一人旅の贈り物
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明日その日は、次子の誕生日だ。
隣町に住んでいるあの子に、僕はこれから贈り物を届ける。
あの子に会いに行く為のバスに乗る。小学6年になって、初めての一人旅。
普段は親に付き添ってあの子の家に行ってるが……正直恥ずかしくなってきた。会えるなら、一人で会いたい。
バスの片隅に乗って外を流れるビルを見ながら、僕は家にいるだろうあの子のことを思う。
正直、一人であの子に会うことも恥ずかしくなってきた。
バスから降りて、団地沿いの坂をあがる。
何度も足を止めながら、なんとか決心して彼女の住んでるアパートのチャイムを鳴らした。
その部屋は留守だった。
仕方ないので近所の図書館で時間を潰す。
図鑑に絵本に小説……図書館の棚の正面にあった本を読み漁る。
普段は本を読まず、次子と一緒に読まなきゃ進まない。適当に読みながら、一緒に隣で読んでいた頃を思い出す。
日が暮れた。そろそろ小学生の僕は家に帰らないといけない。
図書館を出たところで、偶然次子に会った。
友達との誕生日パーティーの帰りだったらしい。
「誕生日……おめでとう」
言葉が詰まりながら、次子に誕生日プレゼントのぬいぐるみを手渡す。
「太郎、ありがとう!」
夕暮れが次子の笑顔を照らした。