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村の復興と宴 その1

 ラムールを出て数日。


 エラン村に到着した俺たちは、とりあえず俺の家に行く事にした。


 家には誰もいなかったけど、鍵は開いていたからとりあえず中へ。


 そして居間でみんなとくつろいでると、程なくして母さんが帰ってきた。


「アーム、帰ってるの?」


「ああ、ただいま。ラムールからお客さんが来てるんだ。紹介したいからちょっと来てよ」


 俺は立ち上がり玄関まで母さんを迎えに行く。


 そして母さんが持っていた野菜の入ったかごを持つと一緒に居間に戻った。


「お邪魔してます」


 すっとロイが立ち上がり母さんに挨拶をすると、続いてレウとジグも立ち上がる。


「あ、どうも」


「こんにちは」


「あら、いらっしゃい。アームのハンター仲間かしら?」


「うん。俺の世話になってたパーティのメンバーだよ。リーダーのロイ、頼れる兄貴分のレウ、同期で秘術師のジグ」


 俺が一人一人紹介すると、母さんはにこやかに頷く。


「お話はかねがね。うちの子がお世話になりました」


「いえいえ、こちらこそ。我々が彼に助けられた事も少なくありませんから」


 こういうの聞いてるとなんか照れくさいなぁ……などと思っていると、母さんはにっこり笑って言った。


「まあ、堅苦しい挨拶はこれくらいにして。みんな村に着いてからまだ何も食べてないでしょ? 旅じゃろくなもの食べられなかっただろうし何か作るわね」


 確かに旅では不測の事態も考えなきゃならないから、腹いっぱい食べるという事はまずない。


 それに日持ちや軽量化を優先してるせいで味もいまいちだ。


 父さんは母さんのこういう気の利くところに惚れたのかも知れないな。


「やった!」


「いただきます」


「すみません、ご馳走になります」


 レウとジグは素直に喜び、その様子にロイは苦笑しつつもやはり嬉しそうだった。




 母さんが作ってくれたのは野菜のスープ。


 ご飯には中途半端な時間だからと出てきたのはそれだけだったけど、たっぷりの野菜はそれなりに腹にたまった。


 食事を終えた俺はハンターを辞めた(ライセンスを返上していないので、正確には休業といった感じだけど)という報告と、今まで共にやってきた仲間を紹介するため、みんなと共に師匠の家に向う。


 そして師匠の家で一通り報告と紹介を終えたあと、俺たちは共通の知り合いであるギルドマスターの話で盛り上った。


 話が楽しかったのか、帰り際に今度一緒に呑もうじゃないかと師匠が言う。


 みんなもぜひと快諾し、ラムールに帰る前に必ずまた来ると約束した。


 そして帰り道。


 家にだいぶ近づいた頃、ついにそのときが来る。


 村に来てからずっと避けていたそのときが……。


「アーム!」


 声に振り向くと、そこにはちょっと不機嫌そうな顔のハイムがいた。


「もう、帰ったならすぐに会いに来てよ」


「いや、だって……どうせ夕飯のときには会うんだし……」


 俺が言い訳をしていると笑いながらレウが言う。


「帰ったときはまず一番に大切な人に会いに行かないとな」


「だよねー。あ、こんにちは。あなたがアームのお嫁さん?」


「え? あ、はい……そんなところです。皆さんはアームのハンター仲間の方々ですよね? うちのアームがお世話になってます」


 ジグの発言に頬を若干染めながら、ハイムは母さんと同じような挨拶をする。


「いえいえ、こちらこそ」


 互いに頭を下げるハイムとジグ。


 やっぱりこういう雰囲気は苦手だ……そんな事を考えていると、ジグが肘で俺をつついた。


「ほら、紹介してよ」


「あ、ああ……えっと、彼女は従姉のハイム。で、彼らはラムールでパーティを組んでいたロイ、レウ、ジグ。リーダーのロイとレウは先輩ハンターで、ジグは俺とほぼ同期だ」


「従姉の? 妻のじゃないのか?」


 ニヤリとしながらレウ。


「いや、まだ正式に結婚したわけじゃないし……」


「ほう。式はいつだ?」


「いや、村には教会もないし、ここじゃそういうのはやらないんだ。やるとしても精々身内で宴を開く程度だよ」


「宴か。じゃあ、俺たちもやろうぜ」


「いいな。そうしよう」


「だね」


 レウの提案にロイとジグも乗っかってくる。


 楽しそうな彼らの様子に、ハイムはちょっと照れつつも嬉しそうだ。


 でも――


「いやいや待ってくれよ。確かに死人が出たわけじゃないから不謹慎とまでは言われないだろうけど……まだ片付けも終わってないんだ。そういうのはせめて一段落ついてからにしたい」


 確かにドラゴンと戦った事で俺に一目置いてくれる村人は多い。


 とはいえこれからもこの小さい村で生きていくのだ。


 家屋や財産を失い知人や親戚の家に身を寄せている人も少なくない現状で、婚礼の宴なんか開いてたら快く思わない人だっているだろう。


 俺はこれからもずっとこの村にいるのだから急ぐ必要はない。


 そういう事はみんながある程度、元の生活を取り戻してからの方が良いはずだ。


「そういうもんか?」


 腕組みしてなんとなく腑に落ちないといったように首をひねるロイに答えつつ、俺はハイムに同意を求める。


「そうだよ。な、ハイム」


「まあ……そうよね」


 ハイムは少し寂しそうな顔をしたけど俺に賛同してくれた。


「まあ本人たちがそういうなら、俺たちができるのは早くそのときが来るように片づけを手伝うだけだ」


「はは、期待してるよ」


 レウに俺がそう答えると、ジグは肩をすくめて言う。


「ロイとレウはともかく、僕に力仕事は期待しないでよね」


 その発言に俺たちはみんなで笑った。

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