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異世界転生でチートしてます……妻が。  作者: パセリ
第四章 夫婦喧嘩は突然に
38/48

4-8

「……君、勇樹君。起きて、ねぇ起きてってば」

「お兄さん、着いたよー! いい加減に起きないと……えいっ!」

――っ!

 ようやく薄らと意識が覚醒しだした時、突如ティディが俺の胸の上に乗ってきた。

「さぁ、早く起きなさーい!」

 俺が船内で馬鹿な事をして背中を強打した際、どうやら気を失って寝かされていたようだ。

 軽い衝撃と、大きな声で目を開けると、すぐ目の前にティディの小さなお尻がある。薄い毛布一枚を隔て、俺の顔に背を向け跨っているのだが、小柄な身体なので重くもなく、むしろ柔らかな感触を楽しんでしまいそうになる。

「もう、起きないとくすぐっちゃうよー!」

 ティディがわきわきと俺の腰をくすぐろうとしている。だが毛布で俺の身体の位置が正しく把握出来ていないのか、腰というか、ちょっとくすぐる場所がズレている。

「わかった! わかったから。ティディ起きるよ。だから、今すぐやめてー!」

「あははっ。お兄さんが起き上ったら止めてあげるよー」

 笑いながら俺の腰を弄ってくるのだが、ティディが俺の上に乗っている以上、起きられるわけもなく。そして、ティディの手が、

「はいはい。もう起きたんだから良いでしょ。二人とも行くわよ」

「はーい」

 ようやくラブルから助けが入った。あのまま放置されていたら……いや、考えないでおこう。



 どうやら俺が遅れたせいで、船から降りたのは俺たちが最後だったようだ。

「ここがラブルたちの目的地なの?」

「そうよ。といっても、港から街中へ移動しないとだけど」

 そう言いながら足早にラブルが進んで行く。

 目的地に着いたからなのか、いつもよりもラブルの歩みが速い気がする。小柄なティディはラブルの速度に合わせるため、時折小走りになってしまっている。

「ラブル、少し急ぎ過ぎじゃない?」

「ごめんね。ちょっと時間が無いのよ。このタイミングを逃すと、夜まで待たないといけなくなるから」

 船でやたらと急いでいたのは理由があったのか。そして、この急ぐ原因を作ってしまったのは俺自身のようだ。

「あっ! いや、ごめん。何でもない」

 少し気になる事を見つけた。が、只でさえ遅れているらしいのだ。俺の気のせいかもしれないので、質問したい想いを我慢し、黙って付いて行く。


――まただ。


 暫く歩くと、さっきと同じ感覚に陥る。

 どうしてかはわからないが、何故かこの街並みを知っている気がするのだ。

 綺麗に石畳が敷かれ、煉瓦作りの家が並ぶ。それなりに人通りが多く、活気のある街。そして何より、少し遠くにあるものの、街の中心にそびえる神殿のような白い建物。

 もちろん元の世界では、俺はこんな街に行った覚えがない。

 だが、俺はここに来た気がするのだ。となると、いつ来たのか。

 ……それは俺が最初に美玖ちゃんから召喚された場所。そして彼女が俺に来いと行った街――アテーナイ。

 今居る場所は、まさにそこの街並みと同じだった。

内容を微修正しました。

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