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異世界転生でチートしてます……妻が。  作者: パセリ
第二章 セカンドライフはファンタジー
9/48

2-5

「えっと、俺の事を知っているみたいだけど、どういう関係だったのかな。俺たち」

 数分待って、美玖ちゃんが落ちついたので、恐る恐る聞いてみた。

 この少女の行動から予想すると、本命が幼馴染みで、対抗が妹。大穴で彼女と考えたのだが、

「どういう関係って、夫婦よ夫婦。私は勇ちゃんの妻よ!」

 予想外の答えが返ってきてしまった。

「えっと、君が俺の妻?」

「そうよ」

「中学生くらいなのに?」

 自覚はなかったのだが、どうやら俺はロリコンだったらしい。

 二十七歳で中学生の妻だなんて、よく捕まらなかったものだ。

「中学生じゃないよ! まぁ今は確かに十代半ばだけど、本当は二十五歳なんだもん!」

 なんだもん! って言われても、どう対処してよいか困る。

「えっと、美玖……ちゃん? どうして君は俺と夫婦だってわかるの?」

「わかるも何も、どうしてわかってくれないの!? 私は勇ちゃんが若返っていても直ぐにわかったよ!」

 うーん、ティディは転生すると人間関係の記憶が無くなると言っていたけれど、全員がそうだというわけではないのだろうか。

 この世界へ来たばかりの俺を騙した所でメリットなんて無さそうだし、この少女は本当の事を言っているのかもしれない。

「あ、そうだ。美玖ちゃんもこの世界に居るって事は、転生してきたって事なんだよね? どうして転生する事になったの?」

「それは、勇ちゃんが居眠り運転で、トラックと正面衝突したから……」

 そう言われ、俺の脳裏に霊安所に横たわる自分の姿が浮かび上がる。

 そうだ、俺は車を運転中に交通事故が起こって、死んでしまったのだ。

「ん? って、ことは美玖ちゃんも俺と同じ車に乗っていたのだよね? でも、随分とこの世界に馴染んでいるみたいだけど?」

 俺は死んだ時と同じ服装と思われるスーツ姿なのに対し、この少女はいかにも魔法使いの服装で、ファンタジー要素がたっぷりだ。

 まぁ実はコスプレが趣味で、前の世界でこの格好のまま転生した可能性もゼロではないのだが。

「えっと、少し生死を彷徨った勇ちゃんとは違って、私は交通事故で即死しちゃったの。そして、こっちと向こうでは時間の流れが違うみたいで、もうこっちの世界で一週間も過ごしたの」

 なるほど。一週間もこの世界で過ごすと、こんな如何にもファンタジーって感じの格好となるのか。

「もう、すっごく大変だったんだから。もしもチートスキルが無かったら、お手上げだったわ」

「チートスキル! そっか。やっぱり転生するとチートスキルを持っているんだね」

 俄然やる気が出てくる。どうやらチートスキルでハーレム計画は実行可能なようだ。

「そうみたいね。勇ちゃんはもう冒険者ギルドへ行った? そこでどんなチートスキルを持って転生したのか教えてくれるわよ」

「いや、まだ行ってないんだ。って、それより何で俺は突然こんな場所に居るんだ? まさにそのギルドを目指していたところだったのに」

「あ、勇ちゃんを呼んだのは、私の固有スキル『強制召喚フォース・サモン』を使ったからなの」

 固有スキル……美玖ちゃんの『強制召喚』とやらがどんなスキルかはわからないけれど、彼女がチートスキルを持っていたのだから、当然俺も何かチートスキルを持っているのだろう。早く、その冒険者ギルドとやらへ行かないと。

「じゃあ、その強制召喚とやらで俺を元の場所へ戻してくれよ」

「ごめんね。それは無理なの。私のこのスキルは呼び出すだけなんだもん。何かを送ったりなんて出来ないの」

「えっ!? じゃあ、俺はどうやって帰ったら良いの?」

 俺の妻だと言う美玖ちゃんはもちろん可愛いのだが、ここは異世界。

 この異世界転生で、せっかくラブルやティディといったケモミミ美少女に出会えたのだ。そして、他にもきっと可愛いいケモミミ美少女が沢山居るに違いない。

 だから俺としては、一刻も早くチートスキルを身につけ、ハーレムを作りたいのだ。

「大丈夫よ。召喚されてから十分経ったら、元の場所に戻るから」

「そうなのか?」

「うん。で、このスキルは一度使うと、同じ人は数時間呼び出せないの。でもね、私はわけあってこの街を離れられないから、勇ちゃんは私の居るこのアテーナイの街まで来て欲しいの」

 ん、それは逆を返せば、数時間置きに俺はこの少女に召喚される可能性があるということか?

「……えっと、どうして?」

「どうしてって、そうしないと十分しか会えないじゃない。お願い! 私に会いに来て!」

「いや、悪いけどそれは出来ないな」

「えっ!? どうして!? どうしてなの!?」

 せっかく落ちついていたのだが、再び美玖ちゃんが涙目になっていく。

「んー、俺には君との記憶が無いんだ。だからいきなり現れて妻だって言われても、ハイそーですか、とは言えないよ」

「そんな! 私はこの一週間、勇ちゃんのために真っ暗で狭いダンジョンに行ったり、スフィンクスの意味不明ななぞなぞに答えたり、あげくの果てに大きなドラゴンと戦ったりしたのにー!」

 なんと! 一週間でそんなにファンタジーを満喫出来るなんて羨ましい。

 と思っていたら、突如足元が輝きだす。

「もう時間なの!? お願い、勇ちゃん。アテーナイへ来て! 待ってるからね!」

 美玖ちゃんが話し終わるのと同時に、俺の視界が真っ白な光で覆われた。

ご指摘いただき、内容を修正いたしました。

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