表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/19

14話 師弟の絆(その2)

---ルシェリィ視点---



 お師さんが避けないと死ぬといった魔法、あたしは空にでてきた3つの綺麗な魔方陣を見た。

 赤、青、黄色の魔方陣だった。

 赤は火、青は風、黄色は土の魔方陣かな?

 そのくらいあたしにだってわかるよ。

 あたしはお師さんの弟子なんだから。

 

 それにしてもすごく綺麗だなぁ。

 初めて見る魔法だ。

 お師さんの魔法はいつもかっこよくて、凄くて、いつかあんな魔法が使えたらなって思ってた。

 でもあたしは魔法が下手くそだ。

 いつも失敗ばかり。


「火よ、風よ、土よ、三魔混合」


 お師さんの詠唱が聞こえた。

 3つの魔方陣が重なり合った瞬間、1つの大きな魔方陣になった。

 魔方陣はくるくると回りながら色が変わっていった。

 最初は赤、次は青、その次は黄色、最後は白。

 白い魔方陣が強く光った瞬間、お師さんの最後の詠唱が聞こえた。


「焼き尽くし、薙ぎ払い、駆逐せよ、溶岩暴風バイオレンススパウト


 あたしはここで死ぬのかな。

 多分この魔法はあたしなんかじゃ避けれない。

 あたしはいつもだめだめだから。

 そう思ったら少し昔の事を思い出した。

 少し昔?ずっと昔?ちょっとよくわかんないけど。

 

 歌が聞こえたんだ。

 すごく優しい声で、あったかくて、あたしはその歌が大好きでいつも笑ってた。

 ぽかぽかして、気持ちよくて。

 だからあたしはどうしてもその歌を捕まえたくて手を伸ばしてた。


 次に覚えてるのはお師さんのこと。

 その日はいつもみたく優しい歌が聞こえてきた。

 あたしは嬉しくてまた必死に手を伸ばした。

 でもその時は歌がどんどん遠くなっていっちゃう気がした。

 そのかわり誰かがあたしの事を見てるのが分かった。

 誰か分からなかったけど、すごく優しい顔だった。

 だからあたしはまた嬉しくなって、笑いながら手を伸ばした。


 あれ・・・なに考えてるんだろう。

 あたしはさっきまでお師さんに怒ってたんだった。

 だってお師さんはあたしの事を弱くて中途半端な小娘だって言った。

 そりゃああたしは魔法が下手くそだけどさ・・・。

 でも弱くはないと思う。

 トーワには勝てるもん。

 本気で戦ったことはないけど、多分あたしの方が強いと思う。

 トーワもあたしの事姉弟子だって言ってたし。


 どうしてお師さんはあたしが冒険者になるのをだめって言ったんだろう。

 あたしの事が本当は嫌いだから?

 いらない子だから?

 あたしの親は遠くへ行ってしまったって言ってた。

 どうしてもあたしを育てられなくなっちゃったからって。

 だからお師さんがあたしを引き取ったんだって。

 でもリルから聞いたのはあたしのお母さんは白龍だって。

 自分でもよく分からない。

 こんなよく分からない子は気持ち悪い?


 あたしはお師さんが大好きだ。

 お師さんに嫌われたくない。

 ここにいたい。

 お師さんに嫌われるなら冒険者なんか・・・。


「お師さん!あ、あたし・・・!」


 言葉が出なかった。

 目の前には炎の竜巻ができあがってた。

 よけられない。

 お師さんの言葉を思い出した。

 あたしの魔力を思いっきりぶつければ魔法は消滅する。

 でもそれをしたらお師さんまで消えてしまいそうな気がする。

 怖い、できない・・・。

 怖いよ・・・お師さん・・・。

 その瞬間、声が聞こえたんだ。



---------


白龍の魔力は大切な人を傷付けたりはしないわ


 

さぁ、怖がらなくて大丈夫


---------



 声が、聞こえたんだ。

 優しい声だった。

 体から優しい力が溢れてきた。

 昔お師さんはあたしにこう言った。


 

 「お師さん・・・お師さんがあたしに教えてくれた言葉、覚えてるよ」


 あたしは、胸を張って、天に指を突き刺した。



 「良い女は死なない!!」



---統和視点---


 ルシェが師匠に何かを言いかけたのは分かった。

 そして言葉に詰まったのも分かった。

 師匠の魔法は圧倒的で、一切の手加減がなく、その巨大で暴力的な炎とマグマの竜巻はルシェを飲み込もうとしていた。


 三魔混合魔法溶岩暴風(バイオレンススパウト)

 師匠の切り札の1つだ。

 この魔法は絶対に避けられない。

 何を考えてるんだ師匠は・・・。

 これは間違いなくやりすぎだ。

 いくらルシェがチートでもこの魔法はまずい。

 ただ師匠は口を出すなと言った。

 あの時の言葉は間違いなく今この時の事だろう。


 師匠がルシェを傷付けるようなことをするわけがない。

 2人にはある意味親子よりも強い絆がある。

 だから今のこの状況も何か師匠なりの考えがあっての事だと思う。

だからきっと、師匠は・・・。


その時だ。

ルシェリィが天に向かって指を差し、体が白く輝いた。

瞳に魔法陣が浮かび、体がふわりと宙に舞った。

背中からは甘美な大翼が姿を現し、神秘的な羽がキラキラと降り注いでいる。


全身がゾクッと鳥肌を立てた。


華麗で、優美で、麗しく、艶やかで、絶佳で、荘厳だった。


直後、まるでズゥン……と空が落ちてくるようなプレッシャーが襲ってきた。

凝縮された龍魔が、のど元に圧縮され、高密度な龍魔が限界を迎え暴力的に全てを救おうとしていた。

抗えない、全ての生物が絶対に抗おうとしない、できない、包み込む光。


そして瞬間、膨大な龍魔がルシェの咆哮と共に吐き出された。



---ガァァァァァァァァアアアアアア---


龍魔の圧倒的な奔流は溶岩暴風バイオレンススパウトを掻き消し、あとには少し寂しそうに背中を向け家に歩を進めるロディーナと、力を失ったように地面に横たわるルシェリィが残った。


「ルシェ!!」


そう叫んで、俺はルシェの元へ走った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ