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戦国陰陽師  作者: 湯呑猫
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第5話

雲ひとつない晴天の空に数羽の鳶が舞う。

 朝露を纏った風が頬を薄く濡らし、遥か彼方から流れてくる法螺貝の音が耳朶を打つ。

 本願寺顕如が率いる僧兵軍団の最後尾に付いた椿達は、すでに猪俣城がある山から下山し、この法螺貝の音を待っていた。

「……始まった」

 誰かが発したその一言に、誰もが喉を鳴らし、唾を飲み込んだ。

 言いようのない緊張感が場を支配し、凍りつくような雰囲気が身を強張らせる。

 夜明け――

 太陽はまだ山の向こうに姿を隠しているが、その眩い光は地に張り付いた闇を取り除いていく。

 鳴り響いていた法螺貝の音は薄くなり……消える。

 東三国が動いた。

 合戦が、始まったのだ。


「……行くぞ、皆の者! 我々の動きに、この合戦の命運が掛かっている! その事を肝に銘じて戦うのだ!」

 先頭で長槍を手にした顕如がその槍を天に掲げ、大音声で告げた。

 怒号にも近い声が一斉に上がる。椿も思わず、声を張り上げた。

 そうでもしなければ緊張に押し潰されそうだったからだ。

 おそらく、他の者も同じであろう。

 右隣に立つ月見は冷静な表情のまま、椿の肩に手をそっと置いた。

 月見は、必ず椿の右側に立つ。それは、彼女の目に関係していた。

 月見の右目は過去の傷によって失われており、左目だけが、月見に残された最後の光であった。

 それゆえ、椿を常に視線に捕らえておくには、右側に立つ必要があるのだ。

 月見の顔を見ると、彼女は薄っすらと微笑する。

 椿の傍に立つ猫又が口を開いた。

「心配する必要はないぞ、椿よ。お主は我々が守り抜く」

 猫又の言葉にわずかな安堵感を覚えつつ、椿は腰に指した刀の柄に触れる。

 今朝方、猪俣城から出陣する直前になって、月見が椿に渡してくれたのだ。

 彼女はいつも打刀を二本、帯刀しており、その内の一本が椿の腰に収まっていた。

 使い慣れた錫杖は、刀を振るう際、邪魔にならないよう背に括りつけておいた。

 ――椿よ。それはお主の父が使っておった刀じゃ。

 そうこっそり教えてくれたのは猫又だった。

 月見は何も言わなかった。

 彼女は下山直前に椿を呼び止め、無言で手渡してきたのだ。

 今まで刀に触れる事すら許さなかった彼女がなぜ突然、今になって手渡してきたのか。


「どうして?」

 椿がそう問いかけると、月見は曖昧な笑みを口元に浮かべるだけだった。

 刀を手渡してきた理由は気になるが、それよりも、刀を持たせてくれた事実が椿には嬉しかった。

 少しは自分の成長を認めてくれた、そんな気がしたからだ。 

 父の形見――慣れない刀の感触を掌で確かめながら、ゆっくりと息を吐き、周囲に目を向ける。

 式神を持つ陰陽師達は既に封印術を解いており、僧兵軍団の最後尾には陰陽師とその式神の混成部隊が並ぶ状態であった。

「うっし! 気合入れていくか!」

 椿の少し前には宗司が立っている。

 彼の隣には巨大な蛇が、とぐろを巻いて赤い舌をちろちろと出し入れしていた。

 あれが、宗司の式神――夜刀神なのだろう。

 白い鱗に覆われた体に、頭には巨大な角が二本、生えている。

「宗司。油断するなよ。貴様はいつも調子に乗って油断する」

 夜刀神が発した声は男とも女とも取れる中性的な声質で、とても不思議な感じがした。

「前回の時もそうだが、貴様は――」

「ああ、わかってるよ。うるせぇな」

「毎回、面倒を見る私の身にもなれ」

「へいへい」

 二人のやり取りに、椿は苦笑した。

 なんとなく、椿と月見の関係に近かったからだ。

「椿、ぼーっとしてないの。行くわよ」

 僧兵達が進軍を始め、風魔衆を含めた総勢二千の軍がゆっくりと動き始める。

 これから下野を経由し、上野へと進攻――


 その後、この軍団は二手に分かれ、魔招門の封印を試みる。

 言葉にしてしまえば、非常に単純な作戦である。

 しかし……椿は素直に成功するとは思っていなかった。

 顕如が言ったように、魔招門は周辺の場を大きく歪める。

 それも、巨大であればあるほどに。今回の魔招門はかなり大きいらしい。

 一体、どれほどの大きさなのかは、実際に見てみなければ分からないが、恐らく上野の国は全体的に場が歪んでいるだろう。

 顕如の部下が軽く説明をしてくれたが、何らかの問題が起こらない限りは、目的の巨大魔招門まで突き進むそうだ。

 まずはそこを封じた後、東三国との合流を目指しながら、道中の小さな魔招門を封じていく。

 それが今回の作戦だが……あまりにも大雑把過ぎるように感じられた。


 眼前を行軍する僧兵達――彼等の実力がどれ程のものかは不明だ。

 弱い、という事は決してないだろうが、彼等とは今の今まで、まったく繋がりがなかった。

 猪俣城でも、彼等は城の外で待機していたからだ。

 彼等の動きや指示に、椿達がどこまで連携を取れるのか不安な部分がある。

 ――不安な要素は、まだある。

 椿はそっと視線を横に向けた。

 僧兵軍団と少し距離を開け、並行して行軍する漆黒の集団。

 白い僧衣を着た僧兵達と対照的に、黒い装束に身を包んだ彼等は風魔衆――相模の足柄山周辺を縄張りとする忍者集団である。

 風魔衆の実力こそ、まったくの不明だ。

 全員が黒い装束で全身を覆っており、装束の隙間からわずかに見える目には生気がまるで宿っていない。不気味な集団だった。


「……緊張してるの?」

 月見の呟きに、椿は小さく頷いた。

「……うん。結局、明確な動き方の説明がなかったし……。いきなり戦場で指示を出されても、上手く動けるかどうか不安で……」

 初めての合戦という事もあるが、椿の胸の中には妙な不安感が渦巻いていた。

 脇を歩く猫又が椿の顔を見上げる。

「ふむ。それは一理あるが――我々の存在はあまり重要視されていないじゃろうから、仕方あるまい」

「どういうこと?」

 椿は首を傾げる。

「居ても居なくてもいいって事よ」

 月見が顔を顰めつつ、言った。

 彼女は渋い表情のまま、言葉を続ける。

「元々、私達は本願寺が居ないという前提で、魔招門を封じる戦力として集められた。でも、本願寺が動いたから、必要性がほとんど無くなったのよ。まともな作戦説明もなく、こうやって最後尾にまとめられているのが、その良い証拠。本願寺の連中にとっては、むしろ邪魔な存在かもね。彼等は私達、在野の者を嫌ってるし」

「……嫌ってるって……そんな事はないんじゃ……」

 本願寺について詳しくは知らない椿の弱々しい反論に、猫又が軽くため息を交えて言う。

「残念ながら、それは本当じゃ。椿よ……。本願寺はこの国、最大の宗派であり、最大の勢力じゃからな。彼等にはそれに対しての自負と誇りがある」

 月見が馬鹿にしたように、鼻を鳴らした。

「自負と誇りねぇ……。ようは自分達以外は認めないって事でしょ。彼等の目を見れば分かるけど――見下してるわよね」

 月見の言葉で、椿は改めて思い出す。

 確かに、最後尾に付くように指示した僧兵の男は、面倒そうな表情を浮かべていた。

 その時は特に気にしなかったが、言われてみれば、彼は邪険な態度をしていたようにも思う。

「しかたないさ――比叡山の戦いでも、本願寺の連中は大活躍だったからな。実績もあるし、大名連中からの信頼度は俺達とは桁違いさ」

 椿の少し前を歩いていた宗司が顔だけを振り返らせ、口を開いた。

 それに続いて、彼の隣を這いずる夜刀神が翡翠色の双眸を細める。

「ふん。奴等は図に乗っているだけだ。数に物を言わせれば、誰だってそれなりの成果は出せる。所詮は烏合の衆よ」

「おい、馬鹿。連中に聞こえるだろ」

 宗司が慌てて夜刀神を睨み付けた。

 椿は眉を寄せる。月見達の言っている事は本当なのかもしれない。

 だが、嫌いという感情だけで、大事な戦いにおける作戦説明から椿達を省くものだろうか。


「……椿よ。現実はそんなものじゃ。最も怖いのは、人間の負の感情――それは以前にも教えたな」

 猫又は椿の心の内を読み取ったのか、考え込む椿の顔をじっと見据え、呟く。

 その呟きは、どこか悲しげでもあった。

「うん……そうだけど……。でも、大事な戦いなのに……」

 月見の手が、椿の頭を優しく撫でる。

「不安は分かるけど、考えすぎは良くないわ。結局、私達のやる事には何も変わりはないんだから。最悪の場合、逃げればいいだけよ」

 これには猫又も賛同した。

「そのとおりじゃ。義理を尽くす間柄でもないからの。何事も命あってのものじゃ」

 二人に言われ、椿は少し落ち着きを取り戻す。

 だが、根拠のない胸騒ぎはいまだ燻っていた。

 行軍は続いている。このまま何事もなく、上野に辿り着ければいいのだが……。

 そこから、この部隊は二手に分かれるが、風魔衆側にも幾人か本願寺の僧兵が加わるようだ。

 封印の為はもちろんのこと、それによって戦力的にちょうど千人ずつの部隊が出来上がる。

 上野に入ってから先の詳しい行動については、まるで説明を受けていない為、現地で彼等の動きや指示に合わせるしかない。



「……時に、絡新婦――」

 夜刀神が発した言葉に、月見の顔が露骨に歪む。

「その名で呼ぶのは止めて。私には、月見っていう名前があるんだから」

 夜刀神が驚いたように、翡翠色の双眸を瞬かせた。

 宝石のように美しい双眸には驚愕と困惑が入り混じっていた。

 夜刀神はわずかな沈黙の後、ゆっくりと呟く。

「……名を……作ったのか? まさか、認めたのか?」

 それが、そんなに驚く事なのか、椿には分からない。

「ええ、認めたわ」

 月見はさらりと答えるが、夜刀神はいまだ困惑しているようだった。

 その視線は月見から猫又に移る。

「……猫又よ。本当か?」

 問われた猫又は、短い吐息を吐いてから言う。

「本当じゃよ。絡新――いや、彼女はそういう名前じゃ」

 その言葉を聞いた夜刀神は、ふむ、と小さく頷いてから押し黙った。

「ん? なんだ? そんなに変わった事なのか?」

 奇妙な沈黙が宗司も気になったのか、夜刀神の顔を見上げた。

 問われた夜刀神は、赤い舌を出し入れしながら、双眸を細める。

「……我々、妖怪は本来、名を持たぬ。貴様達が一般的に呼んでいるのは、あくまで貴様達――人間が勝手に付けた名に過ぎない」

 言われて椿は初めて気付く。それまで意識した事はなかったが、確かに夜刀神や猫又は人間が付けた俗称に過ぎない。他の妖怪についてもそうだ。

 それに対して、月見は違う。彼女は本来、絡新婦という俗称である。

 しかし――

「ああ、知ってるよ。で、名を作ったら何が問題なんだ?」

 椿が思った疑問を宗司が尋ねる。すると、夜刀神は深いため息を零した。

「……なぜ名を持たぬか分かるか?」

「いや……。あんまり考えた事はないな」

 宗司の呟きに、椿も頷いた。

「我々は森羅万象、あらゆる物に命を宿し、妖怪となる。それゆえ、名を持たぬのだ」

 初めて聞く内容に、椿は耳を澄ました。

 妖怪の生い立ちや性質についての話は滅多に聞けるものではない。

 彼等自身が、あまり語らないからだ。

 夜刀神は続ける。

「名を持つという事は……二度と命を宿せぬ事になる。すなわち、死は消滅を意味するのだ。通常の死とは違う、言葉通りの消滅だ。未来永劫、転生する事はない」

 夜刀神は頭を振った。

「それだけではない。契約の儀にも影響が起きる。通常、主が契約を結んだまま死した場合、式神はただの妖怪に戻る。そして、また新しい主と契約の儀を結ぶ事が可能だ。しかし、名があった場合は新しい主がその名を――言うなれば、真の名を知らねば契約の儀は行えない」


 宗司は小さく頷く。

「……つまり、不慮の事故が起きた場合は式神の譲渡が出来ないって事か?」

「そうだ。名を持たねば妖怪に戻り、新しい主と契約ができる。だが、名を持っていた場合、式神の契約は成されたままだ。つまり、新しい主を得る事ができぬ――そして、肝心の主は死している為、やがて式神である本人の魂も薄れ、いずれ消滅する。無論、この場合も転生はできぬのだ――」

 椿は思わず、月見の顔を見た。

 椿の視線に気づいたのか、月見がこちらに顔を向け、優しく微笑した。

「……勝手に死んだら駄目ってこと。どの道――私達は、仕えた主の一族以外に従う気はないから大して問題はないわ。あるとすれば、子供が物心付く前に死なれた時くらい」

「そ、そんな……今まで一言も……」

「私がなんで心配するか分かった? 椿が勝手に死んだら、私は消滅するんだから。これからも、私の言う事はきちんと聞くこと。いいわね?」

「で、でも、猫又が月見姉さんの名前を知ってるから、いざとなれば……」

 月見の伸びてきた手が椿の耳を摘み、ひねり上げる。

「いっ、痛い!」

「そういう事を言ってるんじゃないの。ちゃんと、私の言う事を聞いてた?」

「き、聞いてた! 聞いてたよ!」

 二人のやり取りに宗司は苦笑したが、夜刀神は呆れたような視線で月見の顔を見る。

 その双眸には、どこか憐れみにも近い感情が浮かんでいるように思えた。

「……貴様、愚かな選択をしたな。名前など、いずれ……忘れ去られる。そのとき、貴様は消滅を待つだけなのだぞ」

 月見は椿の耳から手を離すと、夜刀神を見上げた。

 彼女の顔が怒りに歪む。月見は夜刀神を鋭く睨み付けた。

「その発言は聞き捨てならないわね。私はこの名前に誇りを持ってる。誰であろうと、文句は言わせないし、馬鹿にもさせない」

「それが愚かだというのだ。何があったにせよ、その一時の感情に流されるなど……」

「なんですって? 私に喧嘩を売ってるの?」

「おいおい、この状況で喧嘩はよせって。悪かった、月見さん。俺の相棒が失言をした。この通り、謝るから勘弁してくれ」

 睨み合う二人の間に宗司が割って入り、後ろ向きに歩きながら、月見に向かって両手を合わせて頭を下げた。

 それに対して、月見は小さく鼻を鳴らし、夜刀神から視線を逸らした。

 夜刀神も、それ以上は何も言わず、前を向く。

 宗司は左耳に触れながら、椿の目を見て苦笑した。

「悪いな。俺の相棒は口が悪くて……」

「あ、いえ。こちらこそ」

 何気なく答えた返答に、月見が食いつく。

「こちらこそって何よ。私も口が悪いって言いたいわけ? 大体、先にふっかけてきたのは……」

「月見よ、椿はそういうつもりで言ったわけではなかろう」

 猫又のフォローに椿は素早く言葉を重ねる。

「そうだよ、僕は別に……他意はなくて――」

 月見の眉はつり上がり、眉間には深い皺が刻まれている。

 機嫌が悪くなった月見を刺激しないように、椿は言葉を選びながら取り繕う。

 月見の機嫌が悪い時のぴりぴりとした空気は心臓によくない。

 精神的な負担は呪術を使う時よりも疲労する。

 ふと目を猫又に向ければ、猫又は耳を伏せていた。

 猫又も、苦手なのだ。

 椿はこれ以上、言葉を発するのを止めた。視線を周囲の景色に向け、月見の機嫌が落ち着くまでは関わらないようにする。

 沈黙は金なり、だ。



 行軍は粛々と続いている。

 山脈の間を縫うようにして進んでいる為、辺りにあるのは草と木ばかりだ。道中、幾つかの家屋が並ぶ村――のようなものがあったが、当然の如く人気は無かった。

 家屋自体も激しく損傷しており、亡者が荒らした事は一目瞭然だった。

「……猫又、いまって、どの辺り?」

「――下野に入った。あとしばらく歩けば上野に辿り着くじゃろう。ここはすでに亡者の生息域じゃ。ほれ……霧が出てきおったわ」

 猫又の言うように、薄っすらと霧が漂い始める。

 戦いの時は近い――

 椿は唾を飲み込む。

 立ち込める霧は僧兵を……風魔衆を……そして、椿達を包み込んでいく。

 魔招門の存在を知らしめる冷たい霧と、鼻に付く異臭は椿の不安をいやおう無く煽った。

 そして、その不安は的中する事になる――


     *


 上野の国――かつて長野業正の手によって統治され、度重なる武田軍の侵攻を防ぎきった国も、いまや亡者が闊歩する死の大地と化していた。

 上野にその人あり、とまで呼ばれた名将・長野業正は病魔に冒された体でありながら、亡者の大群から民を逃がす為に奮戦し、戦死。

 彼の体調が万全であれば――そう嘆いた者は多かったが、いまとなっては後の祭りである。どれだけ嘆いても、ここが荒廃した土地である事には変わりない。

 しかし、長野業正の卓越した才能が失われた事については、彼の同盟者であった上杉謙信が酷く惜しんだという。

 彼の才能の片鱗――その遺産は上野の至る所に散見された。

 人の手が入らなくなった為、多少は荒れていたが、谷底でありながら、歩きやすい街道。街道の左右に並ぶ山脈の所々には綺麗な状態のまま放置された砦が幾つか築かれ、その配置は実に巧妙に、敵の進入を防ぎやすいように設置されていた。

「実に素晴らしい配置じゃ。よく考えられておる」

 その砦を見た猫又の感想である。

 そこそこに広い街道はこの大軍でも歩きやすく、行軍の速度は増した。

 おかげで、予定よりも早く、目的地に近付きつつある。

 街道を歩く僧兵達。その数、およそ千人――


 上野に入った時点で風魔衆とは別れており、すでに彼等の姿は見えなくなっていた。

 椿はきょろきょろと周囲に目を向ける。

 薄い霧が立ち込める街道は異様なほど静寂に満ちており、虫の音ひとつすらも聞こえてこない。

 椿の耳に届くのは、僧兵達のわずかな足音だけだった。

 椿は唾を飲み込んで喉を鳴らす。

 ここまで、亡者の襲撃が一度もない。静寂も相まって、不気味だった。

「……気味が悪いくらい、静かね」

 月見がぼそりと言う。

 これに、猫又も頷いた。

「うむ。人間の臭いを嗅ぎ付けて、亡者が出てきても不思議ではないが……。それだけ上手く、東三国の引き付けが成功しているという事かの……。さすが、と言うべきか。ここまで何事もなく入り込めただけで、作戦はひとまず成功したというものじゃ」

「……だといいけど。嫌な感じだわ。なんだか――」

 月見の言葉は途中で遮られる。

 前方を歩く僧兵達が停止したからだ。

 最後尾に居た椿達もそれに合わせて足を止めた。

「……なにかあったのかな?」

 椿は背伸びして前方の様子を窺うが、そもそも背の小さい椿が幾ら背伸びしたところで、目の前に居る宗司の後ろ姿くらいしか映らない。

 宗司も同じようにして前の様子を窺いながら、ちらりと椿の顔を見やった。

「さて……何か問題が起きたなら――ん? 何か聞こえないか?」

 宗司は言う。

 椿は眉を潜めつつ、耳を澄ました。


 突然、行軍が停止した事にざわつく声以外に聞こえる音――

「……地鳴り?」

 椿は呆然と呟く。

 何かが押し寄せるような――とても力強く、重々しい音は徐々に大きくなっていく。土砂崩れ……だろうか。左右を山脈に挟まれたこの場所で、土砂崩れに遭うのは非常にまずい。

 僧兵達がざわめく中、誰かが叫んだ。

「亡者だ! 山から下りて来るぞ! 大群だ!」

 その叫び声に、全員が一斉に反応した。各々の武器を手に、身構える。

「言ったそばから、これよ」

 月見が刀を鞘から抜き放ち、顔を顰めた。

 椿も慌てて刀の柄に触れ、その感触を確かめる。隣では、猫又が毛を逆立て、鋭い牙をむき出しにしていた。

 薄い霧の中、左右の山から駆け下りてくる黒い集団。

「ちっ、側面から奇襲の上に挟み撃ちとは亡者の分際で……」

 宗司は表情を苦々しく歪めて言葉を吐き捨てた。

 餓鬼に鬼――そして、巨大な虫の姿をした醜鬼が蠢く。

 それらは真っ直ぐ、こちらに向かってくる。

 正確な数は分からないが、霧の中で蠢く人外の影はかなり多い。優に百は超えているだろう。

「各自、戦闘態勢! こんなところで足止めされては、肝心の挟撃に支障が出る。なんとしてでも突破するぞ!」

 遥か前方から顕如が声を張り上げた。

 しかし、その号令に僧兵達が反応するよりも早く、両側の山から駆け下りてきた亡者の大群は本願寺軍の後方部分――行軍していた為に、縦長に伸びた陣営の、その脇腹に喰らい付く。

 突然の襲撃は本願寺軍に混乱をもたらし、対応は後手に回る。

 動きは精彩を欠き、陣営は容易に分断された。

 前方の部隊から切り離され、後方へと追いやられた者達は、顕如率いる本隊と合流する為に前進せざる終えない。

 しかし、山から次々と下りて来る亡者の大群を前に、多くの者が二の足を踏んだ。

 雪崩れ込んだ亡者を相手にするので手一杯の状況だったのだ。

 それがさらなる混乱を引き起こす。


 顕如との合流を優先しようとし、前に進む者――分断された為、態勢を整えようと、後退する者。それらがぶつかり合い、怒号が巻き起こる。

 椿達の少し前方で沸き起こる光景に、宗司が言葉をもらした。

「……烏合の衆というのも、あながち間違いじゃないかもな」

 本願寺はこの国、最大の宗派であり、最大勢力でもあるが、その全てが優秀な人物で構成されているというわけではない。

 無論、優秀な者も多々いるだろうが、それに比例して、腕の低い者も集まっているものだ。特に今の時代、少数で仕事をこなせる実力者は各地に派遣されている。

 この戦いに顕如が直々に現れ、指揮をしなければならない理由がここにあった。

 今回、集められた僧兵は腕の低い者が多かったのだ。この戦いの為に、かき集められた雑兵といっても過言ではない。

 それゆえに、一度でも混乱すれば、そこから回復するまでに相応の時間を有する。

 そして――亡者は当然、それを待ってはくれない。

 怒号と悲鳴が交錯し、やがてそれは最後尾に居る椿達の下にも迫ってきた。

「図らずも殿かよ」

 宗司の声に、夜刀神が答える。

「面倒な状況だ。油断するなよ」

「ああ、分かって――ちっ。くそったれ、あれを見ろ」

 宗司が前を指差し、荒々しい舌打ちを零した。

 亡者の群れの向こう。鬼や餓鬼の隙間からわずかに見えるのは、徐々に遠ざかる僧兵の軍団だった。

「顕如の野郎、あっさりと切り捨てやがったな。大半が野良法師だから、多少の犠牲は構わんってわけかよ! 素早い決断をしやがる。おい、夜刀神、なんとしてでも切り抜けて、あの禿げ野郎を見返してやるぞ」

「その気合は結構だ。だが、空回りはせんようにするんだな」

「おうよ」

 宗司は鞘から引き抜いた刀を掲げ、裂帛の声を上げて、亡者へと切り掛っていく。


 そんな彼を尻目に、椿は視線を彷徨わせた。

 どう動けばいいのか、まったく分からない。

 無意識に触れた刀の感触がより一層、不安を煽る。

 戸惑う椿の横で、月見が口を開いた。

「椿、私の傍を離れちゃ駄目よ。ここを切り抜けて、魔招門を目指すわ」

「うん」

 正直な所、椿は今すぐ逃げ出したかった。

 小さな――これまで椿が経験してきた小さな戦いとは明らかに違う。

 周囲に渦巻く殺気は臓物を強く締め付け、冷たい汗が体から噴き出す。

 呼吸は浅くなり、苦しく――視界がいつもより、狭く感じられた。心臓の鼓動がまるで別の生き物のように跳ね回り、その音が脳内に五月蝿いくらい響いた。

 ある程度、覚悟はしていたつもりだった。だが、いざ目の前にしてみると、その恐怖は想像を遥かに超えていた。

 身を震わせる椿の隣で、猫又が低く唸りながら呟く。

「やはり、容易に……とはいかんか。ここで孤立するのは不味い。先行する顕如の部隊に合流するべきじゃな」

 月見は頷く。

「そうね。でも、利用できる状況だわ。本願寺の連中をこのまま先行させて、血路を開かせる。どうせ、目的の魔招門近くにも亡者が溢れてるはず。彼等の手で掃除してもらいましょう。私達は後から追いつけば、楽して目的を達成できるわ」

「小賢しい作戦じゃが……。まあ、悪くはない」

「そういうこと。分かったわね? 椿」

「わ、分かった」

 月見の声が、脳裏に染み込む前に抜けていく。彼女の言葉は聞こえていたが、その内容は、ほとんど把握できていなかった。

 思考が定まらない。

 上の空で答える椿の体を、月見がいきなり抱き寄せた。

「大丈夫。何があっても、あなたは私が守ってあげるから。心配しないで、いつも通り冷静に……椿は優れた陰陽師なんだから」

 その優しい声色に、椿は小さく頷いた。

 月見の温もりと甘い香りが椿の精神を幾分か落ち着かせる。

 椿は身を引き、月見の手から離れると、一度、深く深呼吸をした。

 今更ながら、もう一度、覚悟を決める。

(ここまで来て、逃げるわけには――負けるわけにはいかないんだ)



 そして……乱戦が始まった。

 最後尾に居た椿を含む野良法師達は、刀や槍といった各々の武器を手に、真っ先に前進し始めた。

 いつ、後ろからも亡者が迫ってくるともしれない。

 ここで孤立する事を避ける為には前に進み、本隊と合流する事が先決である。

 前方には雪崩れ込んだ亡者が見境なく暴れているが、突き進み、切り抜けるしかない。

 幾ら下級の亡者とはいえ、大群に囲まれる事は死を意味する。その能力は、人を遥かに上回っているのだ。膂力に脚力、そして耐久力。

 この圧倒的な差を少しでも埋める為に、人は呪術や妖術、己の持てる技術を丹念に磨いていった。

 ――爆発音が起きる。

 誰かが放った破砕の呪術は砂塵を巻き上げながら、亡者をまとめて数匹、吹き飛ばす。

 僧兵達は妖術によって身体を強化し、武器に封じた能力を持ってして亡者と相対する。

 至るところで起きる破壊音――もし、一般の、何の変哲もない人々が、この光景を見ればどう思うだろう。

 人外の者と、人外の能力を駆使する者――ここにあるのは、人の理から外れた光景だ。

 亡者も陰陽師も、両者に大きな違いは無いのかも知れない。

 大規模な戦いを眼前にした椿は、ふとそんな事を思った。

「椿! ぼさっとしてないで、前に進むわよ!」

 月見の刀が飛び掛ってきた餓鬼の首筋に突き刺さる。彼女はそのまま餓鬼の首を跳ね飛ばしつつ、自身の背後に控えた椿の顔を見やった。

「でも、このまま前に進んだら、亡者の大群にぶつかり――あ!」

 僧兵を蹴散らし、月見に向かって突進してくる鬼の姿が椿の目に映る。

 忠告の言葉を発するよりも早く、黒い一陣の風が椿と月見の横を駆け抜けた。

 極限まで絞られ、放たれた矢の如く、漆黒の風と化した猫又が、月見に向かって腕を振り上げていた鬼の首を跳ね飛ばす。

 頭部を失った鬼はよろめいた後、重々しい音を立てて仰向けに崩れ落ちる。

 蒼い炎が上がる中、血に塗れた牙を剥き出しにして、猫又が言った。

「陣形は崩壊しかけておる。どこから亡者が襲ってくるか分からん。少しでも戸惑うと勢いに呑み込まれるぞ」

 僧兵達は態勢を整えつつあったが、それでもまだ混乱は続いていた。

 幾人もが、亡者の攻撃を受けて地に倒れ、赤い血を流している。倒れた僧兵はぴくりとも動かず、息絶えている事は遠目にも判断できた。

 その光景に、椿は表情を歪める。

 戦いである以上、死は避けて通れない存在だ。しかし、目にして気持ちのいいものではない。

 ましてや、自身にも訪れる可能性がある死であれば、尚更である。

「椿。今のうちに、札に気を溜めておきなさい。状況を見つつ、一気に突破するわ」

 椿は頷きを返し、刀から手を離して、数枚の札を取り出す。

 取り出した札に呪術を施しながら、周囲に目を向けた。

 前を目指す野良法師達――彼等は一見、バラバラに戦っているように見えるが、その実、動き方は非常に緻密で、上手く互いの隙を補いあっていた。

 普段、単身で戦う彼等は呪術や妖術を唱える際に生まれる隙や、一人ではどうしても補いきれない隙を熟知しており、それが、この咄嗟の連携に作用していた。

 さらに、この状況を脱し、前方の部隊と合流する――という明確な意図を共用していた事が動きをより洗練させている。


 だが、本願寺の――特に経験の浅い、若い僧兵達は違った。

「だ、ダメだ。もうダメだ……」

「あっ……」

 椿のすぐ傍で戦っていた若い僧兵が後退り、そのまま踵を返すと隊列から抜けて逃げ出していく。

 しかし、彼はほどなくして断末魔の悲鳴を上げる事になった。

 隊列から抜けた僧兵は瞬く間に亡者に囲まれ、襲われたのだ。

「退くな! ここで退いたら、死ぬぞ!」

 その光景を目の当たりにして、さらに怖気付く本願寺の僧兵に対して、宗司が声を張り上げた。

 彼の脇では、夜刀神が鬼に巻き付き、絞めあげている。

「陰陽師は呪術で前方の亡者を狙い、道を作ってくれ! 僧兵は彼等の援護を! おい、そこのアンタらは後方の――」

 宗司は亡者の動きに合わせ、指示を飛ばす。

 彼の指示は非常に的確だった。

 その指示のおかげで、本願寺の僧兵達は混乱から徐々に立ち直りつつある。

 幾人かは野良法師に指示される事に対して苦い表情を浮かべていたが、この状況では大人しく従うしかない事をさすがに理解していたようだった。

 宗司を中心に出来上がった臨時の部隊が、前方への道を開こうと奮戦する。

 それを見た猫又は、感嘆の吐息を漏らした。

「ほう……。驚いた。実に的確な指示――あの男、随分と集団戦になれておるの。よい指揮官じゃ」

 宗司は、近江の大名である浅井長政と幼少時代を共に過ごした仲であり、その時から一緒に軍学を学んでいた為、このような集団戦の能力は高かった。

「人は見かけによらないわね。そっち方面は無能そうなのに」

 だが、それを知る者はこの場には居ない。とはいえ、彼の能力はこの状況において、非常に重要な価値を持っていた。

 月見は、椿を一瞥する。

「……でも、好機ね。彼等の動きに追従しましょう。椿、そろそろいける?」

「うん。二枚は安定した。あと少し時間があれば、もう一枚いけるけど……」

 月見はわずかに逡巡する。

「――いえ、二枚でいいわ。宗司! 椿が呪術を使うわ。他の陰陽師に、合わせるように指示を」

 月見は少し前方で戦う宗司の背に声をかけた。

 この場の指揮官は完全に彼になっている。

 宗司は顔だけを振り返らせ、力強い笑みを見せた。

「椿、前方の亡者の集団を狙って――やれるわね?」

 月見の言葉に、椿は頷いた。

 息を吸い込み、止める。

 呪術を施した二枚の札を前に突き出し、手を離すと、札は淡い光を宿して宙に浮いた。

 宙に浮いた二枚の札から飛び出した文字が、札の周辺を回り始める。

 椿の視界に映る、亡者の大群。

 そこに狙いを定め、椿は札に施した呪術を解き放った。

 二枚の札が青白い雷光を纏い――宙に浮いた二枚の札の間に、引き抜いた刀を突き刺した瞬間、札から放たれた雷光は凄まじい音を轟かせながら、亡者の大群に向かっていった。

 椿が放った雷光は亡者の群れにぶつかり、弾ける。

 数十匹もの亡者がその雷光を浴びて、咆哮を上げながら崩れ落ちていく。


「彼に続け! このまま一気に押し切るぞ!」

 宗司の命令が飛ぶと、他の陰陽師達も一斉に呪術を解き放った。

 幾つもの轟音が重なり、砂塵が巻き起こる。

 爆風が立ち込めた霧を一時的に吹き飛ばし、周囲の景色が明確になる。

 街道の上で、赤い血を流し、倒れ付した複数の僧兵――

 仲間の死を改めて目の当たりにした、僧兵達の顔が酷く歪んだ。

 亡者の死体を残らない。仲間の仇を取ったという証も……残らない。

 悔しさと、亡者に対する憎悪だけが、僧兵達の心に重く残る。

 それが皮肉にも、亡者との戦いにそれほど慣れていない、若い僧兵達の力と統率を強化した。

「道は開いた! 突き進め!」

 血に塗れた刀を掲げ、号令した宗司の声に、僧兵達から力強い返答が返ってくる。

 混乱が収束し、指揮がまとまった事で、この場の戦況は椿達に傾きつつあった。

 亡者の数も減ってきている。

 しかし、油断はできなかった。いつ、新たな亡者が現れるともしれない。

 宗司を先頭にした臨時の部隊が亡者の包囲を抜けた事で、そこに道ができる。

 後続の者は慌てて、彼等の後に続いた。

 椿も、その一人である。

「このまま、彼に指揮を任せた方がよさそうね」

 隣を走る月見がそう呟いた。

 その言葉に異論はなかった。この健闘ぶりは彼の力によるところが大きい。椿も、宗司の事を信頼し始めていた。

 なにより――

「畜生。もう完全に置き去りにされたな」

 宗司が悪態交じりに言葉を吐き出した。


 亡者の包囲を抜けた先には、何十人かの僧兵達が留まり、戦っていたが、その数は明らかに少ない。

 立ち込めた霧によって街道の先は見えないが、顕如は大多数の僧兵を率いて、先に目的地に向かったのだろう。

 ――顕如がこの場に居ない以上、宗司よりも上手く指揮できる者は残っていなかった。

「そ、宗司殿。我々はどうするのだ?」

 彼の傍らに居た若い僧兵が怯えた様子で呟いた。

 亡者の包囲を突破したとはいえ、まだ完全に倒しきったわけではない。

「ここで無意味な戦闘を続けても意味はない。血の臭いを嗅ぎ付けて、他の場所からも亡者が集まってくるだろう。逃げるにしても、この数じゃあ、嬲り殺しだ。となると、速やかに顕如の後を追って合流するしかない」

 宗司は刀を振り上げ、声を張り上げる。

「本隊と合流する! 戦闘は最低限に。邪魔な亡者だけ排除していくぞ! 遅れた奴は置いていくからな!」

 夜刀神と共に、先陣を切って走り出した宗司に、多くの者が従った。

 これに驚いたのは、亡者の包囲網の外で戦っていた僧兵達である。

 包囲網から脱出した僧兵や野良法師達は疑念も持たずに、彼の指示に従っていたのだ。

 一様に困惑した表情を浮かべつつも、彼等もまた、宗司の後を追う。

 追いすがってくる亡者達には、最後尾に付いた陰陽師や僧侶が呪術と妖術で牽制し、宗司率いる集団は急ぎ足で霧の中を突き進んだ。

 その一団に混じった椿は、状況がひとまず落ち着いた事に安堵の吐息を漏らす。

 だが、この後も亡者の急襲がある可能性は高い。

 気を緩めぬよう――そして、感じる妙な胸騒ぎに、椿は表情を硬くした。

 猪俣城を出てからずっと、椿は妙な胸騒ぎを覚えていた。

 最初は単なる不安からくるものだと思っていたが、何かが違う。

 嫌な予感――何か、不吉な事が起こりそうな……虫の知らせとでも言うべき感覚。

 そこに根拠はまるでなく、そのため、月見にも相談しようがない。

(なんだろう……。この感じ……。前にもどこかで……)

 あれはいつだったか。

 今と同じような感覚を味わった事があったはずだ。

 椿は顔を顰め、思い出そうと試みるが、街道を覆う霧と同じように、記憶には靄が掛かり、思い出せない。

 椿の不安を反映させるかのように――あれほど晴れ渡っていた空には、黒く厚い雲が立ち込め始めていた。

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