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異世界転生でチートしてます……妻が。  作者: パセリ
第三章 精霊魔法はじめました
18/48

3-2

「勇樹君、おはよ」

「ラブル、おはよ」

 二人の部屋に入ると、パンの焼ける良い香りが鼻をくすぐる。昨日の夕食もそうだが、基本的に食生活は元居た世界と同じようだ。

「温かいうちに召し上がれ」

 クロワッサンのようなパンだけの簡易な朝食だが、昨晩食べ過ぎているので、これくらいが調度良い。

 それに木の実が練り込んであるようで、ほのかに甘い生地となっている。


 ……


 食事と後片付けが終わり、二人が身支度を整えている。

 ほとんど荷物が無く、早々に準備が終わった俺が窓から街並みを眺めていると、

「昨日説明したけど、今日は出来るだけ北へ距離を稼ぐからね」

「で、俺はその移動中に極力魔法の練習をするんだよな?」

「その通りよ。いきなり上手く出来ないし、まだ使える魔法力も少ないから、練習と休憩を繰り返して少しずつ慣れていきましょう」

 準備を終えたラブルが、今日の目的の再確認をする。

 ラブルたちが俺に教えてくれた目的は三つ。

 一、転生直後の人や、困っている人が居たら最優先で助ける。

 二、討伐依頼のある魔獣情報があれば、退治する。

 三、一と二をこなしながら、南にある街を目指す。

 どういう理由で、どこの街を目指しているかは、秘密事項ということで教えてくれなかったが、俺としてはまず強くなって美玖に呼ばれ難くする事が最優先だ。

 あまり深い事は気にせずに、己の鍛錬と魔獣退治に努めたい。そして何れは、この世界で可愛く、気立ての良い、家事の出来る嫁を見つけるんだ!

 ラブルもティディも美少女で性格も良さそうだが、二人を比較すると年齢的にラブルの方が良いだろう。

 だが、ティディのこれからの成長も期待したい。

 っと、焦らずとも、まだまだこれから沢山の美少女に出会えるはずだ。今は先ず強くなる事を優先せねば。

「ところで、勇樹君は魔法を使いたいって言っていたけど、どんな魔法を使いたいの?」

「例えば、遠くへ炎の弾なんかを飛ばしたり出来ないかな?」

 昨日も美玖に聞かれたことだが、まだ強くなっていないので威力よりも射程を重視して、安全を確保できる方がありがたい。

「炎の弾ね……ちょっと初心者には難しいかな」

「そっかー、残念。じゃあ初心者向きで、射程が長い魔法って無いかな?」

 ラブルが右手人差し指を唇にあて、小首を傾げて考える。

「あ、それなら心当たりが二つあるわよ。一つは突風を起こして、相手を吹き飛ばす風の精霊魔法。もう一つは私が昨日使った、草を絡めて動きを封じる土の精霊魔法。どっちが良い?」

「なら、風の魔法かな」

 昨日のは、ちょっと地味で使った事もよくわからなかったし。と、口には出さず、心の中で付け足す。

「わかった。『突風ウインド・ブラスト』ね。じゃあ右手出して」

 言われるがままに右手を伸ばすと、不意に手を握られる。

 二十歳の美少女という若い娘に手を握られ、ちょっとドキッとしていると、人差し指に水色の太いリングがはめられる。

「これは?」

「風の精霊魔法を発動させるための補助アイテムよ。簡単な魔法でしか効果を発揮しないから、初心者が練習する時に使うの」

「杖とかじゃないんだ」

「それは、ある程度修行してからね。じゃあ、ティディも準備が終わったみたいだし、出発ー!」

 右手に着けた、ひんやりとしたリングを眺めつつ、宿を後にした。

内容を微修正しました。

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