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1/1

完璧である

駄文失礼します。誤字報告、評価お願いします。

「ふふふ……ふははははっ。」

「お嬢様…」

鏡の前で笑いながらくるりと回るとメイドが眉間にシワを寄せる。

「ようやくだ、、!素晴らしい出来だ!全くもってバレそうにない…!」

「……はあ。」


僕の名はラシャーナ・グラント。グラント公爵家の長女だ。そして僕は今、絶賛男装中である。理由は単純明快、断罪を回避するためだ。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




僕が前世の記憶を思い出したのは5歳の時であった。その日はとても天気が良く庭に出て花を眺めていたのだがその時突然雷が落ちてきたかのように脳内に電流が流れ、前世の記憶を思い出した。


ここ、『らぶまじ』の世界じゃん…!しかも私悪役令嬢じゃん!!!?


『らぶまじ』は『LOVE&MAGIC♡』の通称であり僕が前世で寝食を疎かにしてまでハマっていたゲームである。そのせいで倒れたのだが…


このゲームはヒロインのアリシア・トンプソンが魔術の才を認められ特待生として学園に入学するが、男爵令嬢で貴族の端くれとはいえ領地はド田舎で平民と大差ない出自のせいで当然のように差別や嫌がらせを受け、貴族社会に馴染めず孤立してしまう所から始まるものの、持ち前の正義感の強さと明るさで跳ね返していき、そんな彼女に攻略対象たちが惹かれていくというストーリーだ。

そして攻略対象は王太子を筆頭に高位貴族子息が勢揃いしている、女の子なら一度は憧れるであろう王道な恋愛ゲームである。


まあここまではいいのだが問題は、僕ことラシャーナ・グラントのポジションである。

ゲームの序盤から登場する悪役令嬢ラシャーナは、ヒロインをいじめまくるのだ。

そのせいでラシャーナには平民落ち、国外追放、首チョンパ等々断罪エンドしか用意されていない。


言い方は悪いが、公爵令嬢が男爵令嬢をいじめたくらいで断罪なんて普通はまずありえない。それに今思えばラシャーナの考えも分からなくはない。

貴族社会に疎く、社交儀礼もままならないぽっと出の男爵令嬢が不躾に王族や高位貴族、自身の婚約者に近づきキャッキャしてるのは、常識的な貴族にとっては面白くないものだ。

要は攻略対象たちが権力にものを言わせ私情を挟みまくった結果の断罪である。


国最高峰の教育機関であり数多の優秀な人材を輩出してきた名門学園。在学生である攻略対象たちも基本的には理知的な者揃いだ。普段の彼らならラシャーナの行動を断罪なんてなんてするはずがない。

つまり普段は優秀な攻略対象たちもアリシアのこととなると見境がなくなる。


初めはアリシアとなるべく関わらないようにして関わることがあったとしても優しく接していればよいのではなどと思ったが、こんな調子では悪役顔の僕など会話をするだけで断罪ルートまっしぐらである。


前世では『主人公のために尽くしてくれるのまじ尊い……愛おしい』とか思っていたが自分事となると普通に怖いし勘弁して欲しい。


いっそ平民落ちルートに誘導するか…?とも考えたがそれをこなせる自信もなければ、この満たされた生活を手放す気にもなれなかった。


どうすれば良いのか考え抜いた末の結論は「男になりきれば攻略対象は私のことなんて気にしないのでは?」というものだった。いやもうほんとこれ名案。


そう考えた僕はさっそく行動に移した。

まず髪を切った。父には泣かれ母には卒倒されたが無視をした。次に一人称も変えた。言葉遣いを改め、身だしなみにも気をつけた。ドレスは封印してパンツスタイルを貫いた。兄の剣術の稽古に混ぜてもらい身体作りも行った。常に低い声を出す練習も欠かさなかった。

最初は皆驚いていたがすぐに受け入れてくれた。というより僕の意志の固さを感じとり諦めたという方が正しいかもしれない。王太子からの婚約の打診を蹴って家族みんなが泡を吹いて倒れたこともあったが、全ては断罪エンドを避けるためである。



苦節11年、長いようで短かった11年……

着々と準備を整え迎えた入学式一週間前、僕は男装をし見事に男に成りすましていた。

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