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「大変申し上げ難いのですが、貴方の適性は『村人』です」
「は!?」
「ですから、村人です」
浮かれながら辿り着いた、都市国家テーベイにある冒険者ギルド。受付の銀髪狐耳お姉さんに案内されて、俺一人奥の検査室とやらに通された。
係の人に言われるがまま魔法陣の上で数秒待って、言われたのが「村人適性」だと。
村人って何なんだ? 村の入り口で『ここは○○の村です』だとか、『武器はちゃんと装備しないと意味が無いぞ』とか、『疲れたら宿屋へ泊るのだ』とか言うのが向いてるって事なのだろうか。
「ちゃんと調べたんですか!?」
「調べましたよぉー! ですが、貴方の適性は村人なんですって」
二十代後半頃の女性係員が拗ねながら、変わらぬ結果を伝えて来る。どうやら新人というわけでも無さそうで、検査が誤っているというわけでは無さそうだ。
「じゃあ、適性は村人でいいです。で、どんなスキルを持ってます?」
「……ありません」
「アリマセン? それはどういうスキルなんですか?」
「いえ、スキル名ではなくて、貴方は特にスキルを保有していません」
ん、この人は何を言っているのだろう。よくわからないな。
「いやいやいや、俺転生してこの世界にやってきたんですよ!? チートスキルの一つや二つ持ってるのが普通なんじゃないんですか!?」
「どこの世界の普通なんですか! だいたい、そんな凄いスキルなんて、そうそう持っている人居ませんよ!」
「いや、でも俺の少し前に転生してきた、俺の元妻とかいう少女は凄い召喚スキルを持ってたんですよ! なのに、どうして俺には無いんですか!?」
「私にそんな事言われても困ります。その元奥さんが凄い人だったということではないのですか!?」
えぇぇぇぇ。ただただ泣いていただけの幼い少女がチートスキルを持っていたのに、俺には無い!?
確か、転生前には毎日馬車馬の様に働いていて、何となく仕事の評価も良かった気がするのに、俺にはスキルなし!?
だが無情理にも、これがこの世界での現実であり、俺はチートスキルなどを一切持たない村人レベル1だった。
内容を少し修正いたしました。
 




