プロローグ
文フリ投稿作品
プロローグです。
涙が頬を滑り落ちていくのを、どうにかして止めたかった。
中学生活も半ばに入ろうとする年の春、数分前の僕の一世一代の勇気は、実りを待たずして散っていった。
止めどなく溢れる涙。
その理由が、僕にはわからなかった。
相手はいわゆる美少女で、明るくて、誰もが振り返る映画のヒロインのような、俗に言う高嶺の花だ。しかも、その子には想い人もいる。
叶うはずのない夢だった。
たとえ伝えても、届かないことは判っていた。
なのに、それなのになぜ涙が止まらないのだろう。
「っうぅ…っ…っく、ぅ…」
溢れる嗚咽が頬を伝い、絨毯を湿らせた。
(ここが自室で良かった。…心置きなく涙を流せる。)
そう思うのと同時に身体を支える脚から力が抜け、その場にへたりこんでしまった。
涙は止まらない。
「あぁあ…おれ、頑張ったのに、なあ…くっ、うぅっ…残念…だっ、た…なぁ…」
窓の外には咲いたばかりの桜が舞っている。春はまだ先の日。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
さて、これ自体はまだ完結しておらず、作品応募規定を満たせていないのですが、5/28あたりを目処にしっかり完結させる予定ですので。
もしよければ、28日前後にもう一度読んでくだされば嬉しいです。