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異世界転生でチートしてます……妻が。  作者: パセリ
第二章 セカンドライフはファンタジー
8/48

2-4

「ふっふふーん」

「何だか楽しそうね」

 冒険者ギルドがある一番近くの街「都市国家テーベイ」を目指し、東へ。

 途中小さな村で食事を取り、そこから二時間程歩いているのだが、全く苦にならない。

 というのも、十代に身体が戻っていて体力が有り余っている事と、今から冒険者ギルドへ行って俺がどんなチートスキルを持っているか調べて貰うのだ。

 楽しくないわけが無い。

 それに、さっきの食堂の可愛い店員さん。あれは羊から進化したのだろうか。異世界初心者の特権で耳を触らせてもらったのだが、ふわっふわのモッフモフだった。

 耳を触られるのが弱いのか、十代後半の美少女が耳を触られ、頬を紅く染めながら我慢する姿は――もう変な属性が目覚めそうになってしまった。

「あぁ、どんな適性があるか楽しみなんだ」

「なるほど。転生された方は良く特殊なスキルや適性を持っていると聞いたことがあるから、勇樹君も凄い潜在能力があるかもね」

 そうそう。結局、二十歳のラブルからは君付けで呼ばれる事が決定した。

 元二十七歳と言っても今は十代の姿なので、知らない人が聞いたらややこしい事になる。

 あと、はっきりとは分からないのだが、前の世界では女性から君付けで親しく呼ばれる事なんて無かった気がするのだ。

 異世界転生でハーレムを目指し始めたばかりで、早速美少女から君付けで呼ばれるなんて、かなり風向きが良い。

「あ、そう言えば、よく転生された方……って話が出るけど、転生してきた人って結構居るの?」

「うん。それなりに居るよー。街に行けば、お兄さんみたいにヒトミミの人が歩いていたりするよー」

「なるほど」

 ということは、ケモミミ美少女と恋愛する事も出来るし、頑張れば普通の人間とも付き合う事が出来るわけだ。

 だが俺は異世界へ来たのだ。やはり本物のケモミミ美少女と恋愛してみたい気もする。

 俺の隣を歩くティディは流石に歳が離れ過ぎていると思うのだが、互いの見た目だけで言えば何も問題がない。むしろ、適性年齢だとも言える。

 前を歩くラブルはどうだ? 二十歳にしてはしっかりしているし、何より素晴らしい胸もある。

 いや、決して胸で女性を判断するわけではないのだけれど、あの柔らかそうな膨らみに惹かれない男なんて居ないのだ!


――っ!?

 一人でいろいろと妄想を膨らませていると、突如空気が変わった。

「一体何!? 勇樹君、ティディ、気を付けて!」

 周囲の空気が重くなった……というのが適切な表現かは分からないが、俺の周囲の空気が凝縮されたような、変な力を感じる。

「お兄さん、上!」

 ティディの言葉でハッと上を見上げると、そこには空中で光輝く幾何学模様が浮かんでいる。

 俺のゲームやアニメの知識では、いわゆる魔法陣と呼称されるそれが突如降りてきたかと思うと、避ける間も無く俺の頭上から足元までを通過していった。


――フッ

 一瞬真っ白な光が視界を包んだかと思うと、景色が今まで居た草原から、石畳の場所へ変わっていた。

「勇ちゃん? 勇ちゃーん!」

 突如、聞き慣れない声と共に、何かがぶつかってきた。

 軽い衝撃を受けた腹部に、小さな女の子がぶつかってきている。そして俺に顔を埋めたまま、背中へぎゅっと両手を回して抱き締められているせいで、身動きが取れない。

「ちょ、ちょっと!?」

「やっと、やっと会えたね!」

 くぐもった声を上げたあと、ぶつかってきた女の子が顔を上げるのだが、涙で目が真っ赤になっている。

「えっと、ごめん。誰?」

「えっ!? 勇ちゃん、私がわからないの!? 美玖よ美玖」

 ようやく俺を離して、その全身を見せてくれたのは、顔に見合って身体も小さな幼い少女だ。金髪に近い茶色のツインテールが緩やかなカーブを描き、小さな顔に不釣り合いな大きな瞳が俺を見つめている。

 十三歳くらいなのだろうか、かなり幼く見えるティディよりも背が低い。さっき抱きしめられた時にも思ったのだが、真っ直ぐ立っても俺の胸くらいに顔の位置がある。

 その少女がアイドルのようなミニスカートを履き、黒いマントを纏って大きな杖を手にしているのだが、女子中学生が魔法使いのコスプレをしたら、こんな感じになるのだろう。

「容姿が幼くなったから、わからないのかなー? 勇ちゃんも若返ってるけど」

「ごめん。悪いんだけど、本当にわからないや」

「どうして!? 私は一目で勇ちゃんってわかったよ! お願い、思い出して!」

 どうやらこの美玖という少女は俺の事を知っているらしいのだが、残念ながら俺には全く心当たりがない。

 前の世界の人間関係の記憶が無くなっているそうなので、当然と言えば当然なのだが。

 ただ、誰かはわからないが、俺の事を「勇ちゃん」と親しく呼んでくれる美少女というのは悪くない。

 あとは涙を止めてくれれば完璧なのだが、この様子では暫く止まりそうになかった。

ご指摘いただき、後半の内容を修正いたしました。

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