5、真っ白な世界
本日2話目です。よろしくお願いいたします。
「・・・ここは?」
目を開けると真っ白な空間で何もない。
「僕は、教会へ洗礼を受けにきて、それで祈りを捧げてるときに声が頭の中に響いて、それで・・・」
「そう。そこで君は『試練』を受けるよう言われたんだ。この私『試練・極』のスキルによって、ね。」
「・・・!誰だっ?」
急に後ろから声が聞こえたので振り返ると、そこには腰まで伸ばした銀色の髪をした同い年くらいのカワイイ少女がそこにいた。
「フフフッ。こうして話をするのは初めてね。改めて自己紹介するわ。私はスキル『試練・極』。正確にはその一部よ。我がスキルの継承者であるリュウタロー・サーカモンが初めて私を起動させたので私が表れたの。あなたを『試練の間』に案内する為に。」
そう説明されてもいまいちピンとこない。だって起動させたって言われたけど勝手に起こった事だし、継承者と言われてもたまたまスキルのくじ引きで引いただけだ。
「え、えっととりあえず僕は君にここに呼び出されたって事で良いのかな?」
「そうです。今回は私が貴方を呼び出しました。」
「もう少し詳しい説明が欲しいのだけど、とりあえず元の場所に戻る事は出来ないのでしょうか?」
「すぐには無理ですね。あなたは今から『試練の間』に向かい最初の試練をクリアしていただきます。」
すぐには無理ということはその試練をクリアすれば戻れるわけか、やっぱりややこしそうなスキルだな。
「わかりました。ではその試練とはどんなものなんでしょうか?」
「それは私には解りかねます。ですがその試練をクリアすれば貴方はより大きな力を持つことになります。あと、私にそのような言葉遣いは不要ですよ。貴方の事はこの10年一緒でしたのでわかっておりますので。」
「・・・そう。分かったよ。で、そんな力要らないと言ったら?」
「試練を避ける事は出来ません。受けなければここから出ることは出来ません。ここを出るには試練をクリアするか、死ぬかのどちらかです。」
「やっぱりな。そんな事だとは思ってたけどな。分かったよ。じゃあ連れてけよ。その『試練の間』ってとこにさ。」
「かしこまりました。ではこちらに。」
俺はスキルのナビゲーター?についていった。数分歩きナビゲーターが立ち止まる。
「着きました。では今から『試練の間』を発動させます。」
そう言ってナビゲーターはおもむろに手をかざすと地面から扉が音もなく現れた。
「お待たせしました。リュウタロー・サーカモン。これが貴方が今から行う『試練』に繋がる扉です。」
俺はその扉を見上げていた。
やっと試練始まります。