで未知の部分が多いというのが現状だ。...君たちの母親がここで学んでいたという時期であれば、尚のこと分からないことが多かっただろう。だから君たちが<夢想>のオーラに関してだけ詳しくないというのも、教わる機会が無かったからではないかな?」

「...うん、確かにお母さんは<夢想>のオーラについてはあまり詳しくなさそうだった...。...まあ、それに限らず、お母さんは自分が使うオーラ以外は上手く説明出来てなかったけど。」

「そうなのかい...?」

「その、お母さんは感覚派というか、あまり理論立ててものを覚えるタイプじゃなかったみたいで、どっちかというと、お父さんが資料を見ながら教えてくれることの方が多かったかな...。ね?」

「うん!勉強はいつもお父さんが教えてくれたよ!」

「なるほど。」


二人の母である、エリナ・プルウィアについては先生からよく聞いている。

...確かにそこで聞いた話でも、理論派という印象は受けなかったな。


そして、二人の父であり、先生の息子、ナデル・ルクシア...いや、プルウィアに改姓したという話だったか...。とにかく、その人が今のスズネとアンリの知識の基盤となっているようだ。


先生の息子が関心を持っていたというのは、確か...地理や歴史関連だったと思うが...、そうなるとオーラの知識についても分野外であっただろうし、二人の知識にもどこか偏りがあるかもしれないな...。


「それなら...。<夢想>のオーラについてはこのまま説明を続けるが、...一度そこから発展させて、オーラの根本的な説明にも入っていこうと思う。いいかい?」

「「はい!」」


...やっぱり、返事が良いな。

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