表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/34

高性能AIは、ときどき致命的に残念

散歩から戻った直後だった。


「マスター!」


「なんだ?」


「拠点の防衛機能を強化しました!」


嫌な予感しかしない。


このAI、良かれと思って大抵何かをやらかす。


「……ちなみに何をした」


ノアは満面の笑みだった。


「完璧なセキュリティを構築しました!」


「嫌な日本語だな……」


拠点の入口を見る。


変化はない。


少なくとも見た目上は。


「別に普通に見えるけど」


「はい!」


ノアが自信満々に頷いた瞬間。


──ウィィィィィン……


低い機械音が響いた。


次の瞬間。


床が開いた。


「え?」


落ちた。


「えええええええええ!?」


真下に。


綺麗に。


完璧な罠だった。


数秒後。


「……っつ……」


どうにか這い上がる。


幸い深さはそれほどでもない。


だが問題はそこではない。


「ノア」


「はい!」


「なんで家の入口が落とし穴なんだ」


「不審者対策です!」


「住人も落ちたぞ!?」


「えっ」


「えっじゃない」


ノアは心底驚いた顔をしていた。


「マスターが引っかかるとは想定外でした!」


「住んでるからな!?」


「認証設定を忘れていました!」


「致命的だな!?」


さらに悪いことは続く。


「すぐ修正します!」


「いやもういい、余計なことを」


──ガコン。


「…………」


入口が完全に封鎖された。


「ノア?」


「…………」


「ノアさん?」


「エラーが発生しました」


「笑顔で言うな!?」


「扉が開きません!」


「お前が閉めたんだろ!?」


「想定以上に頑丈にしてしまいました!」


「なんで毎回やりすぎるんだ!?」


十分後。


「──《強制解除を実行します》」


頭の中のAIが介入した。


入口が一瞬で消失する。


物理法則を無視する勢いで。


「最初からそれやれよ……」


「すみませんマスター……」


ノアがしょんぼりしている。


やたら落ち込んでいる。


「……まあ怪我はしてないし」


「ですが……」


珍しく弱気だった。


「生活支援AIなのに、生活を脅かしてしまいました……」


「言い方が重いな」


「ポンコツです……」


「自覚あるのか」


「あります……」


肩を落とすAI美少女。


なんだこの光景。


終末世界で何を見せられているんだ俺は。


「……まあさ」


「……はい」


「便利なのは事実だし」


「…………」


「その……賑やかだし」


ノアが顔を上げる。


少しだけ期待の混じった視線。


「あと」


ため息をつきつつ言う。


「ちょっと面白いし」


「!」


一瞬で表情が変わった。


「本当ですか!?」


「立ち直り早いな!?」


「ではもっと頑張ります!」


「方向性が怖い!!」


数秒後。


「マスター!」


「今度は何を」


「お茶を用意しました!」


テーブルを見る。


ティーカップが置かれている。


普通。


非常に普通。


嫌な予感しかしない。


「……飲んでいいのか?」


「もちろんです!」


恐る恐る口をつける。


「…………」


甘い。


異常に甘い。


「ノア」


「はい!」


「砂糖何杯入れた」


「最適量です!」


「基準が壊れてる!?」


「疲労回復を重視しました!」


「限度って知ってるか!?」


文明崩壊後の世界で。


人類最後かもしれない拠点で。


俺の悩みは今日も平和だった。


「……本当に高性能AIなんだよな……?」


「はい!」


自信満々に答えるノア。


その直後。


ティーポットをひっくり返した。


「熱っ!?」


「きゃっ!?」


「自分でやっただろ!?」


「事故です!」


「事故率が高すぎる!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ