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エンド

本編[世代の勇者]に関係するキャラクターの連載小説です。


[回復の勇者]ヒーリェ。

命を救う彼女は、何を経験し、何を失ったのか…

その日は突然訪れた。


[エンド]と名乗る魔王が、幹部を引き入れて襲撃。

私達は、炎の海へと変わった[原初の王国]で、ひたすらに戦った。


「はぁ…はぁ…」

広範囲に及ぶ私の[リンク]と回復魔法。アミの[肩代わり]と[即死無効]。シャネスさんの[完全回復]で、戦える仲間をアシストする。そこにジョーカーの[120%]が加わり、全力以上の力で魔王軍と渡り合った。


…それでも。たった一人の幹部によって、状況は一変した。


[俺(マイ)世界(テリトリー)]!!!」

「魔王軍?!」

虹色の膜が地面に伸びる。


「さぁ!!君の存在価値を!僕に…あ?」

「ゴホッゴホッ…」

「んだよ…ゴミか?」

「なに…これ…」

突然肺が苦しくなり、呼吸が止まる。瞬時に[リンク]を解除し、仲間に同じデバフを与えない様に立ち回った。


「[運]が悪りぃな?…いや?俺の[運]が良いのか!見た感じ雑魚どものヒーラーだよな?…鬱陶しいと思ってたとこだ…」

「うっ…」

「[試練]も展開出来ないところを見ると…なる程?お前無能だな?」

「ゴホッ…」

「ゴミが俺の視界に入るなよ…」

走り始めた魔神は、私の腹部を蹴り上げる。あまりの激痛に、一瞬。意識が飛んだ。再び振り翳される拳は、私の顔に…


「させねぇよ」

「?!」

魔神の拳を止めたのはゼウスだった。腕を引っ張り、投げ飛ばすと、着地した魔神は叫んだ。


「は?試練の中だぞ?!」

「知らねぇよ。仲間には手を出させない…」

「仲間?そのゴミか?」

「ヒーリェ?隠れて回復しろ。生き延びろよ…」

「あっ…」

「おもしれぇ!!名乗れ!!エンド様以来だ!俺の試練で立ってられるのはな!!!」

「…ゼウスだ。お前は?」

「ラック。安心しろ…お前は生かしてやる…」


激しい衝突が発生し、私は吹き飛ばされる。空気を吸い、回復したのち、私は再び[リンク]を…


バチバチバチッ!!!!!


「?!何…あれ…」

激しい音がなり、咄嗟に空を見上げた。天には、[創造魔法]で作られた巨大な怪物が、惑星程の大きさで生成されていた。


「ナタエル?!」

すぐに[リンク]を発動すると、[ナタエル]の感情が私に流れ込んで来た。


「「やだ…やだやだやだぃやだいやだ!!!!」」

「?!」

状況はすぐにわかった。理由は一つ。


[リンク]はナタエルにしか機能していなかった。


「みんなが…」

後悔と絶望に呑まれた私は、ナタエルの[創造]した怪物の剣が振り下ろされるのを…黙って確認した。


その時。世界を丸ごと青色のバリアが包み込んだ。


「あっ…」

見覚えのあるバリア。私はすぐに[リンク]を再展開し、仲間の意識を確認した。…確認できたのは五人。


[ナタエル][ラペン][シール][ゼロ][ファス]


そして…


(ソード)(レイン)!!!」

「んだこれ?!」

「喋るな!!気が散る!!!」

「どうせ死ぬなら!!一緒に死のう!!!!」

近くでライトとカイトが戦っていた。


「…[能力無効]…じゃあもしかしたら…」


まだ…終わってないのかもしれない…


瞬間。空のバリアが砕け、私達にバリアが付与される。振り下ろされた[終焉の一撃]は、エンドへと振り下ろされた。筈だった。


「?!」

[リンク]から…シールが消えた。

魔王と言え、ナタエルの一撃を喰らえば無条件で死ぬ。ラペンのバリアの様に、途中の守りや妨害も機能しない。それをエンドは…


「シールを盾に…」

「「###!!!」」

「ゼロ?!」

吹き飛ばされて来たのはゼロだった。涙を流しながら立ち上がる。手には[ファス]の愛用していた白黒の剣が握られていた。


「###…#####!!!」

「[俺]に言ってんのか?」

「###!!!」

「あ?知らねぇよ。弱い奴が悪い」

「#?」

次の瞬間。ゼロは白髪の魔神に襲いかかった。見たことの無い荒々しさに、恐怖を覚えた私は、同時に違和感に気付いた。


「心の穴が…空いてる…」

「##!!」

「ぅ…」

ゼロの剣が私の右肩を裂いた。


「?!」

「大丈夫ですか?!。」

突然エデンに担がれ、その場を離脱。崩れそうな小屋を[リセット]したエデンは、私を置いて歩き始めた。


「あの…!!」

「!。大丈夫ですよ?。ヒーリェさん!。生き延びて下さいね?。…行って来ます。」

「まって…」

私の言葉を…エデンは聞かずに消えた。


「私は…」

何も出来ていない


回復魔法?助けたい??…どの口が…そんな戯言をほざくのか。


「…」

夢しか見れず、実力もない。いざと言う時。力になれない。大切な仲間は死んで、足を引っ張って…しまいには…諦めてしまった。


自身の無力さに…吐き気がする。


「…強くならないと…」

無意識に呟いた私は、リンクを範囲内の魔王軍全てに付与した。鋭い瓦礫を拾い、私は喉に突き刺した。


「ゴァ………」

血が流れ、想像も絶する痛みが響く。瓦礫を抜くと、[リンク]を解除し、回復魔法で喉を治した。


「…はぁはぁ!!!!…弱い私には…こんなやり方しか…無いから…」

再び[リンク]を発動すると、500万を超える範囲内の魔王軍は8人へと減っていた。


更に同じ様に繰り返した。激しい痛みに涙を流し、100回を超えた時。目の前に文字が表示された。



[回復の勇者]獲得

→失う感情 [痛み]



「はぁ?!はぁ?!」

私は血だらけの瓦礫に目を向けると、一切の恐怖がなかった。何故なら…


##を知らないから


「…心が…空いた…」

瞬きをし、何故涙を流すのか疑問に持つ。何故辛かったのか分からない。だってそうでしょ?



 "喉を突き破るだけで、みんなに貢献出来るのに"



次は喉に突き刺した後、更に押し込み回転させた。血がダラダラと流れ瓦礫を抜くと、喉は勝手に回復した。


「回復系のスキル…ラッキーかな。」

立ち上がると、私は近くの椅子に座り、[ノア][アキラ][イリス][ラペン][アイリス][ジン][シャネス][ジョーカー][ナタエル][ゼロ][エデン]…[約23万人]を超える国民と[リンク]した。


目を覚ましたのは7日後の朝。


炎が消え、目の前に立つジョーカーは、悲しそうな笑顔で囁いた。


「…ごめん。…君に…そんな顔は…して欲しくなかった」

「…大丈夫だよ。ジョーカー。生きてたんだね。良かった。」

「…」

私を目に写したジョーカーは、涙を堪えた。


______________________


特殊  [マナリンク]

スキル [リンク]

スキル [超回復]

死亡数 48304164

弱点  なし

ランク 1stランク

______________________


「…どうしたの?」

「なんでも無い。みんな…待ってる…」

「…うん。」

ジョーカーは手を引き、私と小屋を出る。瓦礫を踏み、心の穴に疑問を持つ。少し歩くと、みんなが、私を心配してくれた。…一部を除いては…


「アイリス?」

「…ごめんなさい。あの…」

「?」

私は咄嗟にアイリスの頭を撫でた。下を向いたアイリスは、涙を流しながら…光を失った目で…呟いた


「…誰ですか?」

「…?!え…」

「ごめんなさい…"見えない"んです。分からないけど…悲しいんです……ごめんなさい…」

「?!ノア??アイリスの傷を癒して…」

私は咄嗟に、ノアを見た。しかし…ノアにも穴が空いていた。


「生きてるから…別に良いだろ?それに…俺の事も…見えてないみたいだ…」

「…そんな……」

辺りを見渡し、みんなを確認する。


[ラペン][ナタエル][アキラ][ライト][カイト]にも…穴が空いていた。そこで違和感に気づく。[イリス]と[ジン]。[シャネス]がこの場にいない事に…


「…イリスさんは?ジンとシャネスさんは…?」

「…ここを出て行ったよ…」

「?!なんで…」

「僕が話そう…」

アキラが前に出ると、魔王軍幹部との取引を話した。納得出来なかった三人は、私達と行動する事を辞めたらしい。咄嗟の事で理解出来ない私は、ひとまず生きている事に安堵し、もう一つ聞いた。


「…ナタエルは…何をしてるの?」

「#############################################################…」

「ジョーカー?ナタエルは…」

「…[詠唱]と[蓄積]だ…」

「…」

「ナタエルの[終焉の一撃]は、エンドに使ったものだ…でも…シールが犠牲になり、その後アミが殺された。…ナタエルは…自分のせいだと…」

「違う…違うよ…悪いのはエンドで、ナタエルは悪く無い!!」

「…そんな事は…みんな知ってる。でも…責任に…押し潰されそうなんだ。次同じことが起こらない様に[創造]を強化しないと、…今にも死んでしまいそうなほど…」

「…そんな…」

私は膝をつき、絶望する。以前の温かみは存在せず、ナタエルの心は、九割以上が空白だった。何を失ったのか?どれほど辛かったのか…恐らく…想像も付かないだろう。俯くアイリスの手を引くノアは、私とラペンを掴んで歩き始めた。


「ノア?」

「どうしたの?」

「…無駄話する暇はない。今はまず、国民の安全を最優先だ。ヒーリェ?ありがとう。辛かったよな?よく頑張った。」

「?私は何も…」

瓦礫の中を歩き、国民を非難させる。


エデンが国を[リセット]し、2週間もしないうちに、王国は再生した。


事件から数ヶ月後、第一魔王軍、第二魔王軍の設立と同時に、国民は普段の生活を取り戻した。








500年後

ふと空を見上げると、流星が流れていた。

空から見下す青い流星に、私は心から嫌悪した。


「まぁ…生きていれば…ハッピーエンドなのかな」

「なんだい?ヒーリェ?」

「別に。大丈夫。ラペンは大丈夫?」

「うん。元気だよ?…そろそろノアは、[太陽を覚ましてくれた]かな?」

「どうだろ…アイリス…大丈夫かな…」

ご覧頂きありがとうございます。まさかの1日完結連載小説でした!!。個人的にヒーリェの過去は一番重いと思ってます。まぁ…生きてればハッピーエンド。…はい…状況にもよりますね。ではでは!


良いねと感想。ブックマーク登録も是非是非!!それでは

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