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序章 目覚め

序章 目覚め


 まぶしい……

 ゆっくりと目を開けると見覚えのない木の天井が目に入った。

「ここは?」

 見覚えのない天井を中心に首を左右に振る。

 木でできた高級そうなベッドや家具、ベッドの横にある大きな窓、花をかたどったガラス細工、スーツ姿のウサギのぬいぐるみ、どれをとっても記憶にない。

「いったい、どこなんだろう?」

 寝ぼけた頭の中をたたき起こす為に上半身を起こす。

「ここは、眠りの国だよ!」

 誰だろう?

 声のした方を見るが、それらしき人の姿は見当たらなかった。

 空耳? 

「もう動き始めてるから準備をして」

 首をかしげているアタシの目の前を、何かが動いた。

「ウサギ?」

 ウサギの形をしたぬいぐるみがポケットから何かを取り出そうとしていた。

 そしてポケットから勢いよく何かを抜き出すとその場でクルクルと一回転し、その場に座り込む。

 その姿が恥ずかしいのか、ウサギは照れたように頭をかいた。

「よいしょ!」

 ウサギは二本足で立ち上がると、アタシの方を向いて、ベッド上までピョンと跳ねあがる。

 そして、手に持っている何かをアタシに突き出した。

 ……この生き物は何?

「あれ? ボク何か変な事を言った?」

 ぬいぐるみは首を傾げながら、アタシの疑問とは見当違いの疑問を投げかけてきた。

「あっ自己紹介がまだだったね。ボクの……」

 アタシは、ぬいぐるみの口をふさいでみた。

 口は動いていない。どこかにスピーカーが仕込んであって、誰かがこのぬいぐるみをラジコンで動かしているのだろうか? 

 アタシは、口から手を離し体を触る。

「なっ、何するんだよ」

 この辺りに電池があるはずだ。

 背中やお腹に、電池を入れる所が無いか調べるが、それらしき物は無かった。

 体を調べられるのが嫌なのか、ウサギはアタシの手の中でバタバタとあばれている。

 もしかして最新型のロボット?

 うーん、ロボットなら動くための骨が入ってるはず。

 アタシは、ぎゅっと人形をにぎる。

「イタイイタイ!」

 骨は入っていなかった。

 うーん、その前にこれって夢なんじゃないだろうか?

 定番だけどやってみるか。

 アタシは自分のほっぺを、ギュッとつねってみた。

 あれ? 痛くない。

「ゆめ?」

 目の前にいたウサギは、何かに納得したかのようにポンと手を鳴らした。

「お姉さん今の状況を全く理解していない?」

 アタシは、首を縦に振った。

「それじゃあ。今からお姉さんの質問タイムにしよう!」

 ウサギはウンウンと首を何度も上下に動かす。

「じゃあ、ここはどこで、どうしてアタシがここにいるの?」

 ウサギが、ロボットか生物かは置いておいて、パッと浮かんだ疑問を投げかけた。

「ここは眠りの国で、君は何かの理由で死にかけている。だからここにいるんだ」

 ウサギは首を上げて、アタシをジッと見ながらそう言った。

「死にかけている? 今、アタシここにいるし元気だし……」

体を見まわすケガひとつない。

あれ?そういえば、アタシ白いワンピース着てたんだ。

 何時こんなの着たんだろう?

「それに、痛くなかったよね? ほっぺ」

「あっ」

 さっきツネったほっぺをさするが、感触が伴わない。

「じゃあ、ここは夢の中?」

「まあそんな所かな」

 ウサギは軽くうなずいた。

「じゃあさ、どうして死にかけてるって分かるの?」

「それは君がこの世界に来たからさ」

 アタシが来たから? 

 という事は、ここに来た人は皆死にかけているってこと? 

「他に質問は?」

「さっき見せようとしたものは何なの?」

 ぬいぐるみは、手に持っていた時計を慌ててアタシに手渡す。

 受け取った時計は、中の歯車が見える金の懐中時計だった。

「この時計で何をすればいいの?」

 あれ? この時計、よく見ると針が逆回転している。

「この時計はね。残り時間を示しているんだ」

「残り時間?」

 いったい何の残り時間なんだろう? 

「君がこの世界で生きる事ができる時間だよ」

「エッ?」

 ウサギは、得意そうな顔で話はじめた。

「その時計の短い針が丁度一回転するまでに、君が無くしたものを見つけないと、君は元の世界に戻れなくなるんだ」

「無くした物? 見つけないと消えてしまう?」

 思い当たる節はない。

 いったい何の事だろう?

 そう思ってウサギを見ると、ウサギは、何かを考えるようなポーズをとって、ポンと手を鳴らした。

「えーっと、そうだなあ、自分の名前言ってみて?」

「自分の名前くらい言えるよ!」

 えーっと、アタシの名前は……

 確か……

 あれ? 喉まで出かかってるのに。

「つまりそういう事なんだよ」

「君は、君という存在であるために最低限必要な自分の名前すら覚えていない」

「他に覚えてる?」

 結果は見えていると言いたげな挑発的な目でアタシを見る。

 アタシは静かに首を横に振った。

 何も覚えていない。自分が住んでいた場所も、親や友達の顔も……

 アタシはいったい誰? 

「それじゃあ、君を取り戻すために! 君の名前がある場所へ行こう!」

 アタシの名前がある場所? 

 戸惑っているのを察したのかウサギは話はじめた。

「君がどんな人間だったとか思い出してみたくない?」

「確かにそれは気になるけど」

 アタシってどんな人間だったのだろう?

「じゃあ、行こうか!」

 アタシは首を縦に振った。

 そういえば、まだ聞いていなかったな。

「アナタの名前は?」

かなり昔に書いた小説を、ゆっくり投稿していきます。

お暇のある方は、しばらくの間よろしくお願いします。

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