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02.黒瑪瑙(オニキス)

20xx/06/10 16:00

私は宮城由香里(みやぎゆかり)


母、宮城和子(みやぎかずこ)はある研究所で働いていた。

専門はAI技術。


なんでも大きなプロジェクトで、クライアントは日本だったとか。他の分野の第一人者も多数集められ研究をしていたらしい。当時は何をやっているのか詳しくは知らなかった。まあ子供だったのだから当然であろう。

母の残した日記データには、物理学や地質学、運動力学に生物学者、遺伝子学者に建築家までいたとか・・・


母が勤めていた研究所は東京、八王子にあった。高尾山のふもとにあった研究施設。

そして私が9歳の頃から12才のダンジョン出現までの3年と少し、母は一度も家には戻ってこなかった。

すでに父は鬼籍であったが、代わりにお手伝いさんが居たので生活は困らなかった。


12歳の誕生日、母からは誕生日プレゼントとしてペンダントが送られてきた。ペンダントの中には父と母の写真・・・思わず笑ってしまった。父ポジであろうそこには、誰?っていうイケメン外国人タレントが映っていた。

私は自室に戻ってそのペンダントをバラしていく。まだ母が毎週家に帰れていた頃、よくスパイや探偵が出てくる話が好きで妄想話を即興で作って遊んでいた。その中のトリックのひとつに、こんなものがあったっけ。

予想どおりにその知らない父が映ったペンダントの中には、マイクロSDカードが入っていた。


まだそういったものに詳しく無かった私も、とりあえずそれを自分のスマホに差し込んでみた。私が使っていたスマホはマイクロSDカードが使えたから。きっとメッセージ動画か何かが入っている・・・そんな気持ちで開いたんだ。

そこには、テキストデータで母の日記が保存されていた。


AI技術の専門家だった母は、戦闘パターンの様なものを細かく解析、進化させるという研究をしていると書いてあった。戦争にでも使われないか心配だと。

母以外にも各分野で第一人者と呼ばれる者たちが多数いて、国家プロジェクトとして日夜研究に没頭しているという。

そして、ポータル技術という、まるでおとぎ話のようなシステムの仕様書も入っていた。

この研究所はオカシイ。外に出してもらえない。常に監視されている気がする。総理、副総理が防衛庁長官と一緒に視察。政府がらみ?何かが動き出している。


そんな疑問が書き連ねられた日記を読みふける。

そして初めて出現したダンジョンに、母のいたその施設は丸ごと飲み込まれて消えていった。


施設内で亡くなった人たちの合同葬儀で、たくさんの遺族と会い、子供ながらに人脈を作っていった。必死だった。そこで知り合った何名かの遺族と懇意にした。その方々も各分野のエキスパートだったから。

事故の翌年に出来た能力チップにより、私は【解析】という、物の仕組みがすぐに理解できるというスキルに目覚めた。だが、そのことは隠し、ちょっとだけ頭が良くなる程度のスキルだったと嘘をついた。

そして地元の中学には行かずに、何名かの事故の遺族とともに北海道へ移住した。事故のことを忘れてひっそりと暮らしたいから。という名目だったがずっと張り付いていた監視と思われる気配はなくなった。


私自身が14才の子供だったからかもしれない。


こうして知り合った佐伯良子(さえきよしこ)高田真澄(たかだますみ)との3人の共同生活が始まった。

二人は親がその道の権威であったが、本人たちはまったく関係ない道を歩んでいた。しかしその目覚めたスキルについてこっそり確認することができたので、事情を話して仲間に引き込んだ。

我ながら生意気な子供だと思われたかもしれない。私の【解析】は相手のスキルも見破ることができたのだ。


佐伯良子(さえきよしこ) は32才、小さな会社で事務職をやっており、すでにお局ポジとなって人生に疲れていた。目覚めたスキルは【堅牢】で頑丈な体になるという。平凡な事務員に、監視はなかったようだ。

高田真澄(たかだますみ)は18才で高校を卒業したばかり。プロゲーマーを夢見る女の子であった。まあ実際その時は私はもっと幼い子供であったが。目覚めたスキルは 【俊敏】で素早く動ける体になるという。ゲーマーの彼女にはピッタリであった。

こちらもゲーム以外は無気力ガールだったため、監視はなかったようだ。


ではなぜ私だけ?と思ったが、母の日記を見る限りかなり重要なポジションにいたようで、各分野の研究員たちとも調整しながら研究するポジションだったようだ。それが子供だった私に監視が付いた理由だったと思っている。

他にも研究職にいた遺族の方々もいたが、そちらは監視が厳しそうなので、こっそりと協力してもらった。


良子と真澄の二人は、何かあった時の護衛として役に立つと思ったから。それと事故で亡くした親に対する思いがとても強かったから・・・共有できると思った。この不信感と復讐心を・・・


私たちは近くの山にあったボロ家を、政府から支給された遺族への多額のお見舞金をもとに購入し、そして地下に隠れ家を作った。そして事故から10年たった今では、かなりの数の協力者ができた。


そして今日。国防省にいる仲間から防衛隊がくるという情報が入り、防衛体制を整えようと思った。

・・・だが、それは中止した。


仕入れた情報から、その防衛隊を率いる隊長の名が阿久津将司となっていたから・・・母の日記にもあった阿久津健吾(あくつけんご)、その孫の名前であったから。

そこに運命を感じていた。


そして私は良子と真澄を従えて、三人で接触を図った。結果、阿久津は負傷してしまったがゆっくりと話ができる状況になったようだ。

いよいよ復讐が完遂できる。そう確信していた。


次回更新 06/10 19:00

お読みいただきありがとうございます。安ころもっちです。

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