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お嬢様はお金持ち(共)

本日コミカライズの1巻が発売です。よろしくお願いします。昨日12月11日のコミカライズ更新で1巻の続きが読めます。

本編の感想で質問がありましたので、今回はセレスティスの店に商品を置いてもらうのと特許の違いの説明で護衛騎士カイル視点です。

「カイル、私のお給料が今までよりも多いのですが、お嬢様に付き従ってセレスティスに来ることで何か手当をつけるようなことを騎士団長は言っていたでしょうか?」


 エリドが先ほどお嬢様から今月の給料だと言って渡された袋の中の硬貨を数え、困惑した顔で聞いてくる。

 凶悪な魔獣や大規模な盗賊団の討伐があった時などは臨時手当が出ることもあるが、セレスティスは治安も良いし特に手当を増やすようなことは聞いていない。


「いや、特に聞いていないが・・・私のも多いな」


「間違いでしたら困りますので、お嬢様に確認しましょう」


 少ないならともかく、多いのならもらっておけとも思うが、この真面目なのがエリドの美点でもあるしな。それにこれまでの倍額なのも、多すぎてさすがに気になる。


「ああ、それは私からの出向手当ですので問題ありませんよ」


「「シュッコウ手当?」」


 お嬢様に確認すると聞いたことのない言葉を言われる。


「2人はシルヴァーク公爵家の騎士団から私の個人的な留学についてきてくれていますからね。当主であるお父様の命令だというのならともかく、この留学は完全に私の個人的な趣味ですから、不慣れな土地へ赴任したことに対する手当だと思ってください。2人は公爵家の騎士ですから、基本給は公爵家から出ていますが、それ以外のこの地でかかる生活費は私の個人資産から出しています」


 ちょっと待て。

 公爵家の騎士寮での食費やその他諸々は給料から天引きだったが、このセレスティスでの生活費はお嬢様の個人資産?!


「あの、公爵様からそのようにするよう言われているのですか?」


 公爵様、お嬢様に厳しすぎだろう?!


「あら、いいえ?お父様はこのセレスティスにある公爵家の物件は好きなものを使うようにおっしゃいましたし、生活費も出してくださるおつもりでしたけれど、私ももう成人いたしましたし、自分の我儘で留学しましたから、生活費は自分で出すと言ったのです」


 お嬢様はいつも通りにこにこしているが、王家から慰謝料としてもぎとったのは大金貨10枚だと聞いている。学費は1年で中金貨1枚だが、それ以外の教材費も色々とかかるだろうし、それに貴族である私たち騎士2人と侍女2人の給料はそれなりの額だ。平民の料理人のオスカーとセレスティスに来てから雇った何人かの下働きの給料は知れているだろうが、全員の食費や光熱費といった生活費は馬鹿にならないだろう。

 私は伯爵家の出身だが3男だから爵位は騎士爵しか持っていないし、従姉妹で婚約者のエリドも同様だ。金銭感覚は割としっかりしている方だと思う。


「あ、お父様が影で付けてくださっている護衛が何人いるのかは知りませんが、そちらに関してはお父様にお任せしていますよ?」


 それは何人いるのかは私も知らされていない。ただ、学院内にも何人かは入り込んでいるはずだ。6つ名持ちの公爵令嬢の護衛が表に出ている騎士2人だけというのはあり得ないからな。


「お嬢様、私は望んでお嬢様に付いてきましたので、シュッコウ手当?というものは必要ありません。こちらに来てから公爵家の騎士寮にいた時よりもお料理も美味しいですし・・・」


 そうなんだよなあ、お嬢様が直接手も口も出して作っている料理はどれも非常に美味だ。公爵家の騎士寮の食事も実家の伯爵家より遥かに美味かったが、こちらに来てからは更に上をいく。お嬢様の食事に対する熱量は半端ないから、食費は相当かかっているはずだし。


「私の気持ちですから気にせず受け取っておきなさい。心配しなくても、私の個人資産はかなりありますからね」


「個人資産、ですか?」


 公爵様から領地の割譲でもされているのだろうか?


「アストリット商会が私に付いてきたでしょう?あの商会から出ている化粧品やお菓子は、私が幼少時からレシピを売って特許を得てきたものが大半なのですよ。表向きはお母様が命じて作らせたことになっているはずですけれどね」


 ふふっと笑うお嬢様の顔はいつもと同じで人形のように作りものめいて綺麗だが、何故か背筋を冷汗が伝った。


「でも特許は一律10年ですからね、そろそろ特許が切れる品も出てきますし、安定した収入を得るためには次々と新作を発表しませんとね」


「あの、お嬢様、不勉強で申し訳ないのですが、お嬢様がセレスティスに来てから街の薬屋に味を改良したポーションのレシピを売ったのと、特許とはどう違うのでしょうか?」


 エリドが首を傾げてお嬢様に質問する。お嬢様はぱっと見はとっつきにくいが、慣れると割と何でも聞きやすい人だ。


「あれは学院に登録されている店なのですよ。この街は教師も研究者も学生も様々なものを作りますから、それを気軽に店に並べて試してもらうためのシステムですね。研究というのはどうしても盗んだ、盗まれたというトラブルがつきものですから、まず学院で自分の作製したものを登録し、それを学院に登録された店に持って行って置いてくれるように交渉するのです。ポーションは薬草の値段が変動すると値段も変わりますし、その店の仕入れ値によっても値段が変わります。利益の何パーセントをもらうかは交渉次第ですが、今回は3パーセントにいたしました」


「交渉次第で10パーセントとか20パーセントにすることもできるということですか?」


「できますけれど、そうなると値段設定も高くなりますから売れにくくなると思いますよ。そうして置いてもらった品の人気が出てきて他の街や国でも売ってほしいという需要が高まると、大きな商会やギルドが出てきて特許交渉になります。この街の店は自分の店が最初にあの商品を売ったんだ、という目利き自慢のようなものを楽しむようですね。特許は契約魔術を結んで登録します。レシピを売った代金と10年間利益の1割が入ることになります」


 つまりお嬢様は、奥様を隠れ蓑に子供の頃からアストリット商会で化粧品とお菓子を売りまくって、利益の1割を貯め込んできたというわけか。

 なんでアストリット商会の商会長夫妻がわざわざセレスティスまで付いてきたのかと思っていたが、お嬢様が裏で商品開発してたのか。どうりでいくら大商会の商会長夫妻とはいえ、平民がお嬢様と親し気なわけだ。

 アストリット商会の化粧品やお菓子って、女性への贈り物として喜ばれる筆頭だしな。バックにシルヴァーク公爵家がついているとなれば、下手な貴族家が無茶な要求もできないだろうし、商会としてはお嬢様は守護神みたいなもんじゃないか?


 シルヴァーク公爵家とは関係なく、とにかくお嬢様が実は個人でものすごくお金持ちだということが判明した。


セイランとしては、成人してから自分の趣味で留学するのに親の金を使うというのもねえ・・・という前世の経済的に自立した大人の価値観で自費留学していますが、大金持ちの筆頭公爵家当主のパパンにとっては、またこの娘はおかしなことを言いだして・・・と頭を抱えた案件です。弟は当然何の疑問も持たずに全額家の金で留学しています。

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楽しみにしてました!!
コミック一巻購入しました! 続きも楽しみだー!
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