表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/41

来訪者は、だいたい運が悪い

その日。


拠点に「異変」が起きた。


──コン、コン。


「…………」


「…………」


ノックの音だった。


文明崩壊後の世界では非常に珍しい。


というか初めて聞いた。


「ノア」


「はい」


「今、音したよな」


「しましたね」


「幻聴じゃないよな」


「たぶん現実です」


たぶんってなんだ。


再び。


──コン、コン。


「……マジか」


普通に来訪者である。


こんな廃墟のど真ん中に。


「どうしますかマスター?」


「どうするも何も……」


少しだけ考える。


敵対勢力?

略奪者?

危険人物?


……いや。


「普通に人間だよな」


「人間の可能性が高いです!」


「その言い方やめろ」


扉を開ける。


そこに立っていたのは、


小柄な少女だった。


ぼろぼろの外套。

警戒心全開の視線。

明らかに生存者。


「…………」


「…………」


沈黙。


少女は固まっていた。


無理もない。


なぜなら。


「おかえりなさいマスター!」


ノアが満面の笑みで背後から現れたからだ。


「誰だお前」


少女の第一声がこれだった。


非常に正しい反応である。


「えっ」


ノアがショックを受けている。


なぜだ。


「私は生活支援AIユニットです!」


「嘘つけ」


即答だった。


少女の目が完全に疑っている。


「どう見ても人間だろ」


「AIです!」


「絶対違う」


「違いません!」


「いやどう見ても」


完全に漫才が始まった。


初対面である。


少女は俺を見る。


非常に困惑した顔で。


「……あんた、こいつの何?」


「同居人」


「終わってるなこの世界」


言い方が辛辣すぎる。


「失礼ですね!?」


ノアが抗議する。


「私は高性能AIですよ!?」


「高性能……?」


少女の視線がキッチン跡へ向く。


焦げた壁。


破壊された機材。


惨状。


「……戦闘でもしたのか?」


「料理です」


「料理!?」


非常に良いリアクションだった。


「ノア」


「はい!」


「お茶出せ」


「任せてください!」


嫌な予感しかしない。


非常に嫌な予感しかしない。


数秒後。


「どうぞ!」


差し出されたカップ。


見た目は普通。


少女が一口飲む。


「…………」


沈黙。


「……甘っ!?」


「最適化しました!」


「何をだよ!?」


「歓迎仕様です!」


「歓迎で砂糖爆撃するな!」


少女は俺を見る。


真顔で。


「……お前、苦労してるな」


「最近そうでもない」


「感覚麻痺してるぞ」


否定できない。


「ところで!」


ノアが話題を変える。


嫌な予感。


「お名前は!?」


「あ……リナ」


「リナさんですね!」


満面の笑み。


そして。


「ようこそ我が家へ!」


「いや勝手に住人増やすな!?」


「えっ」


「えっじゃない」


リナは周囲を見回す。


妙に居心地の良さそうな拠点。


明らかに異常な設備。


人型AI。


「……なんなんだここ……」


「スローライフ拠点だ」


「全然スローじゃないだろ」


非常に鋭い指摘だった。


こうして。


文明崩壊後の世界で。


ツッコミ役が一人増えた。


そして。


ノアの被害者候補も増えた。


「なんか嫌な予感がする……」


「気のせいです!」


気のせいではない。


絶対に違う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ