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月の蘇る-5-  作者: 蜻蛉
第三十一話 永遠
71/72

9

 見上げる空が入道雲から鱗雲に代わった頃、待っていた人はやって来た。

 大掛かりな行列は遠くからでも認められた。その喧騒は、病床の中にも届くくらいに。

 待っていたのにそれを喜べる体力は無かった。ただ怠く、逃げるように目を閉じる。

「なんか、どえらいもんが来てるな」

 庭に居る朔夜が遠くに目を細めながら言った。

「何だろう?すごい人の数」

 華耶の声。

 龍晶は息を吐いて、枕元の傍らで遊んでいる春音に頼んだ。

「母さんを呼んでくれ」

「あーい」

 まだもう少し足らない舌で返事をして、立ち上がるとぱたぱたと母に駆け寄る。

「とーとがよんでるよ」

 華耶はすぐに枕元に戻ってきた。

「あの人達の事?」

 問いに頷いて、龍晶は教えた。

「鵬岷を呼んだ」

「…えっ…」

 華耶は絶句した。

「にーさまがくるの?」

 春音は嬉しそうだ。その笑みに頷いて、父は言った。

「お前に会いに来たんだよ。次いつ会えるか分からないから、たくさんお話してやってくれな」

「うん!」

 この一年で随分言葉が達者になった。鵬岷は驚くだろう。

「朔夜と一緒に出迎えると良い」

「わかった!さくー!」

 呼びながら縁側へと走っていく。その小さな体が朔夜に抱き上げられるまで見て。

「最期だから会いに来いと書状を出した。言いたい事は山ほどあるからな」

 それだけ説明して、苦しげに息をつく。

「その言いたい事って、家族として?それとも、国の為?」

 忙しく息をする口の端で笑う。

「家族だと思ってんのかな」

 華耶は俯いた。

 この一年、向こうから書状の一つも寄越さなかった。

 周囲に止める者が居たのかも知れないし、出した所でどこかで捨てられていたのかも知れないから、鵬岷を単純に責める訳にはいかないが。

 だが、それでこの光景――二人の嫌う大仰な権威付けの行列は、神経を逆撫でする。

「止そう。悪いのはあいつの周囲に居る人間だ。やっぱり俺は家族としてあいつと別れたい」

 華耶は瞼を閉じて頷いた。

 あの子の純朴さは知っている。だからこそ、操られるしかない哀れな王なのだ。

「にーさまぁ!はやくー!」

 春音が叫んで呼ぶ。抱く朔夜の顔も苦い。それを幼子が悟る事は無いが。

 行列は丘を取り囲むように止まった。その中から一際贅を凝らした馬車が二台、麓から上がってきた。それを取り巻く兵を従えて。

 その仰々しさに流石の春音も驚いて黙った。

 朔夜は苦笑いで訊いてやった。

「中に入っとくか?」

 強張った顔で頑なに首を横に振る。

「やだ。にーさまにあう」

 苦笑いが更に深くなる。

「ほんっと、そういう所あいつみたい」

 怖いのに、逃げたいのに、留まり続ける。

 己の責任を果たす為に。

 同じ顔してるんだろうなと、ちらりと後ろを見た。

 兵が馬車の扉を開ける。

 先に開いた扉から出て来た顔を見て、朔夜は顔を顰めて舌打ちした。

「さく?」

 流石に聞こえた。

「なんでもない」

 子供にはそう言ったが、顔は憎しみで歪んでいる。

「もしやそなた、悪魔殿か?」

 灌王はまず真っ先に目が合った朔夜に目を細めて問うた。

 朔夜は龍晶らの婚儀の席でその顔を知っているが、相手が己を知る機会は無かった。

 朔夜は相手を睨みながら言った。

「もうその名は捨てた」

 無礼だろうと周囲が騒ぐ。が、王は笑っていた。

「それは、こちらこそ無礼であったな。その子は儂の孫か?」

「しゅんおんだよ」

 堂々と名乗る。全くこいつは肝が据わっているなと内心笑ってしまう。

「大きゅうなったなぁ。一度会ったが、じいの顔を覚えているか?」

「ううん」

 はっきりきっぱり否定する。当たり前だが忖度の無い態度に朔夜は口の端を吊り上げた。

 その時、遅れて上がってきた馬車の扉が開いた。

「にーさま!」

 春音の関心はもうそちら一筋だ。王を無視して朔夜も向こうに寄ってやった。狸爺を相手にするより遥かにマシだ。

 その灌王は華耶に案内されて長屋へと入っていった。あいつに会わせるのかと、それは苦く思いながら。

 馬車から出て来たのは一人では無かった。

 王の装束を着飾った鵬岷がまず出て来て、馬車の中へと手を差し伸べる。

 その手を取って、可憐な少女が続いた。

 その事に朔夜も春音もきょとんとしてしまっている。

 先程までの勢いは何処へやら、小さな声で春音は会いたかった兄を呼んだ。

「にーさま」

「春音!」

 鵬岷はすぐにあの無邪気な笑みを顔いっぱいに浮かべた。

 そして振り返る。走り寄って来るかと思ったのに、弟に声をかけるよりも少女への気遣いを選んだ。

「この子は私の義弟で春音といいます。父上がこちらで養育されているんです。歳は三歳…になったんだっけ?」

 それは本人に確認する。小さく彼は頷いた。

 そして漸く、二人が知りたかった事を教えた。

「春音、こちらは義理の姉上となる方だ。白薇(ハクラ)姉様とお呼びしてくれ」

 少女は鵬岷と同じ年頃だろうが、余程大人びた仕草で幼い弟にお辞儀をし、言った。

「可愛らしい弟君でございますね」

「父上にそっくりなんです。直接に血は繋がってないのに。会わないうちにまた似ちゃったなあ」

「義父上に是非、ご挨拶を」

「行きましょう。こちらにおられますか?」

 初めて鵬岷は朔夜に目を向けて問うた。

 黙って頷く。二人が去った背中にまた舌打ちする。

「さく、どしたのー?おこってる?」

 幼い癖に本当に鋭い。こういう所がまたそっくりなのだ。

「呆れてんだよ」

 流石にその意味は分からないだろう。んー、と首を捻って、二人の背中を指差した。

「さく、きらい?」

「まあな。初めて会った時からあいつは嫌いだ」

 灌の城の中で、ずかずかと入り込まれた時から。

 そう言えば俺のあの時の歳が今のあいつの歳なのかと考えて。

 ならもう少し物を分かれよと毒付きたくもなる。あの時の自分はもう少し物事を考えていたと思いたいのだが。

 考えると自信は無くなった。あの時は華耶をどうやって救うかで頭が一杯だった。

 同じかな、と思い直して。

「あねうえ、ってなーに?」

 春音の幼い問いに、ん?と目を見開く。

 その理屈は説明してやらないと分かる筈が無い。そもそも、姉という存在が分からないかも知れない。

「鵬岷と、さっきの娘は、父さんと母さんみたいに結婚するんだ。だから、あの人はお前のお姉さんになる」

「けっこん?さくとはーさがしてた?」

「ああ、そうそう。あれ」

 彼にとって結婚とはあの夜の宴の事になっている。あながち間違いでもないので頷いておいた。そのうち解れば良い。

「にーさまとおはなししてもいいのかなぁ」

「うん。良いんじゃねえのかな。行くか」

 龍晶は何を考えているのか。

 朔夜としてはそれが知りたかった。


 朔夜と相対する義父の姿を見て、眩暈が酷くなる気がした。

 どのツラ下げて来たと言うか、その厚顔だからこそ王が務まる訳で。

 諦めて妻に目配せを送った。華耶は頷き立ち上がって、挨拶に出た。

 名目上はあの人に救われて保護されているのだから、このくらいの事は我慢せねばならないだろう。

 だけど表情と感情を繕うだけの体力も気力も無い。入って来る大きな人影を、ぐったりと床から睨む。

「どうだ、具合は」

 あっけらかんと尋ねてくる。顔を出すなという約束など忘れてしまったかのように。

「生きてはいます。お陰様で」

 細い声で皮肉を言う。

「医者を断る意地を張っただけはあるな」

「お手を煩わしたくなかったので」

「儂は何一つ手間では無かったがな。まあ良い。よく今まで生きていてくれた」

 とても本心とは思えない。早く死ねば良いと思っている筈だ。

 その証拠に、この上機嫌。これが最期だと鵬岷から聞かされているのだろう。

「苴では酷い有様だったが、こちらに来て正気に戻ったようだな。それが何よりだ」

 怒りを隠せない目に瞼を閉じる。

 あの時を思い出させるくらいなら、こちらの約束を思い出せと言いたい所だ。無論、故意に破っているのだろうが。

 近付いてくる別の気配を感じて、瞼を閉じたまま義父に言った。

「鵬岷と話をさせて頂きたい」

「無論じゃ。親子としてゆっくり語り合うが良い。儂も聞かせて貰うぞ」

 直接、己の耳目で監視する為に来たのだろう。不都合な事があれば、あれは嘘だと後で吹き込む為に。

 それに反発する気力も意味も無かった。好きにすれば良い。ただしこちらも勝手な事を言うまでだ。

 鵬岷が入ってきた。多くの警護と、そして少女を伴って。

 二人は灌王が譲った枕元に座した。

「父上、お久しぶりです。お呼び頂き感謝しています」

 およそ二年ぶりの再会だった。鵬岷が自分を見る目に戸惑いを感じ取る。ここまで窶れている姿を見るのは初めてだろう。

 しかし戸惑いをおくびにも出さないのは、それだけ大人になったという証だ。

 龍晶は一国の王に向き合う態度を選んで返した。

「戴冠の祝いも無く失礼を致しました。誠におめでとうございます。御婚姻も恙無く決まったようで何よりです」

 鵬岷は軽く失望した表情を隠しもしない。

「お止め下さい。父として言葉を掛けて下さいますようお願いします。我々は他人ではないのですから」

「それは互いにでしょう。しかし、血は繋がっていても他人である事もある」

 言いながら、春音を抱えて入って来た朔夜に目を向ける。

「春音が兄貴と話したいってさ」

 微笑んで小さく頷き、息子に言った。

「ちょっと待っててくれ。お前にも一緒に話を聞かせたい」

 朔夜は春音を抱いたままそこに座った。

「聞いて分かるかなあ?」

「わかるよー」

「本当かよ」

 笑って、しー、と黙っているよう促す。

 鵬岷は複雑な表情でそのやり取りを見ていた。

 弟は同じく血の繋がりが無いのに子供扱いして貰える。勿論、幼さ故だとは分かっている。

「ご紹介を頂けますか?」

 父は丁寧な口振りを崩さず娘に目を向けた。

 はっとする鵬岷を差し置いて、彼女は手をつき丁寧に頭を下げた。

「ご挨拶が遅れました。このたび鵬岷陛下の正室に選んで頂いた白薇と申します。父は来月苴王として戴冠する泰白でございます。今後は娘としてお付き合い頂きますよう、何卒よろしくお願いします」

 ちらりと朔夜に目を向ける。

 苴の内乱は治まったという事だ。ここに来た愚かな王子は負けたのだろう。予定通り第一王子が王位を継ぐのだ。

 しかし、灌の王子と苴の姫が戔を継ぐとは。

 皮肉が過ぎていて笑う気にもなれない。全てはそこに居る灌王の指図で間違いないだろう。これで灌と苴の関係は深くなる。戔を使って。

「今はともかく、後は無いでしょう。このような先代も居たと知る程度で良いのです。その分この鵬岷のこと、よろしく頼みます」

 子供達にその責は無い。そう考えながら少女に返した。

「父上、その、後が無いとは…?」

 鵬岷の戸惑う問いに首を横に振って。

「言ったままの意味です。これが最初で最後。しかしこの身の事などを話している暇はありません。陛下には伝えねばならぬ事が山ほどある」

「はい。承ります」

「俺は体が動けばあなたの世を引き倒すべく動く所でした」

 急に冷や水を浴びせる。それが紛れもなく本気だと、据わった目が語っている。

 鵬岷は震えながら問うた。

「ごめんなさい…。父上の意に反する事をしていますか、私は」

「戔の民の嘆きがこんな場所にまで聞こえる。それが全てです」

「民が…?」

「聞こえておらぬのですか、あなた様には」

 目が泳いだ。後ろめたい事があるのだろう。

「臣に全て任せて何をしているのです。俺は民を己が目で見るべきだと教えた筈。城から出て街を見ましたか?地方は?どれだけ戔を見て回ったのですか?」

「碑未が許してくれないのです!」

 必死の言い訳に龍晶の目が細くなる。

「お分かりでしょう!?こんな若輩者の言い分など臣は聞いてくれません!私の居場所は玉座より他に無い。こうして父上が呼んで下さって初めて外出が許されたのです。そうでなければ白薇と共に後宮へ閉じ込められてしまう…!」

 褥に向けて息を吐いて、目を灌王に向けた。

「その碑未という者、灌に戻しては頂けませぬか」

「あれを抜けば戔はたちまち崩れるぞ。最早かの者は国の要、そうであろう鵬岷陛下」

 先程までの勢いを削がれて、項垂れて彼は答えた。

「はい。…違いありません」

 聞いていた朔夜は三度目の舌打ちを何とか抑えた。

 一体、誰のせいで。

「ならばやるべき事は一つ」

 龍晶は再び据えた目で息子に言った。

「あなた様がその要となるのです。そうならねばなりませぬ。あなた様は王です。俺の後を継いだのです。それを、お忘れなきよう」

 鵬岷は見開いた目で、思わず頷いた。

「どうか戦って下さい。あなたの民の為に」

 言うべき事はその口で言えとかつて教えられた。

 それが戦い方なのだろう。

「父上…我儘を言っても?」

 頷く。その目は、我が子を見る優しい目だ。

「僕一人ではまだ無理です。どうか共に戦って下さい。お願いです。共に、戔に…」

 灌王の空咳が響いた。

 それを言ってはならない。王たる者が。

 聞かされる方とてそれは禁句だった。

 手で顔を覆って、隠しきれない口元は歯を食い縛っていた。

「ごめんなさい…」

 鵬岷は項垂れてそう言うしかなかった。

「ごめんなさい…」

 初めて見た、骨ばった手の薄さに涙が出た。

 国の為、息子の為に立ち上がりたくとも、もうそれが出来ない。その事がよく分かってしまう手。

 最期というのは会う為の詭弁ではない。事実なのだと。

 布団からもう片方の手が出て来て浮いた。

 すかさずその手を取る。子として。

 継ぐ者として。

「父上…」

「この魂を、戔に」

 痩せた手の下の顔が、ふっと微笑む。

「連れ帰ってくれ。お前の手で」


 一行が去り、行列が続いていくのを見送る頃、意外な顔がこの丘を登ってきた。

「…宗温!」

 朔夜が気付いて駆け出す。

「朔夜君!元気そうで良かった」

 大きく手を振り、あっという間に横に並んだ顔に微笑んで。

「苴では大変だったと聞きましたが…あれから一年ですから君にはもう過去の事ですね」

「流石の俺も体全部動かなくなるのは初めてだったけどさ。ま、すぐ治ったから。波瑠沙のお陰で」

「桧釐殿から聞きましたよ。結婚したと。おめでとう」

「ありがとう。でもあんまり今までと変わらないけど。お前は?あっ、賛比は相変わらずだな?まだ懲罰続行中か」

 振り返って後ろに従う少年へ悪戯っぽい笑みを向ける。

「もう罰じゃないよ朔兄、これはお役目!」

「知ってる知ってる。揶揄っただけ」

 笑って、宗温に目を向けて。

「護衛でここまで来れたのか」

「ええ。やっと、念願叶いました。なのでこっそり職務放棄をさせて頂きます」

「良いな。お前らしいや」

 長屋に着いて、華耶の笑顔を見、その奥に。

 龍晶は息子達の会話を聞きながら殆ど気を失うように眠っていた。多分、鵬岷が去った事にもまだ気付いていない。

「お休みですか」

「起きると思うよ。お前の声を聞けば」

 言いながら先に枕元に座って肩を揺すった。

「龍晶!会いたい人が来てるぞ!」

 開いた目が、次の瞬間には子供のように丸くなった。

「…小奈」

 宗温の横を見ている。彼は目を見開いてその虚空を振り返った。

 そんな事は有り得ないと思い直して、またその人を見る。思いがけず無邪気な笑みとぶつかった。

「二人で来てくれたのか」

 宗温は、伏した顔に笑みを浮かべた。

 見えている。この目には。

 そして、彼女は隣に居るのだ。

 ずっと、あの日から。

「お会いしたかったです龍晶様。この日をどんなに待ち侘びた事か」

 二人分の挨拶を口にしながら宗温は枕元に跪いた。

 うん、と目を合わせた龍晶は頷いた。

「宗温」

 束の間、王であった頃の目に戻って。

「苦労をかける事になるが…戔を、頼む」

 唯一、始まりから全ての苦労を共にした股肱の臣は、深く頷いた。

「あなたに託された以上は全力を尽くします。あなたの民を守る為に」

 眉間に皺を寄せた顔で頷き返す。

 それがどういう事か、言葉にせずとも共有している。

 民を守る為なら、王府の間違いを反旗を翻してでも止めろと――そういう意味だ。

「小奈はお前を守ってくれる。そう言っている」

 宗温は笑んで頷く。

 嘘でも良かった。こんなに優しい嘘は無い。

「ありがとうございます…龍晶陛下。あなた様のお陰で、私は」

 目に溜まっていた涙が落ちた。その雫を、痩せた手が受け止めてくれる。

「私は、己を見失わず全うする事が出来ました。これからもです。彼女亡き世に生きる目的を与えて貰えた。戔の為に戦い続けると、お約束します」

 手を握り合う。戦友の固い握手。

「ありがとな、宗温。お前に会えて良かった」

 天を仰いで息を吐く。

「また、共に無茶をしましょう。あなたの命令にはいつも驚かされるが、嫌では無かった」

 子供みたいに笑って返される。こんなにも無邪気な笑顔を、長年共に居て初めて見たかも知れない。

 やっと、帰るべき場所に帰れたのだと思って。

 離された手を、床に付いて、頭を下げる。

「ありがとうございました」

 立ち上がり、その綺麗な笑顔を目に焼き付けて。

 振り返らず去る。涙は止まらなかった。

「総督…陛下は…」

 後ろを歩く賛比がおずおずと問う。

 残っていた涙を急いで全て袖に吸わせて、宗温は言い切った。

「鵬岷陛下の後を追うぞ。持ち場を離れたと知られる前に。急げ」

 爽やかに笑って馬に跨り、駆け出す。

 眼前に広がる秋空の向こうに、帰るべき故国がある。


  挿絵(By みてみん)


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