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サバイバル・イン・ダンジョン  作者: 古賀エイ
第1章 ファーストダンジョン
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1.迷子のお知らせです

 ダンジョン、と聞いて何を想像するだろうか。


 異世界、冒険、愛と友情、裏切り、殺し合い、宝、モンスター、エトセトラエトセトラ……。


 まあ、全て物語の中の話だ。現実はそんなにドラマチックじゃないし、ファンタジーでもない。そう思っていた。


 十年前までは。


 十年前、突如として地球にダンジョンが現れた。


 出現する場所はランダムで、ただの道が一秒後にダンジョンになってました、なんて話はよく聞く話だ。


 出現場所、総数、いずれも不明。そんな不明だらけなダンジョンを、初めは国が軍などを使って慎重に調査していた。


 しかし半年後、ダンジョン内からモンスターが溢れ出るようになった。今ではスタンピードと呼ばれている現象だ。


 出現場所がわからなくて、総数もわからなくて、さらにはいつスタンピードが起きるかもわからない。それら全てを対処して、調査して、なんてしていたら軍だけじゃ手が足りない。半年経って漸くそれを悟った各国は『ダンジョン探索者』と呼ばれる職業を作った。職種は公務員である。


 基本給は存在しない。ダンジョン産の素材の売却、メディアへの出演料、そして褒賞金。言ってみれば出来高制のようなものだ。褒賞金の対象は様々で、新しい発見をしたり、中に入るのは極めて危険であるとされたダンジョンに潜って情報を収集してきたり。それ以外にも多種多様な理由で褒賞金はもらえるらしいが、どれもこれも「命を懸ける」ことをして得られた結果である。その分褒賞金は高額だ。


 命を懸けて一攫千金を狙うこともできれば、ダンジョンから持ち帰ったものをコツコツと売るだけでも結構な収入になる。それらを払うのは国の組織である『ダンジョン探索者協会』だ。各地に支部があり、そこで素材を売ったり、国からの依頼を受けたりする。メディアへの露出により得た出演料以外は、ここで金のやり取りが行われているらしい。


 探索者に払われる金額は相当なものである。それらをニュース等で見聞きする人々の中には、「血税をばらまいている」として過剰に反発する人もいる。そんな人たち向けに、時々情報番組で特集とかを組んでいるが、それによると、どうやら探索者に支払われる金に税金は余り使われていないらしい。ダンジョン関連の収入でほぼ全て賄えるようだ。なんでも、協会で買い取った素材や情報は国が独占していて、それらを研究するのも国がやり、そのおこぼれを企業が買う、なんて方式を取っているみたいだ。技術や情報欲しけりゃ貢げ、ってわけか。そりゃ儲かるわ。


 とまあ、こんな感じにダンジョンについて復習してみたが、現状が変わることはない。


 俺――神宮龍介――は、絶賛迷子中である。


 ダンジョンの中で。

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