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第95話「不思議な魔物達ですね」

ブクマ600到達しました。これからも応援よろしくお願いします。

「ッ!? この、感覚は……?」

「いかがなされましたか?」


 絢爛豪華な、教会の教えに反した贅沢品に囲まれた演説台で教えを説いていた聖女アリアスは、突如悪寒に襲われた。

 彼女の優れた邪悪への感知力でも引っかからないほどに離れた場所で、何かが起きていると何故か感じ取ったのだ。


 その秘密は、絢爛豪華な舞台に設置されている魔力感知用の魔道具。マナセンサーにも使われているものをアレンジし、周囲へと遠方の情報を虫の知らせのように伝える物であった。


(この感じは……邪悪な魔力。しかし遠い……普通に移動すれば馬でも一日はかかる)


 アリアスは不自然なほど遠方より届いた悪寒の違和感には気がつかない……というより、気にしない。

 理由などどうでも良いのだ。邪悪は滅する。彼女の頭の中にあるのは常にそれだけなのだから。


「聖女さ――」

「急用ができました。……勇者殿は――」


 演説を中断し、即座に邪悪殲滅に向けて彼女は行動を開始する。

 まずは味方勢力として力だけは頼れる勇者を探すが……


「ヘヘヘ……」

「勇者さまぁ。もう一杯いかがですかぁ?」

「悪いねぇ良い酒こんなに飲んじゃって~」


 ……勇者カインは綺麗なお姉ちゃんに囲まれて既にベロベロのぐでんぐでんな有様であった。

 先ほどまでは貴族のご令嬢に武勇伝を語って聞かせることに夢中であったはずだが、今は美酒に心を奪われているらしい。

 勇者の力は泥酔していてもなお陰るものでは無いはずではあるが、酔っ払いを説得するのは非常に手間である。

 戦える戦えないは別にして、素面でも怠惰な勇者が綺麗どころに囲まれて酒を飲むなどという堕落の極みのような環境から易々と出るとは考えにくく、アリアスは即座に勇者の説得を諦めるのだった。


「邪悪を感知しました。即座に討伐へ向かいます」

「じゃ、邪悪……? いったいどこに?」

「この辺りに被害が出ることはありません。北の方角に、かなりの距離があるようですから」


 既にアリアスは舞台から降り、感知の魔道具の影響下から外れてはいるが、一度補足した気配を見失うことは無い。一度でも捉えた邪悪は世界の果てまで追い詰めるのが彼女のモットーなのだから。


「で、では馬を用意――」

「不要です。普通の馬では時間がかかりすぎます」


 公爵の要望を、食い気味に却下するアリアス。普通に考えればかなりのマナー違反であり、普段の彼女ならば決して行わない態度だ。

 だが邪悪を感知した時は話が別。礼儀もマナーも、邪悪を滅するという神のシモベとしての使命に比べれば価値などないのだ。


「――神よ、ご加護を! 起動せよ【神器・神の杖(ゴッド・アドベント)】」


 神器――それは、聖人と呼ばれる者達の証。

 その者の人生で積み上げた功罪(メリト)とは違い、個人として神に突然力を与えられた勇者とも異なる力の在り方。

 勇者同様、神器もまた神より授けられた力であるが……理由無く超人的な力を与えられるのではなく、聖職者としての能力と信仰心を神に認められたとき授けられるとされる至高の功罪(メリト)武器。それが神器である。

 神の力を与えられたというだけありどれも非常に強力だが、その中でも七聖人が持つ七つの神器は桁違いの力を宿しており、エルメス教が誕生した当時より現代まで伝わる由緒正しい物とされている。

 七神器の力を引き出せる聖職者。七神器に認められた徳と才を持つ者。それが、エルメス教最高位の七聖人の定義である。


「召喚・天を征する聖獣――天翔る聖馬(ペガサス)!」


 聖女アリアスが持つ七神器、神の杖(ゴッド・アドベント)が宿す力は聖なる力を宿す化身の召喚――すなわち、状況に応じた様々なシモベを呼び出し、使役する力を宿している。

 召喚のための魔力は神器と持ち主両方からの持ち出しであるが、神器と言うだけあり神の杖(ゴッド・アドベント)の内在魔力は並みの功罪(メリト)武器の比ではなく、アリアス自身もその知名度から統合無意識(コミューン)より受ける魔力補給量は人間の領域を越えている。

 神の杖(ゴッド・アドベント)を聖女アリアスが持つのならば、彼女は一人で一国の軍勢を率いるも同然の戦力を保有していると言っても過言ではない。


『ブルルッ!』


 アリアスの号令に従い、姿を現したのは純白の翼を持つ聖なる馬、ペガサス。

 エルメス神話にもよく姿を現している聖獣の代表格のような存在であり、聖女が足として使うにはこれ以上無い存在だろう。


「行ってください。全速力で」


 召喚した天馬に素早く、そして勇ましくまたがったアリアスに先ほどまでのお上品な聖職者というイメージはもはや抱けないだろう。

 そこにいるのは、苛烈な修羅場を乗り越えてきたことを確信させる、力強い戦乙女だ。


「ハッ!」


 アリアスが天馬へ指令を送ると、伝説に違わない光の翼を広げ、聖女は飛び立った。

 一瞬で超加速した天馬はあっという間に肉眼では見えない高度へと消えていったのであった。


「……あれが、エルメスの聖女か」

「凄いものですなぁ」


 突然の事態を遠目で見ていた夜会の招待客達も、聖女が去った後でようやく正気に戻ったのか、ゆっくりと今の一連の騒動に関して感想を語り始めた。

 しかし、貴族達に功罪(メリト)や聖人の力のことなどよくわかるはずもなく、当たり障りの無い会話ばかりがあちこちで散漫に行われるばかりであった。


(あの馬……あの速度ならば、輸送に十日かかるような距離でもさほど時間はかからんだろう。搭載重量はわからんが、輸送に使えれば利益は計り知れん。戦場でも当然、利用法などいくらでも思いつくことだし……やはり、エルメス教と事を構えるのは百害あって一利なしか……)


 一部の目端の利く者はその利用価値と脅威を再確認した。


 そして――


「あの杖……クカカッ! やはり、そういうことか」


 聖女の感知領域外から夜会を見下ろしていた魔王は、自らの疑念を確信へと変えたのだった。


(あのスピードなら、予定ポイントまで一時間もかからんだろうな。ケンキ達には準備させて、最低でも――)


 ――殺されないことを最優先に行動させ、戦力分析ついでに負け戦を経験させるとしようか。


 現代の聖女の力の底を探る生け贄に使うついでに、配下に経験を積ませる場に活用しようと一人企むのであった。


「さて……今のうちに、俺は俺の仕事をしなければな」


 勇者が堕落し、聖女が不在となった大都市で――魔王の影が怪しく動き出した。



「――見つけた」


 天空を疾走する天馬に乗った聖女は、通常ではあり得ない速度でその地に到着した。


 魔王ウル・オーマに仕える魔王軍において、特に戦闘力という意味では頂点の座に君臨する双璧――オーガのケンキと嵐風狼(シウルフ)のカームが待ち構える戦場へと。


「ヌ?」

「あれは……」


 隠す気もない――隠すことは不敬であると言わんばかりに強大な神気を放ちながら近づいてきた聖女に、当然地上の魔王軍も気がついた。

 戦闘力では主である魔王を除いて、いかなる存在にも負けることは無いというくらいには自分の力に自信があるケンキとカームであるが、流石にその光景には驚いたようであった。


 当然だろう。今まで触れたことの無い異質で清らかな魔力を纏ったその聖女の力は、見ただけで今までの魔物生で見てきたどんな力よりも上だと確信してしまうほどなのだから。


「構えろ。来るぞ」

「弱い者は下がって援護に回りなさい。まともに戦えば死ぬわ」


 規格外の敵であることを察したケンキとカームから、油断と慢心が一瞬で消え去る。

 同時に、忘れていた感情を思い出すように全身に気を巡らせていく。弱く小さかった幼い時代に何度も経験した、圧倒的格上に挑むときの空気を嗅ぎつけて。


「こりゃ、やばそうね……」


 一緒に待機し、巣を構築していたアラクネのアラフもまた、野生の本能で聖女という危険極まりない生物の力を理解し、速やかに行動に移る。

 彼女の必勝戦法――巣の中で待ち構えて、敵が入ってきたら絡め取る守りの戦術である。

 つまり、即席で作った構築済みの巣に引きこもっただけなのだが、それしかないのが現状だった。

 巣に入るつもりは無いケンキやカームにしても、結局凄みながら構えるだけで自分から行動に出たりはしない。


 何故ならば……聖女は、空の上にいるのだから。


「これより浄化を始めます――エルメスの神々よ、ご加護を!」


 制空権を支配する聖女は、神への祈りを捧げると共に神器たる杖の先端に魔力を集める。

 そして、そのまま工夫も無く眼下へと落とすのであった。


「消え去りなさい――」


 それは、特に技名も無いただの魔力弾だった。

 魔道に分類するならば無の道にあたる、ただ魔力を固めて放ち炸裂させるだけの技。経絡の活性化による魔力コントロール技術さえあるのならば、どんな無才であっても可能であろう。

 当然、魔王ウル・オーマの手により経絡の活性化を施された魔王軍の兵士ならば同じことは全員にできる。狙った場所に飛ばすでもなく、ただ落とすだけならばなおさらだ。


 それでも、それを見ていた魔王軍は誰もが確信した。


 アレと同じことが可能な存在は、自分達の中にはいないと。


「退避! そして全力で防御しろ!」

「冗談でしょ――糸壁!」

「クッ――風よ、我が盾となれ!」


 ケンキは配下の魔物達に撤退を指示しながら、自らは集団の最前列に立ち、手にした大剣を盾のように構えて防御態勢を取る。

 ケンキの前方にアラフの糸壁とカームの風の盾が重なり、退避した他の魔物達もそれぞれ発動できる魔道で防御壁を構築し、即席のバリケードを形成した。


 同時に、聖女の魔力弾が着弾し――周囲一帯を白い光で包み込んだのであった。


「……種族能力、功罪(メリト)、そして魔道……不思議な魔物達ですね」


 聖女が神器から放った魔力弾は、さながら爆弾のような威力で辺り一帯を吹き飛ばした。

 単独で軍勢と喧嘩できる、人類の切り札。数多の異形怪物を殲滅してきた聖人の力を以てすれば、通常攻撃も同然の魔力弾一つが戦略兵器に早変わりだ。


「……殲滅失敗。ただの魔物と侮るのは危険かしら?」


 魔力爆弾によって立ち上った土煙が消えた頃、大きく抉り取られた大地にはまだ生者の姿があった。

 並み――それどころか、領域支配者(ルーラー)と呼ばれる魔物の上位種であっても、大半は今の一撃で跡形も無く消し飛ぶことになる。

 それが聖女、七聖人の力。だが、驚くべき事に魔物達はまだ息をしており、それどころか自分の足で立っていたのだ。


「ク……被害報告は!?」

「鬼軍団、重傷2! 死者数5! 戦闘可能数3」

「風狼軍団、戦闘可能数2! 死者2! 重傷6!」

「大蜘蛛部隊、8体死亡! 2体軽傷!」

「元領域支配者(ルーラー)部隊は、辛うじて全員生存……! だが副官はもう戦えん!」

「チッ……個の力で劣る子達の被害が深刻ね。ボスの指示どおり強いのを集めたつもりだったんだけど、想定がかなり甘かったみたい……!」


 この場に集められた魔王軍精鋭部隊が、たったの一撃で壊滅状態に陥っていた。

 特に、糸壁を作るため前に出ていた大蜘蛛部隊はほぼ全滅と言っていい有様であり、それぞれの部隊の大将格は自力で何とか耐えはしているが、既に戦争であれば大敗……あるいは全滅としてもいい被害であった。

 精鋭のみを集めた40体の配下が、既に生存者だけでも25体。内、戦闘可能数は12体。ケンキ、カーム、アラフの三体を計算に入れたとしても合計僅か15体と、何もしない内から半分以上が脱落しているのだから。


「油断なく、確実に神罰を」


 しかし、そんな大戦果をもたらした聖女アリアスの表情には油断も喜びも無かった。

 当然だ。彼女が求めるのは勝利ではなく殲滅。魔に属する者全てを一切の例外なく塵に変えることなのだから。


「【神の杖(ゴッド・アドベント)】……神のご加護を我が手に――」


 単純魔力爆弾で倒せなかった。それでも、同じことを後数回やるだけで勝利できそうな気はしたが、彼女に油断は無かった。

 同じ手を繰り返せば対策されるかもしれないというくらいには眼下の魔物達を脅威と認めたアリアスは、自身最強の手札である聖なる化身の召喚を行う。

 天馬にまたがりながら聖女が呼び出したシモベの正体は――


「……なに? あれ?」

「森で見たことは無いな。人型の鳥か?」

「愚か……これぞ、神々の代行者にして執行者、聖なる使いたる天使です」


 聖女を中心に、陣形を組むように空中に現れたのは、上から下まで純白の衣に身を包んだ人型の生命体。

 背中にはこれまた、いっそ不自然なほどに真っ白な鳥の翼のようなものが生えており、頭の上には光輪が輝いている。放つ魔力はわかりやすいくらいに聖なる属性に傾いており、何も知らないド素人であっても神の使いと言われれば素直に信じることだろう。


 神器の力によって召喚された天使の種族名は、滅する大天使アークエンジェル・ヴァニシュ。天使の中では序列も低く弱い方であるが、普通の人間でも一流どころならば召喚術で呼び出すことも可能な存在であり、戦力としての天使召喚の対象としてはポピュラーといえるだろう。


 ただし、一体召喚するだけでも一流と呼ばれる一握りの魔道士にしか行えない奇跡であり、魔道で分類するならば命の道の四の段相当の術を必要とする。

 すなわち――同時に20体もの大天使を召喚する聖女の力は、まさに規格外ということだ。


「天使隊――殲滅しなさい!」

「来るぞ! まずは力を見極めろ!」


 大幅に戦力ダウンしたとは言え、数の上ではまだ有利だったはずの魔王軍は、一瞬で最後の優位まで失ってしまった。

 となれば、ここで気合いを入れるのはケンキ……個人戦闘力最強の男だ。

 数の差を食い破るのは個の武勇。天使が何だと、雄々しく剣を振るわねば戦う前から勝敗が決してしまうことだろう。


「消え失せろ!!」


 ケンキの肉体は非常に頑強だ。耐久力だけで言えば、現状の最終進化形態となった魔王ウルをも凌駕することだろう。

 精鋭部隊を一撃で壊滅させた魔力爆撃を最も近距離で受けながらも、鎧の損傷は見られても本人の肉体は皮膚が傷ついている程度で致命傷にはほど遠い。

 全快時の9割は出ているだろう肉体の出力をフルに使い、天から突っ込んでくる天使を大剣で捉え――


「ッ!? なんだ、この手応えは……?」


 ケンキの豪腕で大剣を叩きつけられた天使の一体は、大きく吹き飛ばされた。

 それだけ見ればケンキの勝利にも見える一瞬の攻防であったが、当の本人は困惑顔であった。


(肉を斬った感触ではなかった。水に刃を突き立てたような、手応えのなさだ)


 訓練で、そして実戦で何度も味わった『敵の肉を破壊する感触』が残らなかった。

 見えない何かに力を殺されてしまったような、そんな印象を受けたのだ。

 そして、そのケンキの感覚は間違っていなかった。


「……! ケンキの斬撃をもろに受けて、普通に立ち上がるのね」

「あれは、もしかしたら……」


 後方で部隊編成に注力していたアラフとカームが、ケンキの攻撃を受けて何事も無かったかのように立ち上がる天使に驚きの目を向けた。

 少なくとも、ウル魔王軍にケンキが全力で斬りかかっても無事で済む者はいない。それこそ、魔王ウルであっても無防備に直撃を受ければ重傷を負うことだろう。

 それなのに、天使はダメージなど受けていないと言わんばかりに再度ケンキへと攻撃を仕掛けていったのだ。


「無から召喚された雑兵がケンキより上だっての? 本当に洒落にならないんだけど!」


 もし、天使が敵の総大将であるというのならばそれでもよかっただろう。あらゆる手段を尽くし、勝利への道を探るだけだ。

 しかし、目の前にいる天使は……数を頼りとしている雑兵なのだ。


「こっちにも来るわね」

「そりゃ、これだけの数がいれば当然でしょ!」


 ケンキの後方にいたカーム、アラフ、そして負傷兵達の方へも天使が群れをなして襲いかかってくる。

 数で言えば、単騎で孤立しているケンキへ向かうものよりも遙かに多い。


「クッ――」

「まだ戦える者は、負傷者を守りながら後退しなさい。シルツ森林へ逃げ込めれば翼に頼る兵力は使えないわ。ここはもう負け戦……これ以上被害を出さないように撤退することが勝利条件よ」

「カーム!?」


 迫る天使軍団に、カームは一人盾になるように前に出た。

 ケンキと並ぶ戦闘力上位の大魔であるカームだが、頑強さではケンキに大きく劣る。先ほどの聖女の魔力爆弾は自らの魔力を障壁とすることで防いだが、その代償として魔力を大幅に削られている。

 その状態で、謎の力を持つ天使軍団を止められるはずが無い。ここで死ぬならば弱い自分達の方がいいとアラフは声を荒げるが、カームはその獣の顔に不敵な笑みを浮かべるのだった。


「勘違いしないでちょうだい。……集団戦は、私の得意分野よ」

「得意分野って……その手下を下げてどうするのよ!?」

「フフフ……集団戦を得意とする風狼の頭、嵐風狼(シウルフ)のカーム……手下頼りの臆病者と思われては困るわね」


 その言葉と共に、残り少ないはずの魔力をカームは一気に解放した。

 その出力は流石大魔というところであり、上空で天使を指揮する聖女の顔も僅かに険しくなる。並みではない――と、確信を持ったのだろう。


「【司令の功罪(コマンドメリト)魔狼の軍勢(アーミーズ)】……これがこのカームの切り札! 刮目しなさい!」


 ウォォォォーンという雄叫びと共に、元三大魔が一角、嵐風狼(シウルフ)功罪(メリト)が解放される。

 元三大魔、ケンキが狂気を解き放つ自己強化の功罪(メリト)を持っていたように、カームにも能力として昇華された功罪(メリト)が存在する。

 魔狼の軍勢……それは、偶然ではあるが、聖女アリアスが発動する神器と原理を同じくする能力。自らの魔力を用い、自らの意思で動く忠実な兵隊を創造する召喚系の功罪(メリト)だ。


「さあ――戦と行きましょうか!」


 カームが呼び出すのは、身体を風で構築した見えざる獣。

 風に質量を持たせるという、物理法則を無視する力によって生み出された――意思を持つ烈風の軍勢なのだ。

 普通の風狼の一族も風を操る種族能力を有しているが、これはその発展系と言えるだろう。風を操り集団で獲物に襲いかかる風狼としての力を高めた結果、辿り着いたのは『個にして軍』というスタイルなのであった……。

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他力本願英雄
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