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異世界転生でチートしてます……妻が。  作者: パセリ
第三章 精霊魔法はじめました
22/48

3-6

 何度目かとなる空間移動。俺を含め、ラブルもティディも既に慣れているが、今回は少し違った。

「おかえりなさい。勇樹さん……って、服が変わっていますね」

「あ、えっと、その……これには深い訳がありまして」

 おそらく俺が召喚魔法で呼ばれてしまった事については、ラブルたちがヨーコさんへ説明済みなのだろう。そこに驚く事はなかったのだが、服が変わっている事に驚かれてしまった。

「えっと、勇樹さんは召喚された先で一体何をなさっているのですか? 着替えだけじゃなくて、何かいろんな香りがありますね」

 ヨーコさんが俺に近づき、くんくんと匂いを嗅いでくる。

 可愛い女性が顔を近づけてくるので、照れくさいというか恥ずかしい。さらに匂いまで嗅がれているので尚更だ。

「これは……燻製ですか? それと、女性ものの香気ですかね。ジャスミンの香りがします」

「香気? 燻製はともかく、香気って?」

「勇樹君。主に女性が使う香りの強いオイルの事よ。霧状にして、身体や服に纏わせるの」

 なるほど、香水の事か。だが、俺は元の世界を含めても香水なんて使った事がない。となると、美玖ちゃんが使っていたということか。

「んー、多分俺を呼びだした相手が使っていたと思うんだけど、そんなに匂うかな?」

「ほのかに香りますよ。あ、私というかツネミミやイヌミミは嗅覚が良いのですよ。だから、ラブルさんも感じているのではないでしょうか」

「えっ!? そうなんだ」

 ラブルに視線を向けると、微笑みながら頷いていた。

「あ、ボクだって気付いてたよー。言っておくけど、嗅覚だったらクマミミの方が凄いんだからね」

 この世界の住人は獣耳が特徴的だけれど、ティディの腕力のようにそれ以外の獣の特性も引き継いでいるようだ。

「だけど、香気って凄い高級品なのですが……あ、わかった! もしかして、勇樹さんを召喚したのって『SEVEN(セブン)』じゃないですか!?」

「SEVEN?」

「御存知ないですか? またの名を『幼い魔女』と言いまして、流星の如く現れた有名人ですよ」

「あー、その呼び名なら知っています。でも、SEVENって呼び方は初めて聞いたのですが」

 SEVEN……そのままなら『七』だが、美玖ちゃんと七という数字が結びつかない。いくら幼い姿とは言え、流石に七歳には見えないし……。

「やっぱりSEVENなのですね! 勇樹さん、凄いです! 正直、魔法の素質はあまり無さそうなのですが、きっと素晴らしい技能をお持ちなのですね」

 ヨーコさんが目をキラキラ輝かせながら俺を尊敬の眼差しで見つめるのだが、興奮し過ぎて本音が出てしまっているのか、結構酷い事を言われている。

「あー、もし御存知でしたら、SEVENって呼ばれる由来を教えてくれませんか?」

「えっと、噂とかを聞いた事ありませんか? この世界へ来て、たった七日間で七竜のうちの一体である『グリーンドラゴン』を倒した少女が居るって」

「グリーンドラゴン!?」

 そう言えば初めて召喚された時に、ドラゴンと戦ったとか何とか言っていたような気もする。

「そうです。グリーンドラゴンですよ。そのドラゴンを倒したおかげでアテーナイの街が救われたので、そちらでは英雄扱いされていたりするらしいですよ」

 なるほど。美玖ちゃんが高級ホテルに無料滞在しているのは、このためか。深い事情は本人も分かっていないようだったけれど、いつの間にか街を救っていたのか。

 ……何だか、俺より遥かに冒険しているな。まるでRPGの主人公かのように。羨ましいじゃないか。

「それから、同じくらい有名なのが七枚の金貨の話で……」

「ヨーコさん、どうやら着いたようですよ」

 ラブルの言葉を聞いて周囲を見渡すと、いつの間にか景色が草原から街へと変わっていたのだった。

内容を微修整いたしました。

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