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娘の事を知ろう


すう すう


リリは俺と一緒の布団で寝てしまった。

先ほどまで泣いていたが、今はとても穏やかな笑顔を向けていた。

こんな小さな子供にどれほどの不安をかけてしまったのだろう。

でも、もう決めたのだ。


「俺がリリのパパだ」


例え本当の父親でなくてもいい。

弱弱しく泣く、彼女の支えになれば。

でも、俺も父親初心者だ。

だから。


俺はスマホに手にして電話をかける。


prrrr prrrr prr「はい、沢井ですが」


「あ、母さん? 俺だけど」


ここは先人の知恵を借りた方がいいだろう。

それに、母さんにとっては孫になる。

きっと、悪くはならないだろう。


「オレオレ詐欺は間に合ってます」


「んなわけあるか。あんたの息子の敬之だよ」


「は~~~~~~~~。っち!」


電話の向こうで母さんは盛大なため息をこぼした。

しかも、最後に舌打ちまで。

俺そんなに嫌われるようなことをしただろうか?


「こんな夜遅くに、電話してくるような非常識な息子を持った覚えは無いよ。まったく、寝てたのに」


スマホの時間を見るともう夜中の一時過ぎだ。

寝ていた所を起こしてしまったか。

母さんは昔から寝起きは機嫌がが悪い。

しかも、無理やり起こされた時はなおさらにだ。


「ごめん、でも相談に乗ってほしくて」


「なに? お父さん呼ぶ?」


「いや、まずは母さんだけでいい」


「そう、それで、何悪い事やらかしたの?」


悪い事をしたのは前提なのか。

まあ、迷惑をかけるという意味では悪い事かもしれないが。

俺は息を吸い込む。


「母さん。俺に娘ができた」


「……」


「……」


「…………」


「…………」


「………………」


「起きてる?」


「夢の中なのかな?」


俺の言葉を飲み込めずにフリーズしてたか。

でも、今は夢の中でも何でもない。


「俺に娘ができた」


とりあえずもう一回、言ってみた。


「は? むすめ、って、なに? 子供? それとも恋人とか? どういうこと?」


「子供で合ってる」


「子供!! え!?」


「母さんにとっては孫」


「……」


また、フリーズした。

さて、どうでるか。


「今日は四月一日だっけ?」


「なるほど、エイプリルフールでも何でもないよ」


「……。はあ、誘拐?」


「そんな、わけないよ」


見た目全然似てないけど。

自分自身でも血が繋がっているか疑っているが。


「俺の娘だよ」


「そう、そうなのね」


「うん」


また、少し静寂が訪れる。

だが、先ほどとは違い母さんの中で色々と思考を巡らせているのだろう。

どう怒られるか。


「……。明日、家に連れてきなさい。分かった?」


準備をしっかりして怒るという事か。

はあ、憂鬱になる。


「分かった、リリと一緒に行くよ」


俺達の帰省が決まったのだった。


「後、写真も送りなさい」


「はい」



~~~



時刻は六時半。

寝てから五時間もたっていないが、起きてしまった。

しかも、覚醒状態も良好。


「実家、行きたくねえ」


なんて怒られるか分かったものじゃない。

しかも、今回は父さんも一緒にいるはずだ。


「でも、リリの為だ。母さんに一発殴られるくらいは覚悟するか」


さて、そうと決まればまずは朝ご飯だな。

冷蔵庫に何か入っていればいいのだが。


「あ」


布団から出ようとするが、俺の服を掴んで離さないリリちゃんが一緒に寝ていることを思い出した。

寝顔もかわいいな。

思わず、その柔らかそうな頬を突いてみる。


「ふお」


めちゃくちゃ柔らかい。

しかも、お肌もすべすべ。

さすが、子供の肌だ。

男の俺のものと比べるまでもない。

ただ、目元がまだ少し赤い。

昨日泣かせてしまった名残だ。

こんな小さな子を泣かせてしまうなんて、もっとリリに配慮のある行動をしないと。


「さあ、ご飯の準備をしないとな」


服からリリの指を外してキッチンに立つ。

まあ、キッチンと言ってもコンロが一つに、小さな流しがある程度だ。

正直言って調理するのが大変だ。

でも、コンビニや外食ばかりでは貯金なんてできない。

やはり自炊するのが一番だろう。


「卵とハムがあるか、米は無い。なら、ハムエッグにパンでいいか」


簡単だし、ササっと作ってしま(ポフッ

足元に柔らかい感触が。


「パパ、どこ行くの?」


リリが俺の足に抱き着いていた。

なるほど、起きた時に布団の中に俺がいなかったから心配になっちゃったか。


「どこにも行かないよ。朝ご飯の準備をしているんだ。それよりもリリはパジャマから着替えておいで」


「うん」


そう言うリリだったが、俺の足から離れない。

まあ、まだリリは小さい。

甘えたい盛りなのだろう。


「もうすぐだから、待ってて」


「うん」


数分もするといい香りが部屋を満たしていく。

さてご飯に。


「あれ?」


「なに?」


気づくとパジャマから昨日のワンピース姿に代わっている。

いつの間に着替えたんだ?

そう言えば昨日もいつの間にかパジャマに着替えていたし、でも、まさか、な。


「いや、何でもない」


思わず魔法かもなんて思ってしまったが、そんなわけないか。


「さあ、朝ごはんにしよう」


「うん!」


朝食を食べ始めるが、やはり親の教育というのが見えてくる。

まだ小さいのに食べこぼしもほとんどなく、綺麗に食べている。


「あ、そういえば」


写真を送れって言われていたな。

スマホで写真をとる。


「それなに?」


「スマホだよ。これで写真を撮ったんだ」


「スマホ? シャシン?」


スマホはおろか写真も知らないか。

どんなところの出身なのだろう。

それ以前にリリのことも全然知らない。


「そういえばリリって何歳?」


「よんさい」


そうだな、ロアーナさんが帰国してから四年だ。

順当に年を取っていれば四歳だ。


「好きな食べ物は?」


「いちごのぱふぇ」


昨日のがそんなにおいしかったか。


「パパとママ、どっちが好き?」


「どっちも!」


良かった。

ママと言われなくて。


ゆっくりリリのことも知っていこう。


「そういえば、これから俺の実家、おばあちゃんに会いに行くぞ」


「おばあちゃん?」


リリのことをきちんと話そう。

それで、少しでもこの子が幸せでいられるように、手伝ってもらおう。

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