五色糸の伝説 『クルス』と猟奇殺人
” ゴ~ン!
囲まれた山々に反響音を残しながら、その儀式は始まったと云う。
あたり一面立ち上るお香の煙の中、寺の住職は村人たちから納められた御守・御札・護符などが入れられた木箱を抱え護摩焚きの炎の前に立ったと云う。
弟子の坊主がお経を読み上げる中、一つ一つ丁寧にお焚き上げをおこなったと云う。
住職の手から御札が投じられるたび、炎は ”ゴ~オッ”と音をたて火柱を上げたと云う。
・・・そして、五色糸が入った御守の順番がやってきたと云う。
その年は3つの御守が納められていたと云う。
五色糸は満30歳を迎えた年に奉納しお炊き上げを行うこととされていると云う。
住職は御守袋の中から1本1本丁寧に取り出し炎の中に投じていったと云う。
そして最後の一つを開き、住職は息を呑んだと云う・・・。
5本入っているはずの御守袋の中から6本目が現れたのだと云う!
この村には五色糸が6本になったとき、神の力を授かるとも悪魔の力を得るとも言われる伝説が残されていると云う!
しかし村人たちは6本目の糸に気づいていない・・・・住職は迷ったが、騒ぎになる事を恐れ、何事も無かったかのように最後の1本を炎に投じたと云う!
そのとき!住職の手から離れた糸は立ち上る炎とともに天高く舞い上がり、そのまま行方はわからないままとなったと云う。
その御守には『くるす』と記されていたと云う・・・・・・・・。”
並木 恵が、来栖と会うのはあの日以来二度目である。
午後六時上野公園の”西郷どん”の前で待ち合わせをしたのである。
なけなしの一万円札を握りしめた来栖が、恵に気づいて走って来ていた。
駅前にあるカラオケボックスで、二人はお互いの傷ついた心を癒し合っていた。
恵はともかく、来栖は恵に淡い恋心を抱いていた。
「♪女房みたいに、ぬれた手を拭いて~♪」
恵が歌い、来栖が生ビールを飲んでいる。
「♪あなた・・迎え・に・・・ドアを・・・・・。」
向井の優しかった笑顔が、恵のほほを濡らした。
そんな恵の肩を来栖が優しく抱いた。
「いやぁ~!」恵はおもわず来栖を突き飛ばした。
酔って居た事もあり、来栖はテーブルの角に頭をぶつけ動かなくなった。
「大丈夫?来栖さん・・・」心配そうに恵は言った。
来栖は、何事もなかったかのように”スッ ”と立ち上がり、恵を一瞥してニヤッと笑った。
「今度の獲物は、この女ですか・・・?!」
恵は来栖の豹変とも思える態度に呆然と立ちすくしていた。
「私は、来栖です。」
来栖(?)は言って、獰猛な笑みをその唇に浮かべた。
「生ビールをお持ちしました・・・。」
カラオケボックスのドアが開いて従業員が入って来た。
年の頃は二十歳前後、色白の可愛い娘だ。
恵は来栖の一瞬の隙をついて、素早くドアの外へ飛び出した。
「な・・何をするんです・・・キャア~!!」
何かが割れる音がして、先程の従業員の娘の叫び声がカラオケボックス中に響いた。
近くの部屋のドアが開いて、カラオケ客たちが何事かと出てきた。
恵は茫然として自分がいた部屋を見ていた。
「どうしたんです。」「何かあったのですか?!」
他の客が恵を見て言った。
「何だ、今の悲鳴は・・・」 「どうした。」 「こうした・・・。」
次々とカラオケ客が集まって来た。
その時である、部屋のドアが乱暴に開いて、来栖が上半身を出してニヤリと笑い、部屋の外に出て来た。
右手に先程の娘の足を持っている。娘はどうやら気を失って無抵抗の状態で引きずられている。
一瞬!誰もが押し黙り静寂があたりを支配した。
「ほんとに何も覚えてないのです。」と来栖は蚊の鳴くような声で言った。
佐古田警部は、モジャモジャの頭を手で掻きまわしながら調書に書き込んでいた。
あれから、駆け付けた警官により来栖は逮捕された。
その際、軽傷の警官が二人、鼻の骨を折られたのが一人。そして、従業員が頭部陥没骨折で全治一ヶ月の重症である。
「何故あんな事をしたんだ。?!」
「・・・・・・。」
「今度はだんまりか・・」佐古田はため息をついた。
「どちらにせよ、今日は帰れないぞ!」
佐古田はそう言うと席を立ち、窓の側に行き夜空を見上げた。
大都会の夜が、無能な警察をあざ笑ってるかのように、佐古田は思えてならなかった。
「どうした、佐古ちゃん?!」
来栖の取り調べがひと段落ついて、自分の机で頭を抱えている佐古田に中村課長は聞いた。
「この頃いやな事件ばかりで・・・。」力なく佐古田は答えた。
その時捜査一課のドアが開いて、小林刑事が行きよいよく飛び込んで来た。
「警部・・目撃者が現れました。あの公園の近くに住む主婦何ですけど、不審な人物を目撃してます。」
「何、詳しく教えろ!」 佐古田は色めき立った。
「はい」小林は手帳を取り出し、パラパラとめくりながら、「あの死体が発見された日の午後三時過ぎ頃、自宅の家の二階から、ボストンバックを持った不審な人物を見てます。」と手帳を見ながら言った。
「どんな男だ・・!」横から中村課長が声を出した。
小林は、中村課長の方に向いて「女です。」と答えた。
「何、女だと・・・?!」と、佐古田。
「はい、黒いコートを着てサングラスをかけた・・女だそうです。」
小林刑事は一息つき。
「その女が重そうなボストンバックを抱えながら、公園の方に歩いて行ったそうです。」
「よし、明日モンタージュだ。」
「明日午前中に来てくれる約束をとっています。」
そう言って、小林刑事はニッコリ笑った。
次の日午前十時頃、一人の女性が小林刑事を訪ねて、警視庁捜査本部にやって来た。
小林はその女性を丁寧に迎え、佐古田警部に紹介をした。
「まず、あなたの名前をお願いします。」と佐古田。
女性は佐古田警部に向き直って話し始めた。
「私はあの公園の住宅街に住んでいる”玉村紀子 ”と申します。あの日の午後三時頃、私は二階の窓からぼんやり外を眺めていたんです。」
佐古田と小林は黙って聞いている。
「私・・なぜ、この家にいるのだろう?私の生まれてからの三十五年は何だったのだろう・・子宝に恵まれず、ぐうたら亭主はいつも午前様・・・!」
二人の刑事は顔を見合わせた。
「あっ、すいません。私が見た女の事でしたね。」
そう言って目頭をぬぐってまた話し始めた。
「確か、黒色のコートの襟を立てサングラスをかけてましたわ・・」
玉村紀子は遠くを見る目で、「髪は肩あたりまでのストレート、年の頃は20~40までは云ってないかも、大柄な女性で大きなボストンバックを持って公園の方に歩いて行きました。」
佐古田は小林に目で合図をした。
「玉村さん、モンタージュを創りたいのですけど!」と小林刑事が言った。
「はい、でも私自信ないです・・・けど。」
「分かる範囲でいいですから・・・。」
小林刑事は玉村紀子を促して部屋の外へ出た。ちょうどその時、警官二人に両腕を掴まれた来栖が連れられて来ていた。
「上からの命令で、こいつ釈放らしいぞ・・。」
「ほんとか、あれだけの騒ぎを起こして・・・」
「ああ、何でも被害者の店員の親が被害届を取り下げたそうだ。」
「他にも公務出向妨害・・・。」
「俺にもよく分からないが、こいつ心身症らしい・・・。」
玉村紀子は、来栖が連れて行かれるのをじっと見ていた。
「どうしました?」 小林刑事が聞いた。
玉村紀子は、来栖から目を離さず、「あの時の女に似てるような気がして・・・」 そう言って、「気のせいですわ。」と続けた。
「さあ、行きましょう。」
小林は玉村紀子を促して、モンタージュ作成室へと急ぐのであった。
玉村紀子の協力で出来上がった、モンタージュ写真は捜査本部全員に配られた。
中村課長は喫煙所でタバコをふかす佐古田警部の前に現れると 「来栖健二は”心神喪失”と診断された!」と頭を掻いた。
”心神喪失とは、精神の障害により事の是非善悪を弁識する能力(事理弁識能力)又はそれに従って行動する能力(行動制御能力)が失われた状態をいう。
心神喪失状態においては、刑法上その責任を追及することができない!”
そう言うと中村課長はポケットから禁煙用パイプを取り出し口にくわえた。
佐古田警部はその姿を横目で見てポツリとつぶやいた。
”なんでわざわざここで禁煙パイプなんだ?”
しかし、その日の夕方に、世間を震撼させる猟奇殺人事件がまた起きようとは、誰一人思いもしていなかった。
公園脇の住宅街の一角で、夕飯前の3人の主婦たちが集まり井戸端会議!
エプロン姿の主婦が「さすがにこの時期になると日が短くなって、まだ5時過ぎだというのにもう真っ暗よ!」と言うと、恰幅のいい主婦が「そうよねぇ!このあたりももう少し街頭を増やしてもらうように町内会で提案してもらわないと・・・子供たちの塾帰りが心配で・・・」とつづけた。
「私、明日早出なの・・ルール違反なのは知ってるけど今出させてくださいね」
二人のやり取りを、笑いながら見ていた小柄の主婦が、持っていたゴミ袋を見せながら収集箱のふたを開けた。
そのとたん、夕闇の住宅街に3人の悲鳴が響き渡った。
住民たちが次々とその声に駆けつけ、通報により所轄から難波警部と花田刑事がやってきた。
花田刑事が収集箱を覗き込むと、そこには段ボール箱に無造作に放り込まれた男の生首が・・・しかも両目をくりぬかれ、だらりと垂れた舌は右半分が切り取られ、髪の毛をむしりとられた後頭部には、鋭利な刃物で”天罰”と刻まれていた。
胴体部分は、収集箱の裏の50センチほどの隙間に、うつぶせに横たわっているのを警官が発見した。
その後、事件は警視庁捜査一課の担当になった。所轄のの調べで、身元は山岸元雄43歳住所不定と判明していた。
喫煙室で佐古田警部は、小林刑事にタバコの煙を吐き出しながら呟いた。
「小林君、また嫌な事件がおきたな。山岸元雄か・・この男は、公園の浮浪者暴行死事件の被害者の一人だ・・・たしか、枡園が会いに行った人物だったな。」
佐古田警部は短くなったタバコをもみ消したのであった!
その次の日は、早朝から住宅街殺人事件の捜査会議が開かれていた。
会議室には佐古田警部をはじめ、小林刑事ほか数名がテーブルを囲んでいた。
そこに、ドグマチールを飲まされた枡園警部補が検査のため少し遅れて入って来た。
いつもと変わらず、苦虫を噛み潰したような顔でドアを開けた枡園に、佐古田警部は心配げにたずねた。
「おう、まっさん!検査はどうだった?」
枡園は席につきながら 軽く頭を下げた。
「ご心配おかけしました。吐き気が多少残ってますが、検査では問題ないとの事でした。」
会議は再開され、佐古田は話し始めた。
「先程の、”来栖が犯人では?”との件だが、事件当日来栖は釈放されている・・・それと、司法解剖の結果、殺害されたのは前日の深夜!つまり来栖はまだ署内に拘留されていた。したがって犯人は来栖ではない。現在来栖には、見張り役を自ら志願してきた青木婦警が今朝から張り付いている。そうだね小林君?!」
小林は立ちあがった。
「はい、青木君には来栖の行動を遠巻きに見張るだけで、接触するなと言ってありますし、ここにいる皆さんより婦警のほうが怪しまれ無いだろうという私の判断で許可しました!」
「それに、彼女は有能だ・・・!」
横から枡園が口を挟んだ。
佐古田はうなづきながら 「今回の事件と前回の公園首切り事件の類似点は、首を切断していることと、天罰 の文字が書かれていた事!しかし、首の切断面が全く違う・・・・公園の方は鋭利な刃物が使われていたが、今回の方は刃物ではない何か別の物で・・・・切断というより、引きちぎられた!と表現したほうが良かろうかと思う。しかも殺害場所は発見された場所ではなく、殺害後あそこに運ばれたと思われるが、まだ殺害場所は不明だ!」
枡園は、佐古田警部の説明を聞きながらメモを取り、自身の行動と照らし合わせていた。
★公園首切り事件!
被害者は岸田杜雄(48)・致命傷は後ろからの刺し傷。
死亡推定時刻は、死体が発見された日の午前五時から九時。
死体が公園に遺棄されたのは午後二時から四時の間。
同時刻に主婦が不信な女を目撃・午後5時半ごろ遺体発見。その後モンタージュ作成、配布済み。
同日午後7時ごろ、、来栖拘束!
その日深夜、午前1時から3時、第二の殺人事件(この時点では未発見!)
翌日、枡園・青木休暇 午後1時、来栖釈放。同日午後2時、滝川と会う。
同日夕方、第二の首切り発見!
被害者は山岸元雄(43)・遺体は目をくりぬかれ、舌を半分切られ、体に多数の擦り傷・致命傷は頚椎骨折。
どちらの遺体にも“天罰”の文字★
枡園はペンを置き、もみあげをつまみながら呟いた。
「来栖健二・・五色糸伝説、多重人格・・・か!」
青木婦警の言った言葉が、枡園の脳裏をよぎって行った。
住宅街のゴミ箱から、首切り遺体が発見される8時間ほど前の出来事である。
都心から2時間ほど車を走らせると、オートキャンプ場“樹の海”の看板が見えて来る。
海岸に面して雑木林が連なるその一角に、数台の車が止められるスペースがあり、その脇にテントが張れるようになっている。
木立の間にコンクリート製の炊事場とトイレが常設されている家族向けのオートキャンプ場である。
管理人の古淵は、その日も朝早くから見回りにきていた。今はシーズンオフで利用客はいない。しかし、ほっておくと不心得者の手により不法投棄の山となるのである。
古淵は林の中に足を踏み入れた!そこにはナンバープレートを取り外された一台の車が止められている!
“クソー!放置車両か”車は天井部分が幌で出来た、ジープと呼ばれるオフロードタイプの車だった。“チッ!”と舌打ちをしながら車に近づいた古淵は、思わず息を飲んだ!
車の荷台部分は血だまりになっており、中央にはたっぷりと血を含んだ寝袋が捨てられていた。
捜査会議を終えたころ、枡園他数名の捜査班のもとに、隣町から“怪しい車を発見した、首切り事件に関わりがありそうだ。”との連絡が入った。
佐古田警部と小林刑事がパトカーで駆け付けた時には、すでに正午を少し回っており、現場にはロープが張られ現場検証も始まっていた。
所轄の警官が佐古田に駆け寄り 「ご苦労様です!」と敬礼し「車に残された大量の血液と微量の肉片は、住宅街で発見された“山岸元雄”のそれと一致しました。 あと、ナンバープレートは取り外されており、車体ナンバーから所有者の割り出しと、車の至るところに残された犯人の物と思われる指紋を現在照会中です!」
佐古田は警官の言葉にうなづきながらたずねた。
「うん!なるほど・・・今君は微量の肉片と言ったが、それは車のどこにあったのかね?」
警官は車の前方に回り指を指した。
「ここに絡まるように付着しておりました。」
そこには直径4ミリほどのワイヤーロープが巻かれた電動ウインチが取り付けてあり、巻き取られたワイヤーロープに血液らしきものがこびり付いていた!
血の付いたワイヤーロープを覗き込むようにながめていた佐古田警部はやがて顔を上げると「小林君!山岸元雄の首を切断した凶器がわかったぞ!」と振り返った。
小林は佐古田の顔を見た。
「警部・・確か被害者の首は刃物でなく、引きちぎられたようになっていたと!」
佐古田は頷きながら「うん、おそらく凶器はこのウインチだ! 犯人はウインチからワイヤーを伸ばし、先端のフックをどこかに・・・たとえば電柱のようなものに固定し、たるませたワイヤーに輪を作り被害者の首に巻きつけた。そしてウインチのスイッチを入れる・・・・首に巻かれたワイヤーは次第に首に食い込み、やがて骨を砕く・・・!」
小林はメモを開きながら疑問を口にした。
「なるほど・・・しかし、被害者の死因は窒息でなく頚椎骨折となっていますが!?」
佐古田はやや声を荒げた。
「4ミリほどのワイヤーだ!窒息する前に骨まで達する・・そして、体にできた無数の傷はワイヤーが巻かれるときに体に擦れて出来た傷だろう!」
そして車の後ろに回り、荷台部分を覗き込み血だまりに沈んだ寝袋を指差した。
「犯人は遺体をこの寝袋に押し込み、この車で発見現場まで運び遺棄した。その後この場所に車を放置・・・そう考えてほぼ間違いないだろう!」
小林は持っていたボールペンで開かれたメモ帳を叩きながら興奮気味に言った。
「1トン以上の車を引っ張る電動ウインチ・・・その力でワイヤーを巻き上げたら骨まで到達するのに数秒・・・・・窒息死する前に骨は砕かれる!言われてみれば確かにそのとおりですね。」
佐古田は感心する小林の顔を見つめながら呟いた。
「だが、犯人はなぜ目玉をくりぬき、舌を切断したのか・・・」
佐古田はもじゃもじゃの髪の毛を掻きむしった。
無線連絡のため、道路わきに止めてあったパトロールカーに戻っていた先ほどの警官が、腕を組み考え込む佐古田と小林のもとに、再び駆け寄って来た。
「警部!たった今無線連絡があり、車の所有者がわかりました。所有者はここから五キロほど先にある“ミドリ製紙”の独身寮に住む勝山誠二23歳・・・車に残されていた指紋を照会したところ、前歴もあるようです。」
「前歴!?」
佐古田警部は眉間にしわを寄せた。
警官は続けた。
「はい、勝山は17の時に両親が離婚・・母親は実家のある島根県に帰り、誠二はそれをきっかけに母方の勝山姓を名乗って、一人暮らしを始め就職する。ですが、気性の荒さから長続きせず、職場を転々としていたようです。前歴というのは、勝山がミドリ製紙に入社して間もないころ、サカリの付いた猫がうるさいといって登山ナイフで舌を切ったり、目を潰したり・・・なかには前足を切り取られた野良犬もいたようです!しかし、犬猫がうるさいというのはその場の言い訳で、実際には傷つけられた動物たちの苦しむ姿を見て喜んでいたという話です。2年ほど前のことですが、動物愛護団体から動物虐待で訴えられ始末書を書かされています!ほかにも路上で喧嘩騒ぎをおこしたこともあり、そのときの調書に驚きの事実が記載されてたそうです・・・・!」
警官の言葉に、佐古田と小林は互いの顔を見合わせるのであった。
「勝山誠二は両親の離婚前は父方の苗字を名乗っていました。」
警官は二人を交互に見つめて言った。
「ん・・・父方?そのことが何で驚きなんだ!?」
佐古田警部は警官の顔をにらむように見つめた。
警官は”ゴクリ“と喉を鳴らした。
「誠二の父方の姓は“山岸”、・・・・誠二の父親は殺された山岸元雄です。」
佐古田警部は、もじゃもじゃの髪の毛がちぎれるほどに掻き回していた!
五色糸の伝説篇
『クルス』と猟奇殺人




