1.いとこの鏡美が可愛すぎる
「鏡美。」
なんて美しいんだ…
月夜に照らされたその少女の長い髪は水色に透き通り、潤んだ大きな瞳は愛おしくてたまらない。
「水影…好き…。」
かわいい…俺も好きだよ、鏡美。
そのまま2人はキスをした。
お月さましか見ていない秘密の場所で…。
俺の名前は叢雲水影。帝桜魔法学園、高等部の2年生だ。ここはありとあらゆる魔法を勉強する学舎で、全寮制である。
魔法での闘い方のいろはも学べるし、芸術、医術、料理、科学など、魔法の可能性は無限大だ。様々な専門分野に精通したその道のプロフェッショナル達が指導してくれる。
「おはよ。水影。」
今、あいさつしてくれたのがいとこの鏡美水彩。
「おはよー。鏡美。」
「鏡美さんって素敵だよなぁ〜。品があるって言うか清純って言うか、鏡美さんが通るといい香りがする〜。お前のいとこなんて羨ましすぎる〜。」
こいつは友達の藍澤燈矢。1年の時から一緒のクラスだ。
「あっ!そっか!紹介してくれればいいんだよ!今、気づいた!オレのこと紹介してよ!鏡美さんにっ!」
「なんでだよ。自分で話し掛けろよ。同じクラスなんだから。」
「いいじゃん。話すきっかけぐらい作ってくれよ。」
「いーや。」
「なんで〜?お願〜い‼︎」
燈矢は両手を合わせてお願いして来た。
嫌だね。俺は鏡美のことが実は好きなのだ。燈矢を紹介してもしも鏡美と付き合うことになんかなったら絶対後悔する。だからごめんな、燈矢。
1限目は魔法吹奏楽。
魔法を使って一度に5種類の楽器を弾く術を習得する練習だ。
今はトランペットとトロンボーンを同時に操ることに成功し、次はクラリネットを追加して音を出す練習をしている。
これがなかなか難しくて…
「あっ!ごめん、鏡美。」
「ううん、大丈夫。クラリネット難しいよね。」
「とか言って、鏡美はもうバイオリンまでいってるじゃないか。」
「でも、バイオリンが一番難しいんだ。なかなか上手く弾けない。前、水影はバイオリンとピアノの時、一番早く会得してたじゃない。あれどうやったの?コツとかあったら教えてよ。」
「コツねぇ。コツは…まず、それぞれの演奏方法をイメージする。どちらの音の出し方も違うから、それぞれの楽器の弾き方を頭で明確に思い浮かべることが大事なんだ。」
「うん。」
「それを同時に出来れば両方の楽器が上手く鳴るって感じかな。」
「そっかぁ!わたしはバイオリンを弾くイメージが出来てなかったんだね。やってみる!」
とかなんとか言って、教えてもらうつもりが教えて終わった…。
と、言うことは俺もクラリネットを吹くイメージがまだまだということ。
魔法は難しい。何事も練習あるのみ!よし!俺も頑張るぞ‼︎
2限目は魔法折り紙学。
「すげーよな、燈矢は。なんでそんなに上手いんだよ!」
「折り紙の天才。人呼んで折り紙の貴公子とはオレのこと。折り紙を愛し折り紙に愛された男!」
「自分でそんだけ誉められるのもすげーよ。」
「だろ?」
「燈矢くん凄いね‼︎やっぱり天才だよ!ここまで上手な人、他にはいないよ‼︎」
鏡美が燈矢をベタ褒めしている。なんたること‼︎
「いや〜ぁ、才能とは溢れ出すものですなぁ〜!」
調子に乗りやがって〜‼︎
「ああっ!」
手元が狂った!途中まで出来ていたカンガルーの足の部分がぐしゃぐしゃになってしまった。
3限目の魔法農業学(今日は魔法ベジ作り)と、4限目の魔法炎化学が終わり、やっとお昼だ。
今日の午前の授業はかなりハードだったな。体力、魔力共に消耗した。
「水影、一緒に食べてもいい?」
「あぁ、いいけど。珍しいなぁ…。」
「うん。いつもの場所取られてたの。」
「そっか。」
「あれ?燈矢くんは?」
「あぁ、今日は部活の連絡事項があるからって集まってるんだって。」
「そうなんだ。燈矢くん、部活なんだっけ?」
「ミカシャープだよ。秋の学園対抗戦が近いからそれに向けてのミーティングだって。」
ミカシャープとは、雲の上で羽照というボールを操り、制限時間内に相手チームの守るバスケットに羽照を多く入れた方の勝ちという魔法スポーツだ。
「そうなんだ。大変そうだね。」
「うちの学園も優勝候補だからね。」
「応援しなきゃだねっ‼︎」
「ああ!」
鏡美とお昼ごはんを一緒に食べながらたわいもない話しをする。幸せな時間だった。
今回は一途な恋愛ものを書きたいと思います!
つづきもよろしく〜☆
水影の恋を応援してあげて下さい‼︎