表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生でチートしてます……妻が。  作者: パセリ
第一章 どうしてこうなった
4/48

1-4

 気が付くと、薄暗い部屋に横たわっていた。

 温かくも冷たくもなく、かといって空気の流れも感じない不思議な部屋だ。

 どれくらい眠っていたのだろうか。かなり身体が軽い。今なら学生時代の頃のように、全力で走り回れるのではないだろうか。


 さて、ここはどこだろう。

 どうやら俺はどこかのベッドに横たわっていたようだ。身体を起こして周囲を見渡してみると、正面に大きなドアがあり、その手前に白い台が置かれている。

 その台の上に置かれた黒い箱は、どこかで見たことがある。

 どこで見たのだろうか。近づいてみようとして、異変に気付く。

 足に掛けられたシーツが動かせない。いや、シーツどころか自分の手も動かせない。

 だが俺は起き上がって、周囲を見渡して……って、俺の身体が無い! どういうことなんだ!?

 振り返ると、ベッドの上にシーツが掛けられた誰かが横たわっている。


――まさかな。

 恐る恐るその顔を除くと、よく見た事がある顔――俺、春日勇樹の顔だった。

 じゃあ、さっきの台は……思い出した! 葬式や法事で焼香するアレだ。自分の番が来た時に、何回やれば良いのか迷うアレ。


 ってことは、ここは霊安所で、つまり俺は死んでしまったって事なのか!?

 神様! そんなのないぜー!

 毎日身を粉にして働いて会社に尽くし、家に帰れば家事をする。休日となれば妻や娘に尽くして家族サービスに精を出してきたのに。

 人生を謳歌せずに、僅か二十七年で生涯を終えるなんて。

 もっと自由に過ごしたかった。もっと自分のしたい事をやりたかった。もっと夢を追いたかった。

 それにもっと未優の成長を見守っていたかった。


 どうして!? どうしてなんだ!? どうしてこうなった!?

 高校でも大学でも、一番可愛いと称されてきた美玖と付き合い、結婚。大きくは無いけれど、中堅の会社に就職してマイホームまで買った。

 順風満帆で人生を歩んで行くはずだったのに!


 そもそも、どうして俺は死んでしまったんだ? 思い出せ。一体何があったかを。

 確か徹夜明けで疲れて帰って来たけど、すぐに幼稚園まで運転して……そうだ、そこで交通事故が起きたんだ。

 未優は幼稚園に行っているから大丈夫なハズだ。

 美玖! 美玖は大丈夫なのか!?

 だが美玖の安否を確かめようにも、どうやら俺はこの狭い部屋から出ることが出来ない。


 未優! 美玖!

 すまない。「いつでも二人を護ってみせる」なんて口癖のように言っていたのに、俺自信が二人を不幸にしてしまうなんて。


 お願いします! 神様。貴方の元へ参る前に最後のお願いです。

 一度も使った事の無い、一生のお願いです。

 どうか、未優と美玖が幸せな人生を送れるようにしてください!

 お願いします! どうか、どうか……。

感想にてご指摘いただき、後半の内容を修正いたしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ